〔第29話〕「「ネジ緩めといたからぁぁぁぁぁぁぁあ」」
新キャラ【シャルロッテ】
名前だけ出てきてませんでしたね。
でも、ツグネとタフナ目線では、もしかしたらこの先、兎目線もケモノ女呼びで書くかも知れないです。
フブはちゃんと心の中でも名前で呼んでそう…
走る一軒家程の大きさを持つ馬車の中で独り呟く和服男。
『チッ、エヴァンテは都市に虎を入れ過ぎや。あんなん異常領域やんけ…イカれてる。』
するとなにやら和服男の座っている椅子の近くで巫女達が何人か立ち上がりワナワナと騒がしい様子で窓の外を見ていた。
『…うっさいわ。何や?』
巫女が焦った様にそれに返事する。
「この馬車の後ろからセネカ殿の馬車が…」
『あ゛?何や、ハッキリ言え。」
強い口調で話す和服男に対し、巫女は困った様な表情で言う。
「ちょ…挑発してきています…」
『は?んなもんほっとけ。俺は次の仕事にいかなあかんねん。』
和服男は悪辣な態度で巫女を突き飛ばし、そのまま倒れた巫女の顔を自分の目の前まで引っ張り上げて言う。
『あんなガキの対応ぐらいそっちでしとけや。』
「申し訳ございません。すぐに対処致します。」
「馬〜鹿!!!人外趣味の変態やろぉーーーー!!!あーーー!!!屋根に誰か居るヨォ、ツグネさんんん!!!」
「馬〜鹿!!!あっ、誰か出てきたな。やっちまうか〜?セネカさんや。」
「やっちまいますか〜ツグネさんや〜。」
セネカの馬車は和服男の馬車のお尻について周る。
セネカは馬車の馬もどきの背中に乗り指揮を取り、ツグネは自陣の馬車の屋根の上に登ってひたすら挑発の様な言葉を吐く。
「巫女さんじゃなくてぇ!テメェが出てこいや人外性癖和服男ぉぉおおお!!!」
馬車の屋根上同士で会話を始めるツグネと使いの巫女。
———「出過ぎた真似をし申し訳ございません。出来ればそのお控え頂けると…」
「べぁ〜かぁ↑しねぇッ!!!おい、オツキの巫女さん出して自分出てこないとかお山の大将かよ!そんな喧嘩したいなら喧嘩してやんよ!!!」
「うっほぉ〜言うねぇ〜ツグネさんや〜↑」
———「あの…本当に…辞めて頂けると…」
巫女が可哀想になってきたが、俺は巫女の言葉を遮り無理やり叫ぶ。
「お前らの馬車って超〜デカイよなぁ〜!だから接続部に掛かる負担大きいと思うんだよなぁ〜!」
———「何の話をしているので…」
——————ガンガンガンッ!!
和服男の乗っている馬車が大きく異音を立ててガタガタ揺れ始める。
巫女は大きく揺れる馬車からバランスを崩しそうになり体を屈める。
そして、一軒家ほどの大きな馬車が所々破損し出した時、俺とセネカがニヤニヤしながら同時に言う。
「「お前んとこの馬車の後輪、ネジ緩めといたからぁぁぁぁぁぁぁあ↑」」
——————ガンッ!!!
瞬く間に和服男の馬車が減速し、壊れ始める。
後輪がまともに機能しない事が余程致命的なのだろう。
「セネカ!逃げるぞ!」
「あいあいさーー!!!やったったっでぇ〜!!!」
セネカとツグネは止まった和服男の馬車を追い越し、通り過ぎる。
俺はその時、馬車の窓から和服男と目が合った。
(うぅ〜わ。こっわ…めっちゃこっち睨んでる…)
俺はニヤッと口角を上げ和服男を見下す。
セネカはベロを出し“ベ〜”をして、ツグネは中指を立てサヨナラの挨拶を済ませた。
我ながらロクでもない事をしている自覚はあるが案外楽しい物だ。
「いやぁ〜痛快だねぇ〜!」
「あぁ、いい朝になったな。」
2人はニヤニヤし、街道を進む。
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エヴァンはこの都市で2番目に大きい都会らしい。
その近くなだけあって結構道が整備されている。
そういえば、俺達はこれからどこへ行くのだろうか?
再びラフな時間が流れる。
俺は行き先を訪ねる為、馬もどきを指揮するセネカの後ろから話しかけた。
「なぁセネカ、次はどこ行くんだ?」
セネカは街道から流れる心地よい陽で暖まった風を前方から受け、眠たそうにしている。
「んぁ?!なんて?!」
「お前…今寝かけてたろ…」
「え…べべべ別に、馬車から流れる気持ちいい風に眠気がそそられてたとかじゃないしッ。」
「落馬したら終わるぞ。」
「ふふんっ!僕は大丈夫なのさッ!で、なんか僕に聞いた?」
「あぁ、えーと、あぁそうだ。今からどこ行くんだろうって聞いた。」
いらぬ雑談に本題を忘れそうになった俺は間一髪で自分のした質問を思い出した。
セネカは俺の質問に眠たそうな顔で淡々と答える。
「今からツグネには市民権を得る為のお勉強をして貰いますよォ〜ンッ。」
「試験…があるのか?」
「違う違う、別に試験とかじゃなくてこの都市に住む上で最低限知っておかないといけない事。みたいな感じだよ〜!」
「あ〜、試験が無いのもこの都市について教えてくれるのもありがてぇ〜…」
「まぁ簡単に言えば、これからエヴァンテの仕事場に行きます!」
「あのクソでかい教会ん中が仕事場じゃねぇのか?」
「んー、そうっちゃそうなんだけど、エヴァンテはお偉いさんと大事な事を決めに、よく外に出張したりするからなぁ。実際ほぼ外で仕事してる時間の方が長いんじゃないかな?」
「ほ〜ん。んで、俺がエヴァンテの仕事場になんの勉強しに行くんだよ?」
「この都市の派閥を勉強しに行くのさ♪汚ったねぇ〜裏事情をね♪」
セネカは笑いながら若干嫌そうな顔をする。
絶妙な何とも言えない表情だな。
写真を撮って額縁に飾っておきたい。
そんな事より、ずっと気になっていた事がある。
「222の事ほったからして、俺達はこんな呑気な事してて良いのかよ?」
セネカが指を顎に当てて何かを考える様な仕草をし、俺の質問に答える。
「なんかエヴァンテいわく、都市側がツグネと鷹田くんを確保した事によってちょっと時間が生まれたんだって〜。」
「ん〜、俺と鷹田がいる事によって222が攻めてくる時間が先送りになった…って事か…」
「ツグネって何者なんだヨォ〜ほれぇ〜ほれぇ〜ツンツン〜ほれぇ〜なんか教えろよぉ〜ほれぇ〜。」
ツンツン脇腹を突ついてくるセネカの指を叩き下ろす。
「あっ!!!そういえば、俺まだ市民権持ってなかったのか?!俺、てっきりもうエヴァンテに勧誘された瞬間市民権ゲットしてるもんだと思ってたわ〜…」
「まぁねぇ〜、市民権貰うにはヴェルサイユに“こんにちは”しなきゃいけないからね〜。」
「ヴェルサイユって人なのか…?」
「んー、わかんない!けど、難しい質問だなぁ。んー、じゃぁ人間と人の違いって何だと思う?」
「え、あー人間は生物的な分類のアレで、人は知性を持ち合わせる生き物と言う意味の比喩表現とかじゃねぇか?」
「まぁそんな感じだね…あのシャルロッテも種族は違えどちゃんと人なんだよね、この都市では。」
「んぁ?誰だよ、シャルロッテって。」
「あーあのエヴァンの門番任されてるケモい娘だよ。」
「アイツそんな名前してたのか…これまた随分と豪勢な名前だな…」
「話を戻すと〜。正直、僕もこの都市で過ごして二千年。ヴェルサイユの正体がわかった事なんて一度もないよぉ。あっ!でも、市民権を貰うその瞬間だけはヴェルサイユと1番距離近かったと思うな〜。」
「つまり、アレか?人間かどうかわからないがしっかり実在するって事かソイツは?」
セネカは申し訳なさそうに答える。
「んーごめん。本当にわからないんだ…。でも、今ここに市民権が存在するって事はヴェルサイユが実在する証拠なんだと思うけど…僕が見たアレがヴェルサイユかどうかはわからないんだ。」
「まぁそうだよな…」
謎が一つ溶ければ、また一つ増える。
人生って感じだ。
あー不快だ。
そして時間はゆっくり流れる。
馬車の窓を開け、穏やかな暖かい風を感じながらティータイムを楽しむ。
馬車は進み1時間が経過したであろう頃、次の目的地に到着したらしい。
セネカは馬車を止め、地面に降りる。
「よっと。」
「ちょっと、待て…セネカ…これは…いや、これって…」
俺は馬車の窓から見えた景色に驚愕し、馬車から急いで飛び降りる。
「ん?別に最初に刀、取りに行った場所とそんな風景変わんなくない?まぁこの建物の方が軍庫よりちょっとしょぼいか。」
「いや、違けぇよ…いや、だってここ…」
——————戦争で無くなった旧都市じゃねぇか…
ツグネの世界は“現世界”なのですが、兎達がいる“新世界”でも同じ様な戦争してました。
和服男の周りのオツキが関西弁で喋るので、つられてエセ関西弁になってる和服男、可愛いですね。
作者はバリバリの関西弁使えるからワザっとエセで書いてるんやで。ホンマやで。
【あー不快越えて、破壊!!!】




