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周回移動都市ヴェルサイユ《原案》  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》             サキミネを探せ〈前日譚〉
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〔第37話〕懐かしい木漏れ日は、大量の飛行艇と共に…

手術終わったのでゆっくら、よっこら描いていきやすか…

 


「どこ逃げるの!てか、美少年さん!そろそろ名前教えてくれても良いんじゃないですか!!!」


『ダメだ!今の世界は警察や法律が機能していない。自分の身は自分で守らないと!』


「ぜぜぜ前職…アイドルとか…?」


 私の予想に美少年は黙る。

 多分特定されたら困る職業、そういう点では正解なのだろう、いとも系統を簡単に言い当てる私にフブむくれて言う。


「ねぇ゛ーーー!!!今は行き先、考えて兎!!!」


「ごごごめん…」


「そろそろ外国人(サム)と美少年の体力持たないよ!」


「フブサン、アナタは相変わらず疲れ知らずデスネ…」


『この体力お化けめ…』



 ——————ダッダッダッダッ。



 3人は走る。

 大阪、なんばの街を忍者の如く駆ける。

 と言っても私はそうそうにダウンし、フブにコアラ(おんぶ)されている。

 しかし、私をコアラ(おんぶ)しているにも関わらずフブが1番疲れていないし、今の所1番スピードが出ている。

 す、凄いな…。


 そして私の提案により、商店街を抜け路地裏へ入る。

 フブが先頭を走っていた足を止め、一旦休憩を取る提案をした。

 恐らくフブ自身の為ではなく疲れている皆んなの様子を見て判断したのだろう。優しい。

 というか、集団のゾンビに追われている時、体力が無くなって足がもつれて転んだら詰みだ。



「とりあえず、今のところゾンビの追手は〜…居ないみたいだね。」


『ハァ…ハァ…あぁ…』


「フブサンばけもんデェス…」


 コアラ(おんぶ)されていた私とフブ以外が息を荒げる。

 フブは私を一旦下ろし、皆なに言う。


「ムキムキゾンビマン?に〜変な儀式してたゾンビ〜?なんかコレだけでその辺のホラー映画より怖くない?」


「たたた確かに…いいい意味わからなすぎる…」


『不気味極まりだな…』


「お家帰りたいデス。」


 私は外国人(サム)に用意して貰った自分のバックから水を取り出した。

 それを見た美少年が兎から水をくれると思い言った、が…


『あぁ助かる。あり…』



 ——————ゴクゴクッ。


 1番運動していない兎が水を飲んだ。


『お前が飲むんかい…』


「じじ自分の水…だ、大事…あああげない…」


『あぁ悪かったな。』


 美少年は自分のバックから水を取り出し飲む。

 この世界が今どこまでゾンビに侵食されているかわからないが、私にとってはもう食糧の争奪戦まで見えている。

 うん。

 そんな事を考えていると空から、とある騒音が聞こえて来た。



 ——————バタバタバタバタッ!!!



「ねぇ゛!ヘリコプターだー!!」


「てててTV局のかな…」


『助け求めてみるか?』


「あのヘリコプターでワタシの母国に帰してクレルカナ…」


 不気味なゾンビを見た後のヘリコプターは、世界に差す希望の光の様に思えた。

 まだまだ文明は滅んでいないんだと、そう強調する様な光…。


 次の瞬間、空に飛んでいるヘリコプターが花火の様に爆散した。



 ——————ドゴォーーーーンッ!!!



『はぁぁ?!なんだ!!!』

「母国へのキボウゥゥゥゥ!!!」

「えぇ?!?!」


 それぞれがリアクションをする中、兎は確かに見た。

 まだ壊れていなかった自分のマンションで、フブと望遠鏡を覗いた時に見えたアイツが高速でヘリコプターを貫通して行った姿を。


 そうだ、あの()()()()を確かに今この目で見た。


「あっ…あっ…」



 飛び散ったヘリコプターの花火が兎の瞳に咲き乱れる。

 不覚にも燃料が爆発して行く姿が綺麗に見えた。


 すると何故か誰かの感情やフラッシュバックと言った(たぐい)の物が流れ込んでくる。

 誰だろう、その人はこの人の事を凄く大切にしていて…

 戦って、戦って、戦って…


 流れ込まれた情報の嵐を乱雑に紐解(ひもと)こうとするが、それは叶わない。


 気づけばフブの方を振り向き私は(くち)づさんでいた。



「ベリエッタ…?」


 (まぎ)れもなく、私の言葉はフブに向かって発せられている。

 それ故にフブは混乱した様子で私に聞き返す。


「兎…誰に話しかけてるの?」


 フブから見た兎の目は自分ではない遠くの誰かを見ている様に見えた。


 フブの言葉で我に帰った私は自分の言葉に驚く。


「え…わわわ私、何言って…ベリエッタ…?って誰、」


「え、兎が言ったのに?!ベリエッタ…?知り合いの人?なんか…前にもその人と間違えられた様な…」


「ししし知らない人…ごめん…ちょっとボーっとしてたかも…」



 ——————ドドドドドドドドッ。



「ん?何かの音ぉ…」


 空から聞こえて来た鈍く低い音。

 同時に日向(ひなた)だった路地裏が日陰になる。


『おい!そんなこと話してないで逃げるぞ!』



 ——————ドドドドドドドドッ。



 大量の飛行艇が空を覆う。


「ななななッ?!」


「まずいよ!兎!まずいよ!」


「戦争デスカ?!」



 あっという間に大量の飛行艇が頭上の空を埋め尽くす。

 それは空の青さがまばらにしか見えなくなる程、多い。

 まるで、木陰が作り出す木漏れ日の様な…。

 言うなれば、これは木陰ではなく飛行艇の木漏(こも)()だ…。


 いつか見た25階からフブが飛び降りてきた日。

 プリントが散乱し、太陽光を乱雑に隠したあの日の景色みたいだ。



 ——————ドゴォーーーーンッ!!!



 さっき墜落したヘリコプターと同じ様に、飛行艇の1つが爆発した。

 そして今回の爆発で私以外のフブや美少年、外国人(サム)にもアイツが見えたらしい。


 巨大な“ロボット”が高速で飛行艇を貫いた姿を。


『やばい。アレ(飛行艇)が落ちて来たらやばい!地下鉄に逃げるぞ!』


 美少年の提案に私は反論する。


「だだだダメ…地下鉄は危ない…ゾンビ大量に隠れてるかも…通勤ラッシュの人達とかが…」


『じゃぁどこに逃げるんだ!』


「くくく車を見つけてそれでできるだけ遠くに行く…」


『わかった。皆んなキーが差しっぱなしの車を探そう。くれぐれもゾンビには噛まれるなよ!』



 ——————ドゴォーーーーンッ!!!



 また飛行艇が空で爆発した。

 恐らくあのロボットが再び飛行艇を攻撃したのだろう。



 ——————ヒュンッヒュンッヒュンッ。



 墜落(ついらく)している大きな飛行艇の部品が遠くからサム目掛けて飛んでくる。


「危ないサム!避けッ…」


 フブの掛け声も虚しくサムがそれに被弾したらしい。

 目視よりサムの周りへ吹き出した血飛沫でそれを自覚する。



 ——————バシュンッ。



 サムの左腕、(ひじ)から下が無くなった。



 ———ドスッ。



 サムは静かにその場へ倒れ込んだ。


『サム!!!』


 サムの左腕(ひじ)からピュッピュッと血が噴き出ている。


「やばい!止血しなきゃ!ロープ!ロープで止血しよう!」


 フブの判断で美少年が自分のバッグからロープを取り出した。

 美少年はそれをフブに渡し、フブはサムの腕を力一杯ロープで縛り止血する。


「ふふふフブ!急いでどこかの建物に避難しよ…そ、外よりはまし!!」


 私の提案で目の前にあった路地裏のドアを蹴り破るフブ。



 ——————バキャッ!



 美少年はサムを(かつ)いで開いたドアへ駆け込む。


「手伝う!」


 フブが美少年に担がれているサムを奪いお姫様抱っこする。


『相変わらず凄い力だな…いや,そんなことよりこの建物に地下はあるか!』


「んー、わかんない!兎!!階段探して!!」


「ああああった…こ、こっち!!」


 この建物の階段を見つけた私はそれに向かって指を刺す。


 階段を降りる一同、建物の中まで聞こえてくる飛行艇と謎のロボットが戦う轟音。

 飛行艇が落ちる度に揺れる地面。

 この世ならざる轟音が街に響く。


「地下何階まであるのコレ!」


「さささっき標識で見たら地下5階まであるらしい…」


『ここは何の建物なんだ?!見た感じ住居では無さそうだが…』


「だだだ大丈夫、ゾンビは居ないと思う…」


「えー、ほんと?!何でわかったの?!」


 サムを抱えながら悠々自適に階段を降りるフブが私に聞く。


「こここの建物…多分、廃墟…」


『どうしてそう思う?僕には結構綺麗な建物に見えたぞ?』


 階段を小走りで降りながら話す一同の疑問に兎が答える。


「ここここの建物の構造…的に…50年前の法律で…もし所有者がいる建物ならその所有者は捕まる…だから、所有者のいない廃墟ってだから許されてる…それに…」


『ぁぁ!もっとわかりやすく頼む!』


「な、ななッ…」


「兎が言うならそうなんだよ!そんな事よりサムの傷口をなんとかしないと!」


『地下5階にサムを寝かせる場所を探そう。』




 階段を降り地下5階へ到着するなり周りを警戒する一同。


 いくら廃墟でもゾンビがいるかもしれないからだ。

 当然の警戒と言えよう。


 下は倉庫の様な作りになっていた、特にこれといった特徴はない普通の倉庫だがダンボールが異様に多い。

 廃墟だからって誰か物置に使っていたのだろうか。

 正直、飛行艇の火が建物に引火し、火事になったら逃げられる場所が無さそうなのが心配だ。

 しかし、外に出ても空から降って来る飛行艇の残骸に潰されて終わり。

 今はここでやり過ごそう。

 フブがサムをダンボールで作ったベッドの上に下ろす。


「兎!なんか腕の大事な血管塞がってるか見て!」


 フブの言葉に従いサムの(ひじ)から下の無い腕の断面を見る。


「だだ大丈夫…フブがロープでキツく縛ってるから一様、止血はされてる…でも、ロープ外したら多分大量出血…」


「んー私医者じゃ無いからこの先わかんないどうしよう!」


『まだネットが繋がっているはずだ!検索してみ…は?!やばいぞ。ネット繋がらなくなってるぞ!』


「いいい医者を探さないと…ででも、外出れないし…」


『急がないとサムが…』


 皆に焦りの空気が流れる中、フブがある提案をする。


「わかった。私が医者を探しに行ってくるよ!」


「ででででも…そそ外は…」


『そうだ。外は危険すぎる死にに行く様なもんだぞ?』


 皆の心配に対し、フブは自信に満ち溢れた表情で返す。


「私、空からの落下物ぐらい避けれし!それに…今は私の運動神経に賭けてみようぜ!じゃないと、きっとサムは助からない。」


 フブの提案に美少年と私は押し黙る。

 フブならそれが可能なのだろうが、リスクが高すぎる。

 危険なのは空から降ってくる飛行艇だけでは無い。

 飛行艇を堕としているロボットや、ゾンビ、妊婦ゾンビや3メートルのムキムキゾンビ、それらの方がはるかに危険だ。


『外は危険だ。リスクを承知で言っているんだな?』


「私は大丈夫!近くの病院行って、包帯とか医者とか拾って帰ってくるよ!」


「むむむ無理しないでね…ああ危なそうだったらすぐ帰って来てもいいよ…」


「任せて!」





 そんなこんなで私、フブ、それぞれの短いひとり旅が始まった。



兎のフラッシュバッグの抜粋。


《ベリエッタ!!!》


《返すも何もまた廻るじゃない。》


《わ、私は。私はぁ!誰を、誰を殺せばまた会えるんだ!!》


《ハァ…落ち着いてよね〜愚か者。鳴き声は抑えてくれるぅ?》


〈ダメだ。ツグネがヴェルサイユに到着した。私は一手遅れた…どうすれば…ならば、もう始めるしか無い…〉


[私はもう負けない。負けない。負けない。負けない…。人じゃなくなった私はもうそれしか価値が無い。]


〔あのスフィア一機にヴェルサイユのスフィア何千万台が負けたのか?!一体どんなスフィアなんだ!!!〕

〔何?!変わらない?!我々が使っているスフィアの中の一種類と変わらない?そんな馬鹿な!違う明らかに性能が違いすぎ……〕


『ワタシだけが貴方を真に理解しているのよ?はぁ…ベリエッタ、そんなもの…』


{ツグネも殺す。アキラも殺す。カンネロードも、私を阻害する者全てを殺す。もうあの頃には戻れないし戻らない。ベリエッタ、ベリエッタ、ベリエッタを取り戻すまでは。}


《ハァ、頭の無い、ゲロゴミね。ほんっと。キモっち悪いわぁ》


《にゃ〜ん。にゃ〜ん。ベリエッタが〜。にゃ〜んと鳴いたら〜逆恨みぃ〜♫》


[神様なんて信じないわ。]


《私は貴方の為になら何にだってなる。殺人鬼、悪魔、神様、事象にだって…ねぇ、ベリエッタ。いま迎えに行くね。》

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