52 愛1
ごめんなさいm(_ _;)m
もう少しで忙しさも収まると思い……たいです。
このまま最後まで突っ走って行きます!
「ウィル……今日、大丈夫だった?」
「ああ、問題ない。ここに座ってもいいか?」
どうぞ、と私の前の席を進める。
いつもと何も変わらない雰囲気。ウィルも私もわざとのように軽く話をする。
そして……本題に入る。
「今日来てもらったのは……この前の返事をちゃんとしようと思って」
一呼吸おいて、お互いに見つめ合う。
ウィルから、真冬くんから気持ちを伝えられて、それからずっと考えていた。
はじめは混乱して、考えがまとまらずにいたけど競技大会の日にはっきりと自分の気持ちに整理がついた。
でも思うのと口にするのとではわけが違う。
いつも一緒に、何気ない会話を楽しんでる仲なのに口の中はカラカラに乾燥してる。いや、いつも一緒に何気ない会話を楽しむ仲だからこそこんなに緊張するのかもしれない。
深く深呼吸する私をじっと、ただ静かにウィルは見つめている。
「ウィルの気持ちは……とても、嬉しかった」
私の声だけが部屋に響く。
「それからよく考えて、考えて、やっぱり私は……真冬くんだった」
ウィルは小さい頃からいつも一緒にいて、兄のような、親友のようなそんな存在だった。
困ったときもいつも寄り添ってくれてたのはウィルだった。
でもそれは家族、親友としての"愛"。ウィルには恋い慕う"愛"じゃない。そのことに気づいた、いや、気付かせてくれたのは真冬くんだった。
「ウィルのことは勿論好き。でもこの好きは家族のような関係だと思うの。私の両親やラスニア様、クリス様と同じような」
自分の思いは精一杯に伝えたつもりだ。きちんとウィルに伝わっているかは分からないけど……。
だんだん不安になってきたところで、先程までずっと押し黙っていたウィルが口を開いた。
「……そう、か。何となくは気がついていたんだ。リーナ自身は気づいていないようだったけど。─フラジストと初めてあった日、覚えてるか?」
「うん」
真冬くんとこの世界で初めて出会った日。ウィルの家にラスニア様とお茶をするために呼ばれてた時だった。嬉しさやら混乱やらが混じり合って自分でもよく分からない感情になっていたことは鮮明に覚えてる。
「あの日、俺は心のなかでは分かってたんだ。ああ、リーナの決まった人は俺じゃない、こいつだって。あのときはそんなこと信じたくなくて、必死に自分の心を誤魔化していた。だっておかしいだろ? リーナとフラジストは初対面のはずだ。一目惚れかとも思ったが、二人の距離感が異様に近い。その理由は俺には分からないけど、それが酷く悔しくて、羨ましかった」
なにも……言うことができない。
それでもウィルの告白は続く。
「リーナとフラジストはまるで長年一緒に過ごしていたかのような、たとえは悪いかもしれないが、生き別れた大事な人と再開しているような風にも見えた。リーナもフラジストも何も言わないけれど、その空気に俺は割り込んでいくことが出来なかったんだ」
「普通に話してたと思うけど……」
「ははっ、あれは俺なりの精一杯の努力だよ。幼馴染っていう特権を取られたくなくて、必死に大人ぶってリーナの力になろうとしてた」
「私は……ウィルにいっぱい助けてもらったよ」
「うん。リーナの気持ちを聞いてちゃんと伝わってきたよ。残念ながら俺では、フラジストには勝てなかったみたいだ」
少し寂しそうな、でも全て分かったような面持ちで軽く笑う。
「俺のこの想いは、今日で終わりにする。勿論"家族"としての想いはずっと変わらない」
「うん」
危うく涙が出るところだった。
正直、断って今まで通りに接してくれるとは思ってなくて、最悪もうウィルとは話さなくなるかもしれないって。
「そうだな……じゃあこれも最後になるだろうし、一度だけハグしてもいいか?」
「ハグ?」
「俺だってそんな簡単に気持ちを捨てきることなんてできねえよ。ちゃんとこれで、最後にするから」
ウィルなりのけじめなのかな。
いつもしているハグとは少し違う。決して私が痛くない力加減で、でもいつもよりも力が入ってる。
私の方からは顔は見えないけど、少し肩が震えているのは触れないでおこう。
もう大丈夫、とウィルが最後にギュッとして離れようとしたところで思いがけない人物がそこに立っていた。
「ま、ふゆくん……?」
何故ここにいるのか理解出来ず、自分の目が大きく見開かれるのが分かる。
私の声ではっと気がついたのかウィルが離れようとする前に、真冬くんがウィルを引っ剥がした。
そしてそのまま私の手首を掴み、何か唱えている。
その顔は酷く苦しそうで、悲しそうだった。
ウィルとの誤解を解こうとしたところで、体がぐらつく感覚に襲われる。いきなりの気持ち悪さに思わず目をギュッとつぶる。
何が起きてるの!? と思うまもなく、気持ち悪さはおさまっていた。恐る恐る目を開けると、、そこは、よく見知った部屋だった。
「真冬くんの……部屋?」
ここは魔法師団本部じゃなくてウィスダリア家の真冬くんの部屋だ。
「どうして、ウィルラインとあんな体制になってたの?」
絞り出すような、無機質な声にさーっと血の気が引いていったように感じた。




