15 二人とも超がつくほどの甘党
朝早くに更新できる自信がないので今のうちに。
窓際にある、二人用の机に案内されてウィルと向かい合って座る。
店の中は女性が8割、男性が2割といったところか。皆色々なものを注文していて、食べている姿はとても可愛らしい。
やだ、おっさんみたいなコメントになっちゃった。
私達も苺とチョコのパンケーキとミルクレープ、苺の香りがする期間限定紅茶を2つと、苺だらけの注文をした。
ウィルってこう見えてたぶん私以上の甘党だよね。知ったときは物凄くびっくりしたことを覚えてる。
そういえば真冬くんは甘いの駄目だったか? いや、でも私が作ってたクッキーはよく食べてたし、なんだかんだ行っていつもカフェ巡りはついていってくれてたからだめってわけじゃないのかも。
すると先に紅茶が来て、苺の香りがふわっと広がった。
前世は紅茶って言えばストレートかミルクティーの2択しかなかったけど、フルーツティーがこんなに美味しかったことを今知る。
こっちの世界でも食べ物はよく似てて、今みたいに苺とか、ここらへんの地域だったらメロンとか梨とかもよく栽培されているらしい。
もう少ししたらメロンの季節になるけどメロンのシャーベットはうちのお母様も大絶賛の美味しさ。
そして唐突だけど、四季があるっていいなって思う。
「リーナは昨日、フラジストと何をしてたんだ?」
「特にはだけど……あ、やっぱり家がびっくりするほど広いなって思った。でもよく考えてみたらウィルの家もこれくらいあったよねって思って、慣れってすごいなって感心した」
「何だそれ」
あ、この紅茶美味しい。飲んだ瞬間に初めはあんまり苺感しないんだけどあとからしっかり来る。思っていた以上に甘くなくて飲みやすい。
これレジの横で売ってたから帰るときに買ってこ。
「あと美術品とかもいっぱいあった。私は絵とか彫刻とかよくわかんないんだけど……凄かったと思う。家の見てもどれ位の価値なのか分からなかったからまたウィルの家に見に行ってもいい?」
「別にそれは構わないが……家にあるやつとリーナの家にあるやつって以外と似てないか?」
あら? そうだったっけ……?
家はお母様が絵とか好きだからよく集めてるけど……集めてるって言っても本当にその価値を分かってるのかって言われれば謎だが……。
ラスニア様が好きだったら似ているかもしれない。
そんな感じで他愛もない会話をしていると、パンケーキとミルクレープが来た。
私の目の前にはパンケーキが置かれ、ウィルの前にはミルクレープが置かれる。
おお!! 大きいのじゃなくて食べやすいように小さなのがいっぱい入ってるって形になってるのね。それぞれに苺がふんだんに使われていて、中央のほかよりも少し大きめのパンケーキにはバニラアイスにチョコソースがかけられている。
ウィルの方は層に厚めにカットされた苺が並んでて上にも乗ってる。ミルクレープ自体も少しピンク味がかかっててとても可愛らしい。
……なんか、似合うな。普通は似合わなー(笑)とか言って笑いポイント取るとこなのに普通に似合っててちょっと面白くない……。
「……何考えているかだいたい分かるからな。ほら、アイス溶けるぞ」
おっと、危ない危ない。
初めに一番大きいのにナイフとフォークを入れる。ふわふわだけど意外とすんなり切れて、一口サイズにし、パクっと口に放り込む。
「…………!! 美味しい!!」
ふわふわの生地と甘酸っぱい苺に、冷えたアイスがよくあってる。そしてチョコソースがそれぞれの甘さを上手に抑えてて、混じり合ってる。
これは絶品。
つい頬が緩んでにこにこしながら食べているエリーナの姿を、ウィルは可愛いなと思っていた。
「……俺のも食べるか?」
「いいの!?」
ああ、と言いながら食べやすいように小さく切って私の口に持ってくる。そこにミルクレープの上にあった苺も乗せられているところに、ウィルの優しさを感じる。
おお、これも美味しい!! ホイップクリームと苺という一番オーソドックスな組み合わせだが、これはこれで一番正解っていう味がする。
口の中は甘々になってるはずだけど、いい感じに紅茶がスッキリしててあの甘いものを食べすぎたときのような感じは一切しない。
あまりの美味しさにぺろりと平らげてしまう。
それからどうしようかと相談していたところ、窓の外から見えていた噴水の所に行こうということになった。
もちろん出るときに苺の紅茶を買うことは忘れていないぞ?
人通りはそれほど多くなく、すんなりとたどり着けた。よいせっと噴水の縁に腰を下ろす。不思議なことに水しぶきは飛んでこない。魔法かなにかだろうか。
こんなことできるのもお忍びセットが必須なんて、貴族って大変ねえ。
「少し待ってて」とどこかに行ってしまったウィルを待ちながらぼーっとする。
いい天気だなあと呑気に考えていたところでそれは起こった。
思考をどこかに飛ばしていたのが行けなかったのかもしれない。
すぐ後ろの気配に気づくことができず、ハンカチで口を抑えられた。
「…………っっ!!」
「黙れ!! 死にたくなかったら大人しくしてろ!!」
助けは!! と思って周りを見渡しても、さっきまでいた人たちは全員消えていた。何故!? と思う暇もなく、甘ったるい匂いを嗅いでしまい私は意識を手放した。
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