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第22話 勝者と敗者

「勝手にランキング」さんの投票タグを設置しました。

一番下のタグをクリックすれば投票完了となります。

「『かけがえの無い存在』か」


「そう、宗治は私にとってかけがえの無い存在だよ」


 風が苺の金色の髪を揺らす。

 薄い雲の群れが太陽の光に照らされ、輝くのを背景に苺はモジモジとしながら


「だから、そのさ……言いたいことわかるよね」


「もちろんだ」



 一時間後、利根香織の聴取が終了した。

 結果的に言うと何も出ては来なかったが、尻尾は掴んだ。


「彼女の部屋からは睡眠薬が出ている。 病気していたわけでもなく、そんな物持っているのは不自然ではないのか?」


「だが証拠とは言えないぞ?」


 ほぼ有罪確定したのではないかと思うのだが、肝心の証拠が無い。


「どうしましょう」


「いや、できないこともない」



『暖かくして寝ろよ』


『わかった。おやすみ』


 家に帰ってから、三時間もの間やり取りが続いた。カップルとはだいたいこんなんなのだろうか?初めてなのでわからないが、ニヤニヤしているのを見られたくはないな。

 次会う時、どんな顔して会えばいいだろうか?



「おはよう、ごめん遅れて」


「遅いぞ。じゃあ行くか」


 俺達が帰還した場所の最寄り駅。ここでの待合せは最早定番になったな。

 苺は嬉しそうにしながら、隣を歩く。こんな顔を見たのは初めてだ。

 思えば俺もこんなのは初めてだ。俺もきっと今まで見せたことの無い顔をしているだろう。



「お、これはまさか……」


「もうちょっと……あぁー!」


 昼頃、ゲームセンターで一緒にUFOキャッチャーに興じる。

 先ほど無理やりプリ○ラを撮らされ、どうせならといろいろなゲームを一緒にすることにした。

 駅には何度も行ってはいたが、ここは初めてだ。知らないゲームもあり、テンションが上がる。


「よしよし、あ! 何撮ってんだよ!」


「いいじゃんちょっとくらい」


「あーあと少しだったのに」


「えー。ケチ」


 もう少しで景品が取れる時、スマホで写真を撮られてしまった。


「もう、なんでそんなに怒るの?」


「怒ってないって」


 本当に? と呟きつつ、苺はレバーを取る。


「ここをこうすればね、ほら取れた」


「くっそー、本当は俺が取ってたのに」


「そんなにいじけないの。 ほら、あげるから」


 なぜ俺がヒロインしているのかは謎だが、ありがたく頂く。




 それから、楽しい時間はあっという間に過ぎ、既に夕刻。真っ暗の中苺と別れようとしたその時だった



 駅周辺で材料調達。

 少し遅れてしまったけど、宗治への誕生日プレゼントも渡せそう。

 もうすっかり日は落ちてしまったらしい。


 駅のロータリーを歩いていた時だった。

 遠くに宗治が見える。苺も一緒にいるから先日ケンカをしたばかりなので声をかけづらい。

 遠目に見える程度の距離で、立ち去ろう。

 目を離して駅のホームに向かおうとすると、辺りがざわめいた。

 さっき宗治達がいた方を当然向く。


 私がそこで見たのは、苺とキスする宗治の姿だった

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