第21話 かけがえの無い存在
遅めですがメリークリスマス!
ここから話がかなり進みます。
完結まではまだまだあります(予定ではあと5話位)
ピンポーンと休日の夕暮れ、住宅街に響くインターホン。
「こんにちは、警察です」
「はい、今度はなんですか?」
「利根香織さん、任意同行を求めます」
◇
「違うって言ってるじゃないですか!」
「落ち着いてくれ。まだ何も聞いていないし、それにまだ決まったわけではないんだよ」
香織が落ち着くのを待ち、隼人は切り出す
「香織さん、とりあえずアリバイを聞いてもいいかな?」
「いいですけど、どうせ家にいたとしか言えません。それに家には普段誰もいませんし」
「そうか。隼人さん、これは長くなりそうだぞ」
◇
「リーダー!」
駅前にて、苺と待ち合わせ。今回は呼ばれた方だ。
「じゃあ行こっか」
「そうだな」
歩きながら、どうでもいい雑談をする。しかし、今日の苺はどうも様子がおかしかった。
先日の香織とのいざこざからだろうか。
「そういえばリーダー、もうすぐ誕生日だよね」
「そうだな。いろいろあって忘れてた。何で知ってるんだ?」
「あれ? 宗治向こうで言ってたはずだけど」
「あぁ、そうだったか」
「もう、何で忘れてるの」
そう顔を膨らます。気づけばあの日から1ヶ月も経っていて、向こうでのことが、思い出として脳内で扱われるようになってしまった。
「……みんな元気かな?」
「知らないよ。きっと元気だろう、俺達が救ったんだからな」
「そっか」
あてもなく歩き続け、駅から少し遠い橋の上。時々トラックが通り、風に体を押される。
「リーダー。そう言えばなんだけどさ、私のこと、向こうで会った時、宗治はどう思ってたの?」
「そうだな、最初は結構うるさいヤツと思ったよ。何せ初めてお前と会った時、お前はパーティーメンバーとケンカしてたからな」
「懐かしいなーアイツあの後どうなったんだろ。見てないけど今でもイラつくなー」
これは地雷っぽいな。話を剃らすか
「じゃあ苺は俺のことどう思ってたんだ?」
「最初かぁ。正直に言うと、初めの初めは何か弱そうだったなぁ。周りがマッチョだらけだったし、事実転移者はみんな強く無かったからね。幹部一人落としてからイメージが変わったかな」
「そうか。本当はギリギリで死人も出たけど、世間ではそう見られていたのか」
「死人が出るなんて当たり前じゃん。冒険者はみんな命張ってるでしょ。だからさ、それから宗治達の見方が変わったの」
「あれから転移者への評価も変わったらしいからな。俺にしては上出来だったかな」
橋を渡り、歩く先には整備された丘。階段を苺が上がって行く。約30分、軽い登山を終え、展望台に上がると、その先にはビルの銀色が光る街が一面に広がっていた。
「リーダー、今は私のこと、どう思ってる?」
「今か。大切な仲間だよ。お前に何度も救われた」
「ありがと。実は私、迷惑かけてたんじゃないかって思ってたんだ」
「そんなこと無い。むしろ俺のとんでもなく雑な作戦で迷惑かけただろ」
「そんなわけないって。宗治がいなかったら、今頃ここには居なかった。魔王なんて倒せなかったし、もしも魔王をどうにかできても、きっと私達はみんなと一緒に日本に帰るなんて選択できなかった」
「なんだ、俺は意外と高評価だったんだな」
「意外となんかじゃないよ」
「じゃあ苺は俺をどう思っているんだ?」
苺が俺の正面に出て、手を後ろに組み、少し見つめ、
「『かけがえの無い存在』かな」




