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狂おしい果実から  作者: じょーかーOtuka
第一章 日常より
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第12話 ラブコメ

 はぁ、明日からまた学校がある。何で私学校行ってるんだろう。宗治に会える訳でも無いのに。

 学校行っている間に誰かに取られちゃったりしないかなぁ。宗治は魅力的だから心配になってしまう。

 ここにあるコイツも宗治を狙ってたから、きっと同じような奴が湧いているかもしれないなぁ。


 それはそうと、まだ宗治へのプレゼントには、更に改良を加えている。だってまだ時間があるし、より良いものをあげないとね。

 ところで、この腕とかはどうしようかな?結構場所とるから邪魔だし、処分したいな。



 昨日は取り調べで、本当に疲れた。自分の為でもあるとはいえ、緊張からか、家のベッドに横たわった途端、そのまま寝てしまった。


 朝、中途半端な目覚めのままに学校へ。教室に入っても人と話す気にならない。


「まーたため息ついてる。 幸せが逃げるぞ、宗治」


「ああ、涼袈(りょうか)か、今日は早いな」


「だって課題未提出なのが残ってたもん」


「それはお前が悪い」


「なんだよ、つまんない奴。 可愛い女の子にちょっとくらい同情してくれよ」


「自分で可愛いって言うやつに同情なんて無い」


「辛辣だなー」


「はいはい」


「よう、宗治!」


「おう、たくかおはよう」


「元気か? あの黒髪の人は」


「それストーカー(疑惑)の人だよな。 俺に聞くことじゃないよな」


「いいじゃねぇか、少しくらい宗治もラブコメしろよ」


「そうだよー。 宗治も最終回で刺されるんでしょ?」


「どこのクズの話だ」


「数多の女に手を出し、最終的には初恋の相手に刺されるなんて宗治らしいよな!」


「どういう意味だ!」


「でもでも、実は宗治意外とモテるだよね。 実際に私に宗治のことを聞きにくる子いるし」


「え? そうなのか?」


「そうそう。 だから、鈍感系のチーレム野郎って教えてるよ」


「俺がいつチート貰った! 内容が只の悪口だろうが!」


「いやー、ストーカーなんて羨ましいなぁ、宗治もついに刺されるのかぁ」


「お前覚えておけよ」



「ありがとうございましたー」


 今から昼休み。珍しく涼袈が俺の席に来て昼食に誘った。木の下のベンチで、横に並び弁当を食す。


「あのさぁ宗治、あの3日間って本当に何してたの?」


「前も言ったろ? 自分探しだって」


「だってさぁ、宗治って明らかにそんな人間じゃないじゃん。それに帰ってからも少しおかしいよ」


「それはだって……」


「それについて触れたのはごめん。 でも、帰って来てからは、メッセージ送っても返信遅いしやりとり続かないし、らしくない」


「……」


「どうしたの? いない間に何があったの、ねぇ?」


 沈黙が続く。異世界行ってたなんてこんな空気で言えるわけない。


 涼袈はつい感情的になってしまったことに気付いて、額に手を当てた後、


「……ごめんね、邪魔しちゃった。 先に席帰るから」


 校舎の方へ走り去って行った。



「お、宗治。 昼は涼袈と何話してたんだ?」


「別に何も」


「なんだよー、教えろよー。 どうせラブコメしてんだろ?」


「だから、違うって」


「涼袈が怒ってたのは振ったからか?」


「告られてねぇし」


 なんだよつまんねえなと拓が呟きながら、当たり前のように俺の帰り道についてくる。


「お前こっちだったか?」


「いや、気分だぜ」


「いや迷惑だな」


「まぁ、お前のストーカーと会えるのが楽しみってわけでもあったりするんだがね」


「何興味持ってんだよ」


「いいじゃねえか、たまにはよぉ。 前のお前なら笑いながら許してたぜ」


「わけねえだろ。 ストーカーだぞ」


「警察に連絡はしてんの?」


「一応」


「えー、つまんねぇの」


「いや普通するだろうが!」


「それじゃあ時間の問題かもな。 おっとこれ以上行くと帰りが遅くなる。じゃあな」


 拓はそう言い残し、来た道を戻って行く。


「やっと静かに帰れるぜ」



「何てな、そんな所いたら流石にバレるぜ」


「なんだ、気付いてたんだ」


 電柱の影から出たのは噂通りの長い黒髪の美少女。電柱の影に隠れるとか見本のようなストーカーだな。


「君、何者? あぁ、その前に俺が名乗るべきか」


「必要ないよ。 だってあなたに教える気は無いから」


「でしょうなぁ、不審者さんと仮で呼ばせてもらいますか」


「それは嫌」


「あんただろ? 春賀と智雄やったのは」


「もちろん。 邪魔だったからね」


「普通にサイコだな。 あんたで本が一冊書けそうだぜ」


「それはどうも。 でも残念、そんなこと言っている暇なんてないよ?」


「へぇ、自信があるんだな」


「"パラライズリング"」


 光る輪が拓に向かって飛来するが、拓は左に飛び避ける。


「宗治がラブコメして、俺がバトルアクションか。 バライティがあって悪くないな。 おっと危ない」


「そうやって逃げても無駄だよ。 "チェーントラップ"」


 ブロック塀が変形しチェーン状になったコンクリートに、拓は絡みとられる。


「残念だったね。 バトルアクションはおしまい」

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