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狂おしい果実から  作者: じょーかーOtuka
第一章 日常より
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第9話 紅

「お? 宗治、そのマフラーなんだ?」


「あぁ、これ? もらった」


「なんだよ宗治! お前ってやつはよぉ!」


 マフラーをつけて登校したら、校門でいきなりクラスのやつに絡まれた。校内入るまでには取るべきだな。


「なぁなぁ、誰にもらったんだよ? 何組の誰?」


「残念だが校外の人だぞ。 その、俺が失踪したときに知り合った人だ」


「なんだよそれ! 自分探しじゃなくて彼女探しかよ!」


 勘違いしたクラスメイトの声が周りに響く。辺りの男からは殺気を向けられ、女子は俺の方を見てはこそこそと話をしている。

 この野郎、後でしばいてやる。



「んで、それがそのマフラーって訳か。 カバンの中に隠すとか、どれだけ恥ずかしんだよ」


「仕方ねえだろ? いちいち絡まれたくないんだよ」


「しっかし、消えた時にお前はどんな経験してたんだ? いつの間にか知り合いが増えてないか?」


「しょうがないだろ?結構遠くまで行ってたんだからさ」


「いいなー宗治ばっかり、俺にも欲しいよそういうの。 俺も自分探ししに行こうかなー」


「邪な動機だな」


 そんなに皆気になるのかよ。てか、このマフラーのせいでリア充と勘違いされてるようだ。しまったな、着けてくるんじゃなかった。


「それはそうと宗治、何かこのマフラー誰が作ったんだ?」


「くれた本人が作ったそうだけど」


「そうなんだ、ソイツ、気をつけた方がいいかもだな」


「なぜ?」


「それさ、何か血みたいな色してるじゃん。 もしかしたらヤバいやつかもよ、ほら、お前ストーカーいるじゃん」


「あぁ、そうだったな」


「ストーカーと言えば血じゃん。 血糊とかで同じ文字延々と書くやつとかあるじゃん」


「ちょ、止めろよ」


  そういえば俺にはストーカーがいるんだったな。今までの行動とかも全部監視されているかもしれない。今後はこういうのも控えるようにするか。



「ただいまー」


 今日は早めの帰宅。親はいないし、今日はゆっくり休むか。

 マフラーを取り出し、洗面器に入れる。香織に何故かはわからないが手洗いでと指定されたので、面倒ながらも丁寧に水洗いしなければ。そう思った矢先に、鏡に写った自分の首に血がついていた。あれ? いつの間に?

 どっかを引っ掻いた時に血がついたのか? でも首についているのは不自然だ。でも、まぁいいか。



 たく、宗治め、うらやましいなぁ。あの野郎失踪中に女作っていやがったか。俺も彼女欲しいな~。

 しっかし、街灯がチカチカしてたり、気味悪い夜だ。早く帰って電話で宗治イジるか。


「あの」


「はい、なんですか?」


 後ろから話しかけてきたのは黒髪の美少女。お、ラッキー。


「どうしたんですか?」


「あの、相模君の家ってここですか?」


 住所の書かれた紙を見せ、宗治の家を指さす。


「あぁ、はい、そうですけど、宗治に何か?」


「ちょっと用があって」


「へーアイツもやるなぁ。 あんたみたいな可愛い女の子捕まえるなんて」


 この子は宗治が自分探し中に出会った人なのだろう。アイツ確か彼女居ないらしいから、俺にもワンチャンあるかもしれない。

 智雄ですと名乗り、宗治の家だとジェントルマン風に答えた。うん、完璧だ。


「お友達でしたか、それは丁度よかった。 今後プレゼントをあげようかと思っていたんです」


「そうですか、アイツも喜ぶんじゃないかな、いやーやるなー宗治は」


「ふふふ」


 少女は嬉しそうに手で口を隠しながら笑う。

 まぁ、俺も美少女と話せて嬉しいけどな! なんて思っていたら少女が笑いながら可愛らしい声で、


「よかったー。 こんな所でいい材料に出会えて」

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