134 領主編28 内政いろいろ
第8皇子ライオットと第9皇子ベンジャミンの領土が決闘により僕のものになった。
第8皇子主星系ダロン星系、配下のブィコフスキー男爵領惑星ウグリチ3のあるウグリチ星系、直轄領リビンスク星系、リュビーム星系。
第9皇子主星系グレイド星系、配下のアッテンボロー男爵領惑星レディング2のあるレディング星系、直轄領ダラム星系、グロスター星系。
皇子の元主星系がハブ次元跳躍門を持ち、他の星系の次元跳躍門がその下にぶら下がる形でグループ管理されている。
これが地球人連れ去りの中継点となっていたハブ次元跳躍門4つのうちの2つになる。
もう1つは第13皇子ケイン領だったアノイ星系のハブ次元跳躍で、もう1つが第10皇子ジェラルドから奪ったブライビー星系のハブ次元跳躍門だ。
その第10皇子からブライビー要塞に向けてメッセージが届いた。
僕がハブ次元跳躍門を押さえているため、ハブ星系グループ外に次元通信を送れないのでブライビー要塞向けでメッセージを送ったらしい。
内容は身柄の保護申請。
彼の支配星系にあのプロパガンダ映像を流してあげたところ、第10皇子自身も第4皇子ルーカスに狙われていると気付いたらしい。
僕が第4皇子のブライビー門通過を認めれば第8皇子や第9皇子と同じ運命だと悟ったようだ。
だがここで第10皇子を大っぴらに保護してしまうと、第4皇子を不必要に追い詰めてしまう。
そうなったならば第4皇子も身を守るために形振り構わずに動くだろう。
元々僕と戦う気があれば味方を切り捨てずに総力戦を挑んで来たはずだ。
おそらく第4皇子は、単独であっても僕より強いだろう。
それだけの力がありながら、味方を斬り捨ててまで戦わなかったことは、第4皇子が上位3皇子とのパワーバランスを重視したという現れだと思う。
それほどクローン兵の存在露呈はダメージだったのだ。
第4皇子自身がクローン兵に関わっていると知られれば上位3皇子に攻める口実を与え潰される。
だからこそ、その生き証人である第10皇子の存在が邪魔となってくるのだ。
「これって僕が真実を知ったら次は僕が邪魔になるという構図だよね?」
第10皇子保護は表向き拒否しよう。
第10皇子とは仲が悪いことをアピールして星系の閉鎖も解かない。
第4皇子にも第10皇子主星系ジェム星系へは進入させない。
その状態を維持することで保護としよう。
僕はこれ以上は何も知らない。だから第4皇子とも交流を持つ。
そうすることによって第4皇子も良い格好をするために地球人返還に応じざるを得ないだろう。
奴を煽ててもっと援助を引き出してやろう。
「さすが第4皇子すごーい(棒)」で行こう。
地球人奪還は順調に進んでいる。
行方不明者はSFOで活躍した人物に限られてきた。
姉貴の場合は皇帝の因子はもちろん、専用艦の装備が特殊なことでも狙われたようだ。
そういった装備狙いの誘拐も行方不明者には多い。
他にも驚くべきことがあった。
SFOによる誘拐以前の50年以上前に誘拐された地球人に生き残りが居た。
幸せに暮らしていて延命処置も受けていたそうだ。
外観はまだ若く寿命もまだ先だが地球に帰る気はないそうだ。
同時期に誘拐された人がほとんど亡くなっているだろうという証言を得られただけでも助かった。
もう居ない人を探すほど労力のかかることはないのだ。
新たに僕の領地となった星系の貴族や代官は僕に従うことを表明した。
ブィコフスキー男爵は誰が星系領主だろうが惑星領主として認めて貰えれば関係が無いようだ。
元々ウグリチ3は服飾ブランド惑星として有名で経済活動の自由が守られることのみが拘りのようだ。
アッテンボロー男爵は、帝国直轄領から割譲されて後から星系領主となった第9皇子が横暴なため、元々仲が悪かったそうだ。
彼は惑星領主として惑星レディング2の領民が守られれば上は誰でも良いらしい。
配下として従軍することを免除すれば税金も渡してくれるそうだ。
こっちは星系間貿易とレディング星系の守護任務さえしてくれれば税金無しでもいいんだが。
代官は不正さえしていなければ、そのままでいいだろう。
元々彼らは帝国直轄領だった星系が皇子誕生で星系領主が挿げ変わっただけであり、その星系領主がまた変わったとしても悪政さえ強要されなければ関係ないらしい。
僕としては支配星系が増えるということは、そこを守護する艦隊も増やさないといけないわけで、人員も物資も余計にかかりすぎる。
正直、僕には新たな星系を抱えるメリットが無い。税金をくれる? 防衛でそれ以上に持ち出しだろう。
だから独立採算で勝手に統治してくれる貴族や代官がいるなら全部任せたいところなのだ。
僕の支配星系では、人を増やすこと、有益な惑星を開発すること、移民を奨励し資源開発をすること、宇宙艦を製造し戦力を増強すること、新たな航宙士を養成すること等を行う必要がある。
上位3皇子に匹敵する経済圏と戦力を備える必要がある。
それまで真・帝国再興なんて夢のまた夢だ。
地球人奪還は続くが、膠着状態になって来た。
奪還不能な人は、既に亡くなっているか、質の悪い相手の手中にあるかだ。
そんな相手から地球人を奪還するためには武力衝突を避けることは出来ない。
ここまで支配星系が多くなると、その相手からの攻撃目標が多岐にわたるということだ。
支配星系の人々を犠牲にしてまで奪還に拘るのかというジレンマに突入しつつある。
そりゃ助けたい。なんたって姉貴がまだみつかっていないんだし……。
かと言って第4皇子と血みどろの死闘を繰り広げてまで奪還すべきかというと、犠牲になるかもしれない知り合いの顔が目に浮かんで躊躇する。
上位3皇子は地球人奪還に協力的だ。いまは彼らを頼るのが平和的に解決できる唯一の道だ。
だからとりあえず今は領地の平定に務めるしかない。




