12 復興
巨大なグレートボアの主にグリューンとゴブゾウが歩み出る。
「我はグリューン、この部隊を率いている者だ」
「我はゴブゾウ、この集落の長だ」
「そうか・・・同族がすまなかった。まずは謝罪をしよう」
これにはゴブゾウがキレる。
「すまなかったで、済む話ではない!!滅茶苦茶にしやがって!!」
グリューンがゴブゾウを宥める。
「ゴブゾウ、気持ちは分かるが落ち着け。それでグレートボアよ。どう落とし前をつけるのだ?」
「こちらも事情があったのだ。棲み処に生えている木に実がならなくなったのだ。このままでは冬は越せない。そう思った同族の一部が暴走したのだ。仕方なかったのだ」
ゴブゾウが怒鳴る。
「仕方ないだと!?ふざけるな!!」
グレートボアの主の話をまとめると、棲み処の木に異常が起きて実をつけなくなり、仕方なくゴブゾウたちの集落を襲ったということだ。となると、棲み処の木が実をつけるようになれば・・・
私はグレートボアの主の前に立った。
「私のスキルを使えば、木に実をつけられるかもしれません」
★★★
早速、グレートボアの主に棲み処に案内された。
素人目に見ても、木々に元気がないように思う。赤ドラと白ドラの思いが伝わってくる。
(付近の魔素が変化したみたいだね。それで魔素を上手く取り込めなくなって、実をつけなくなったみたいだ)
(このままじゃ、枯れちゃうね)
「私のスキルで何とかなるかしら?」
(できるよ)
(細かい調整が必要だから、手伝うよ)
私はグレートボアの主に指定された木に近づき、「品種改良」のスキルを発動させた。
細かい調整は赤ドラと白ドラがやってくれたので、私は魔力を込めただけだけどね。
驚いたことにすぐに木は実をつけた。同行していたゴブリンが叫ぶ。
「エナジーナッツだ!!これは凄いぞ」
エナジーナッツは、かなり栄養価が高く、一粒で魔力も体力も大幅に回復するらしい。
私は、周辺の同じような木を順次、「品種改良」で周辺の魔素を取り込めるようにしていく。この世界では、水や太陽の光に加えて、空気中に漂う魔力の元である魔素によって植物は成長するらしい。因みに私がスキルで出した「水の木」や「フルーツの木」は、栄養の大部分を魔素に依存しているため、水が無くても大丈夫のようだ。
グリューンが言う。
「グレートボアが、今まで我らを襲って来なかったのは、エナジーナッツがあったからだろう。エナジーナッツなら、そこまで量を食べなくても大丈夫だからな」
グレートボアたちは嬉しそうに地面に落ちたエナジーナッツを食べている。
「礼を言う。我らにできることは何でもする。そして、二度と貴殿らを襲わないと誓う」
ここで登場したのがゴブリナだった。
「それではまず、女神ネフィス様に感謝を!!そして、集落の復興にも協力してもらいますよ」
なぜか、ゴブリナが仕切っている。
それからの話だが、ゴブゾウたちの集落の復興は進んだ。
復興資金も何とかなった。高額でソマリがエナジーナッツを買い取ってくれたし、私がスキルで出したサツマイモの栽培も始めた。赤ドラと白ドラが言うには、土地ごとに適した作物が違うみたいだ。この土地では、ジャガイモとトマトの栽培には向いておらず、サツマイモが最適らしい。これは魔素の質によって決まるようだ。因みにサツマイモも、そこそこの値段で買い取ってくれることになった。
人手もドワーフや手の空いているゴブリンたちが手伝いに来たり、グレートボアも主を筆頭に資材搬送などを手伝ってくれた。
ゴブゾウがお礼を言ってくる。
「聖女殿、礼を言う。一時はどうなるかと思ったが、例年よりも余裕を持って冬を越すことができそうだ」
「いえいえ、皆さんが頑張った結果ですよ」
「聖女殿は謙虚だな・・・」
そんな話をしているところにゴブリナが現れた。
「女神ネフィス様への感謝を忘れてはいけませんよ。ゴブゾウ様たちを聖女様に引き合わせたのも、女神ネフィス様のお導きでしょう」
「それはそうだな。ところで、どうやって感謝を示したらいいんだ?」
「それはですね・・・」
結局、集落の全家庭が小型女神像を購入することになり、集落の中心に女神ネフィス様を祀る神殿が建設されることになった。
また、グレートボアも感謝の意を示したいとのことで、人語は話せないが比較的コミュニケーションが取れるグレートボアが交替でエナジーナッツを備えに来ることになったらしい。
そして・・・
「えっ!!主さんの娘さんの面倒を見てほしいってことですか?」
「そうだ。まだ人語は話せないが賢いぞ。ただ、甘えん坊でな・・・いい機会だから聖女殿の元で修業をさせたいのだ」
修行っていっても、私が何かを教えられることはないんだけどな・・・
断ろうと思っていたが、紹介されたグレートボアの子供を見て、あまりの可愛さに抱きかかえてしまった。子犬サイズだしね。
「ウリ坊だ・・・」
「キュー!!」
「ほう・・・早速名付けをしてくれるとはな。娘も気にいるようだ」
思いもよらず、名付けをしてしまったようだ。
因みに魔物は基本的に名前を持っておらず、名付けをすることは大きな意味があるらしい。
名前については、ウリ坊はちょっとと思って、ウリにすることにした。
「一言で言えば、家族同然になったということだ。我も寂しいがよろしく頼むぞ。偶には顔を見せに来てくれ」
それからウリは主に一頻り甘えた後、私たちと同行することになった。
早速、仕事が与えられる。赤ドラと白ドラの搬送だ。
(落とさないように頼むよ)
(風が気持ちいいね)
「キュー!!」
どういう訳か、ウリと赤ドラたちは意思疎通がしっかりできているようだった。
魔物同士、通じるものがあるのかもしれない。
こうして、当面の危機は去った。しばらくはのんびりと暮らしたい。
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