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29 ガウラ王子とフラジスト

「はあ、、」


二人に追いつかれるよりも先に中庭に出る。流石にあの二人が本気を出したら私なんかあっという間に捕まってしまうだろうが、ちらっと振り返ったときに沢山の大人の人達に囲まれてたから当分は無理だろう。


噴水の近くに何個か長椅子がありそこに腰掛ける。

ここは王宮の中と言ってもこうしてパーティーや他国の方なんかもよく来るため、こういうふうに誰でも気軽に休むことができる場所が場所ごとに用意されているのだ。

噴水前の長椅子はその中でも人気トップ3に入る場所だ。だがどういうわけか人一人いないという虚しさ……。


会場から漏れた明かりだけがここを照らす唯一の光で心もとない。

かと言って今戻ると般若のような……こほん、少しおこになってるご令嬢方の餌食になる。


今日はセリナ来てるだろうけどこういうのに興味ないし、たぶんもう挨拶も済ませちゃったから帰ってるだろうな。唯一の女友達はいつも私を見捨ててゆくのさ……。それって友達なのか? ……ちょっと心配になってきたな。でもでもいつも一緒にいるときは助けてくれるし、ウィルの話抜きで普通に喋りかけてくるのはセリナしかいないからな。

この前、真冬くんとウィルについて話をふられたのはたまたまだったのよ。流石にセリナとしても二人に挟まれてる私を放っておけなかったんだと思う。


あれだけウィルと真冬くんに挟まれて目立っておいて今更壁の花とか無理だよね……。ウィルだけならいつもどおりですむからまだしも今回は真冬くんがいたのがまずかったな。

なんせ私が知らなかったとしても真冬くんの女の人嫌いは有名な話らしいし……。


それにそれに隣国の姫様だってあんなに真冬くんにアプローチしててそれをガン無視してたのに、、狙ったかのようにこっち来るんだもん。

後で祟られないといいな。


……戻っても無駄に注目集めるだけだし、、フラン兄とお父様、お母様に言って悪いけど先に帰らせてもらおう。うん、そうしよう。

ガウラ王子にも挨拶済ませたし問題ないはず!!


よいしょと長椅子から腰を上げる。


でも少し遅かったらしい。向こうから誰かが歩いてくる人影が見えてしまった。

気づかないふりをして……はもう無理そうだ。


「よう」


聞き覚えのある中低音ボイスが耳に入る。


「……こんな人気のないところまで来てどうなさいましたか? ガウラ王子」


私の目の前に立っているのは今日の主役、ガウラ王子だった。

やはり一国の王子だということもあってよく顔()整ってる。


王家の方々は皆白っぽい色をしている。ガウラ王子は少し桃色のかかった白髪(はくはつ)。ちなみに第一王子は先祖がえりだとされている混じりけの一切ない白だ。

ただ皆様どんなに白に近かろうと決して年寄りの白髪には見えないのが不思議なところ。独特の神々しささえ持っているような錯覚に陥る。


第一王子のリウム様は今年20歳になり、もうご結婚されているため時期国王と決まっている。素晴らしい事だ。ガウラ王子とは違い人当たりの良さそうな雰囲気と、よくキレる頭は時期国王として言うことなしである。


と、そんなことはおいておいて、、この状況一体どうすり抜ければいいと思う?


会場へ戻るとご令嬢、残ると絶賛ガウラ王子。


…………積んだな。


「何故会場にいない。挨拶してから随分探したぞ?」


挨拶したあとは結構な時間会場にいたと思うけど……。ただ単に探せなかっただけじゃないのか? 


「少し疲れてしまいまして、、。先程パーティーを少し抜けてきたんです。ガウラ王子こそここにいても大丈夫なのですか?」


ご令嬢モード発動!!

いつもどおりにしてたら流石に良くないから。猫を5枚も6枚もかぶるっていうのは結構しんどい。だがこれも怠ると大変なことになるのできちんと最後までやり通す。


「気にするな。どうせ俺の目的は、、」


「エリー、こんなところにいたの」


ガウラ王子の言葉を遮るようにして後ろから真冬くんが現れた。表面はにこにこしてるけど……あれ、怒ってる?

話を遮られたのが癪に障ったのか、ガウラ王子がちっと舌打ちをする。舌打ちて……。


「おや、これはガウラ王子。ご挨拶は先程しましたが……こんなところで会うとは珍しいこともあるものですね」


「何が珍しいだ、白々しい。勝手に入ってきたと思ったら話の邪魔をして」


「それは失礼しました。それで? 何の話をしていたのです? まさか私には話せないような事をエリー、、エリーナに話していたのではないでしょうね」


真冬くんのキャラが少し違う気がするが……たぶん王族用の顔だろうか。表面上は穏やかだけどウィルといるとき並に火花が散ってる気がするのは私だけかな。


「おい、エリーナ!! 何故フラジストがここにいる!?」


えっ……そんなこと私に言われても……。

私だってわからないし、なんでいるのかはぜひ本人に聞いてほしい。目の前にいるのだから。


「私がエリーがここにいるのを見つけたからですよ。そろそろ風も冷たくなってきてるので。会場の方へ入らせていただきます。じゃあ行こうか」


「はあ!?」


ガウラ王子が何かいうより先に私の肩に手を当てて会場の方へと向かいだした。

……大丈夫なのかな……。

仮にも向こう王子だけど……。


ただまあこの手は払い除けられそうにないので大人しくついていく。


さっきは真冬くんとウィルから逃げたのに今度はガウラ王子から逃げるために真冬くんに連れ戻されるという悪循環。


はあ……。

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