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48 エリーナの葛藤

「セリナ!! 助けて!!」


あってすぐに抱きつき、助けを求める。

そんな私を驚いた顔で受け止めるセリナ。


何故このような状況になっているのか、時は一日前に。




◇◇◇


どうしたらいいんだ……?



先程のことで頭はパンクしそうだ。

帰ってからは死んだように動かなくなった私を使用人のみんなや両親が心配していたが、パーティーで疲れたのだろうと思い、早めに一人にしてくれた。

有り難いような、有り難くないような……。

皆といると変なこと口走りそうだし、かと言って一人でいると頭は先程あったことがぐるぐると回って痛くなる。


まだ、ウィルにも返事を返せていないのに……。


真冬くんからもウィルからも告白なんて想定外で、何が起きているのな未だによくわからない。


二人とも、公爵令息でかたや魔法師団長、かたや騎士団長ときた。こんなハイスペック極めてる男性二人から婚約を迫られている私。


あーーー!!??!!


もう!! 何なの!? 疑問通り越して逆に怒り湧いてきたわ!!


行き場のない気持ちを少しでも発散させるためにボスンと勢いよく枕に顔を沈める。



ウィルも真冬くんも……どちらも大切な幼馴染だ。

自分の抱いてる二人への気持ちが家族愛なのか恋愛なのかわからない。ましてや二人(・・)だ。


どちらかが好きと言われればそのような気もするし、違う気もする。そして二人への気持ちが全く一緒かと言われればそうでもない。


さっきからこんなことをずーっと繰り返しているため話が進まない。


……ダメ元でもいいからセリナに話聞いてもらおうか。唯一の女友達。前世のときも一人で解決できないことがあるとよく女の子の友達に愚痴を聞いてもらっていた。すると不思議なことに結構スッキリするのだ。


よし、話を聞いてもらおう。


事は早いほうがいいと、真夜中にも関わらず手紙を書き、送ってもらう。


この時間に送ってもらうのは色々な意味で申し訳ないが……今回だけは許してほしい。


そして返事が帰ってきたのはまさかの早朝だった。


◇◇◇


ひとまず席に座ってもらう。

今日のお茶はリラックス効果があると言われているカモミールティーだ。何故かって? 勿論私のためだよ!!


「それで? あんな遅くに手紙よこしてくるなんてよっぽどのことがあったんでしょう? ただでさえエリーナからの誘いは珍しいのに」


「それがね……」


カクカクシカジカ、昨日の事やウィルのこと、ついでに私の心の葛藤も話す。

セリナは静かに最後まで聞いてくれた。


「ふーん、なるほどね。エリーナ、凄いじゃない! フラジスト様もウィルライン様も1,2を争う美男子よ? それにどちらもトップの肩書持ち」


いかにも興味津々といった様子で食い気味に飛びついてくる。

セリナなら言うと思った……。まあ、それでも話を聞いてほしかったからわざわざ来てもらったんだけど……。


「でも……いきなり過ぎてどうしていいの分からない。下手に気持ちを踏みにじるのは嫌だ」


出来るだけ二人を傷つけたくない。いつも結論に出るのはこの答えだった。

どちらかの手を取ればどちらかの手を捨てることになる。ましてやどちらも選ばなかったらどちらかの手も捨てることになる。


「まあ、何となくエリーナが思ってることは分かるけど……結局はエリーナがどうしたいかじゃない?」


「え?」


「どうせエリーナのことだからどっちにも傷ついてほしくないーとか思ってるんだろうけど、今のエリーナの気持ちが二人を傷つけてるんだよ」


まさに青天の霹靂だった。今の心が二人を傷つけているなんて思ったことなかったからだ。


「エリーナは今、何に悩んでるの? どっちの手を取るか? それともどうすれば断れるのか?」


「わ、分からない」


「私が強く言えるものでもないけどエリーナがどちらを好きかじゃない? もしくはどちらもそうじゃないか。家族愛か恋愛か分からないって言ったけどその違いは明確なのよ。エリーナの今の気持ちは気づいてないふりをしてるだけ。本当は心の奥深くではわかってるはずよ」


まるで答えを知っているかのようにセリナは言う。

違いは明確……。

だめだ、さっぱり分からない。


「ま、答えは今じゃなくてもいいって言われてるんだからそう焦る必要はないんじゃない? あんまり待たせすぎるの良くないけど、これくらい待てないと器が小さすぎるわ!! てなわけで、、この答えを探すために一緒に競技大会に行きましょ!!」


「競技大会……?」


「知らないの!?」


「いや、知ってるけど……」


競技大会。

2年に一度開催される剣技、魔法、頭脳を使ったトーナメント式の大会だ。誰でも参加できるため、平民や貴族といったものは全てなし。競技場では皆平等に扱われる。そのため、当日は平民や貴族関係なく沢山の人で賑わうため、一種の国を上げたお祭りみたいになってる。

前世で言うところもオリンピックみたいなものかな。

やっぱり最後まで残るのは貴族の人たちが多いけど、時々平民も混じり込んでいる。

その戦いぶりから騎士団や文官に推薦されたりするから、力試し、運試しで挑むものも多い。


直接は見に行ったことないけど面白そうだなとは思ってた。


「あ、そういえば」


今朝、セリナの手紙と一緒に届いたものだった。


「ウィルもまふ、フラジスト様も競技大会出るって」


「ほんとに!?!?」


ものすごい勢いで食いついてきた。


「う、うん。僕達も参加するからって……」


魔法師団長や騎士団長なら出るのも何も問題なさそうだけど……。だが、セリナの様子から問題ありありのようだった。


「これは……これは一大事よ、エリーナ!! 前代未聞、魔法師団長vs騎士団長!! 今からでも会場が発狂に近い悲鳴が出るのが目に見えるわ」


え、そんなに? てか二人とも出るの初めてなの……?


大丈夫なのか? と思いながらも無理矢理セリナと一緒に行くことになった競技大会。


そしてその日の号外ではウィル達二人の出場が大きく見出しに書かれており、早くも街のあちらこちらで発狂に近い悲鳴が聞こえたそうだ。

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