第10話 事情聴衆
「え?嘘だろ! 今度は智雄が……」
「宗治、本当だ……」
3人目の犠牲者。今度は俺の親友が失踪した。長年もの間、ずっと一緒に学校に通っていた親友。
「何なんだよ、訳わかんねえよ」
「宗治、俺達も同じ気持ちだ。 今は無事を願うしかない」
◇
「あ、香織ちゃんじゃん! 久しぶり!」
「栞ちゃん、久しぶり」
「最近どう? 慎一くん、見つかった?」
「まだ見つかってないの……」
「そうなんだ……」
「それより、今日はみんなそろってるみたいだけど、どうしたの?」
「あぁ、実はこれから苺と会うからな。 だから海渡がニヤニヤしてんだよ」
「え! いやしてねーし!」
ニヤニヤしていたのは遠賀 海渡。彼らのメンバーの一人で、槍使いだった筋肉質の青年。そういえば、苺の前だと様子がおかしかったけど、そういうことだったんだ。慎一とよくつるんでたなぁ。
「それで、香織は何してんだ?」
「私は買い物だけど、苺ちゃんくるなら私も同席しようかな」
「だって、どうする?」
「えー、香織ついてくるのか?」
「何だよ、反対なのか? 」
七色篤司が、不満そうに呟く。まぁ、向こうで私と因縁があったから、当然といえば当然であり、必然とも言う。というか、私もコイツとはそりが合わないから苦手だ。
「まあまあ、香織とおしゃべりする訳じゃないからさ、別に無理して話せって言ってるわけじゃないでしょ」
「……仕方ねぇな」
「それじゃあ香織ちゃん、行こっか」
◇
「智雄……」
家に帰っても、気持ちは収まらない。何故俺なんだ。なぜ俺から奪う。
何度連絡してもやはりつながらない。机にスマホを投げだし、ベッドに寝転がると、ドアホンが鳴る。
ドアを開けると私服姿の警官が警察手帳を見せながら、
「こんにちは、こんな時間にすみません、警察です」
◇
「時間取らせてすみません。 その、最近そういうのを騙った詐欺とかがあるらしいので……」
まさか警察官が家に来るとは思わなかった。念のため署に問い合わせた所、どうやら間違いなく本物の警官だそう
「いいんだよ、気にしないで、安全のためだったからね。 署まで確認をとったのは今の時代では常識みたいなものだからね」
「えっと、相模宗治くんでいいよね、私は刑事の野尻隼人だ。 君には捜査に協力してほしくてね」
「俺に何かあるんですか?」
「突然来てしまって申し訳ない、私が捜査しているのは先月にあった少年少女一斉失踪事件だ。 君達が一斉に失踪して、世間では大騒ぎになっていたんだよ」
「そうだったんですか」
「結局あのあと、3日後に君を含む4名が帰還し、少し後で残りの失踪者全員が家に帰った。 君に聞きたいことは、失踪中にいた所についてなんだが」
「『失踪中にいた所』ってことは、他の人からの事情聴衆は終わっているってことで間違いないですね?」
「勘がいいね、じゃあこんな風に聞く必要は無いか。 僕が来た理由は、向こうであったことを聞くことだよ。 事情聴衆を引き受けてくれた人は『異世界に転移してました』って言ってるからね。 本当にかい?」
「間違いは無いです。 ですが、そんなこと聞く必要なんてあるんですか?」
「無くはない、これも仕事だからね。 恥ずかしくて世間には公表できることではないけど、誰も彼も言っている以上そういう方向で捜査しないといけない。 おっと、君をここにずっとおいておく訳にはいかないから聞かないとね、向こうであったことについて覚えていることを少しでも話してくれないかい?」
「そんなこと言われましても……」
「確か、君の友人が失踪していたね。 まだ世間に公表していない彼らの情報が僕にはあるんだけど」
「……わかりました」
「えっと、じゃあ最初に向こう転移させられた経緯を聞かせてくれるかい?」




