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SOUNDGARDEN


 今回はグランジ〜オルタナティブ・ムーブメントの代表格、SOUNDGARDENをご紹介します!


 グランジ〜オルタナティブ・ムーブメントの代表格としては、NIRVANAがより有名だとは思いますが、かのカート・コバーンがアマチュア時代にSOUNDGARDENのライヴを観て、「こんな奴等に勝てる訳がない」と自信喪失したというエピソードが残っている程に、当時のSOUNDGARDENの実力やカリスマ性は抜きん出ていたんですよね。


 そんな彼等は1984年、クリス・コーネル(Vo.Dr)、キム・セイル(Gu)、ヒロ・ヤマモト(Ba)の3人によりシアトルで結成されました。

 やがてスコット・サンドクイスト〜マット・キャメロン(Dr)の参加でクリスがボーカルに専念し、地元でライヴの評判を高めて新進インディ・レーベル、SUB POPとの契約を交わします。


 1987年と1988年に1枚ずつEPをリリースした彼等は、新たに「SST」レーベルからデビュー・アルバム「ULTRAMEGA OK」(1988)を発表し、ラジオやMTVの力も借りずにメジャー・レーベルである「A&M」との契約に成功しました。


 当時から注目されていたシアトルのロック・シーンでしたが、QUEENSRYCHEらのブレイクでハードロック・へヴィメタル関連のA&Rが現地に押し掛けていたという、この時代ならではの幸運もあったんです。


 ファンやマスコミの間では、グランジ〜オルタナティブと旧来のハードロック・へヴィメタルの対立を煽る様な記述がなされる事も多いですが、グランジ〜オルタナティブが旧来のハードロック・へヴィメタルからの影響が濃いのは明白で、彼等が飽和した80年代のロック・シーンの中から自分達がブレイクするには、どんなプラスアルファが必要なのかを考えたというだけの話なんですよね。

 70年代末に、パンキッシュなスピード感を取り入れてハードロックをへヴィメタルに進化させようとしたIRON MAIDENやSAXON等と、置かれていた状況は近いんです。


 メジャーデビュー後の彼等は、L.A.METALの衰退とともに全米規模で知名度を拡大していましたが、1989年のセカンド・アルバム「LOUDER THAN LOVE」発表直後に日系人ベーシストのヒロが脱退します。

 脱退理由は「大学に戻って勉強したい」という、およそロック・ミュージシャンらしからぬものでしたが、彼等のサウンドに大きな影響を与えていたヒロの脱退で、彼等は結果的にメインストリームのハードロック・へヴィメタルに接近する事となります。


 新ベーシストにベン・シェパードを迎えたサード・アルバム「BADMORTORFINGER」(1991)は、グランジ〜オルタナティブらしい陰鬱なうねりを残しつつも、明快なハードロック風味も感じさせて世界的なヒットを記録し、彼等は遂にミリオンセラー・アーティストへと成長したのでした!


 1994年には「BLACK HOLE SUN」のシングルヒットと、アルバム「SUPERUNKNOWN」のメガヒットでロック・シーンの頂点に登りつめますが、人間関係や麻薬の問題等で彼等は1997年に解散してしまいます。


 AUDIOSLAVE等、メンバー各々の活動の後2009年に再結成を果たした彼等ですが、スタジオ・アルバムの発表は2012年のみで、2017年のクリスの死去以降はライヴ活動もやや不定期になりました。


 グランジ〜オルタナティブのアーティストは音楽的には優れているのですが、同時期のアーティスト達がPEARL JAMやMELVINSを除くとメンバーの死や麻薬、アルコール等、軒並み自己破滅型のキャリアに溺れている為に、レコード会社から見て継続的な利益が望めないという理由から、なかなか再評価のスポットが当たらない現状です。


 これは賞味期限の短い英国のギター・バンド達にも言える事なのですが、繊細な感性がリスナーを惹き付けるものの、ショービジネスの世界で生き抜くには弱い人間だったと言えるのかも知れませんね。


 彼等の魅力は、オリジナル・メンバーのヒロの提案と思われるBLACK SABBATHのギーザー・バトラーを彷彿とさせる、うねる様なスロー・グルーヴと、クリスの呪術的かつ、王道のロック・ボーカリストらしい乾いた哀愁のコブシにあると思われます。

 特にクリスのボーカルは、ミュージシャンシップに欠けると言われがちなグランジ〜オルタナティブのバンドの中では抜きん出ているので、FREEやWHITESNAKE等のファンにも是非聴いて欲しいですね!


 最後に彼等のおすすめアルバムを。

 まずは最も聴きやすく、ハードロックとしての格好良さもピカイチな「BADMORTORFINGER」(1991)、大ヒット作であり、バラエティに富んで飽きさせない名盤「SUPERUNKNOWN」(1994)、そして、これは変化球なのですが、クリスとマットが同郷のPEARL JAMのメンバーとともに、旧友アンドリュー・ウッドの追悼として結成したプロジェクト、「TEMPLE OF THE DOG」(1991)を挙げさせていただきます!


 特に「TEMPLE OF THE DOG」は、グランジ〜オルタナティブの最高傑作だと私は確信しておりますので、寧ろSOUNDGARDENやPEARL JAMよりも先に聴いて欲しいとさえ思いますね!

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