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周回移動都市ヴェルサイユ《原案》  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》             サキミネを探せ〈前日譚〉
30/78

〔第28話〕和服の治安悪そうなイケメンお兄さん

なんで周回移動都市は巨大ロボットやSF的な刀や武器があるのに馬車なんて使ってるんですかね。そこに割と重要な理由があったりします。


 


 ツグネは刀以外の兵器をジロジロ品定めする。

 んー…なんか変なリングみたいな()が多いな…。

 変な形の武器はセネカに使い方を聞いても「これはわからない奴」としか返事が返ってこない。

 んー、なるほど。

 使い方がわかってる武器はごく一部って訳か…。


「まぁ今回は武器見るだけで、次来た時になんか選んでって感じだゾォ〜。じゃぁ、ツグネ〜そろそろ行くゾォ〜。」


「おう。なんか急に話し方キモイな…」


 2人は再度、馬車に乗り込み移動する。

 馬車ごと大きなエレベーターに乗り、地下の世界から高層の建物の中に戻る。

 建物の中から外へ出ようとした時、何やら大勢の人影が見えた。

 薄暗い通路から玄関口を抜け、眩い外の光に瞳孔が(せば)まる。

 最初に目に飛び込んできた衝撃の光景…。

 なんと一軒家程(いっけんやほど)の大きな馬車が止まっているではないか。

 その周りには白い服を着た巫女さんの様な人が大勢いる。

 その様子を見たセネカは馬もどきの足を止めさせ、馬車から出る。

 出ると巫女さん達がセネカの方向いてぺこっと挨拶していた。

 ぺこっとお辞儀をする姿に“和の心得(こころえ)”を感じざるを得ない。

 巫女さん達が一軒家ほどの大きさの馬車のドアにそそくさと階段を用意しその後、それぞれが列を成し花道を作っていた。


 しかし、その花道は人一人(ひとひとり)が通るには広すぎる様な気がする…というか絶対広すぎる。

 まるで(バケモノ)の為の花道みたいだ。



 ——————キィィィッ。



 一軒家程(いっけんやほど)の大きさを持った馬車のドアが開き、1人の男がゆっくり階段を降りてくる。



 ——————トンッ。トンッ。トンッ。トンッ。



 その男は和服を着ており、サラサラの髪に鋭い目、腰には刀の様な物を下げている。

 そして“大きな女”と”手を繋い”で階段を降りてきた。

 その男の隣にいる女は、恐らく人では無い。

 まずその女は体が大きすぎる、目測でしかないが成人男性の体の平均サイズより約3〜4倍大きい。

 普通の人間より腕が若干長く、その縮尺に違和感がある。 しかも、顔は布で隠され(まと)う雰囲気はまるで幽霊そのものだ。

 何より女の服装が質の良い、大きな着物を着ていて怖い。

 鋭い目の男はその大きな女と思われるバケモノと恋人繋ぎでゆっくり馬車から降りてきた。


 人外趣味なのだろうか…。


 おっ、近づいてきた…。


 男を近くで見る、それはそれはイケメンだった。

 目は赤く宝石の様で、髪は漆黒の黒、少女漫画とかに出てきそうだ。

 髪型はマッシュかな…?



 ——————『お前がツグネか。』



 名前を呼ばれた。


「んあ?あぁ。…んで、何の様だよ。」


 男は人外女と恋人繋ぎをしたまま話し出す。



 ———『チッ。エヴァンテにはうんざりだ。』



 俺はその言葉の意味を理解できずセネカの方に助けを求める。

 チラッとセネカの方を見るとやれやれと言わんばかりの顔をし、俺の前へ出てきた。


「ねぇ、いきなり挨拶も無しに身内の悪口言われるの結構不快なんだけどぉ〜。」


 セネカの言葉に和服男はどこか気に入らない様子で反応を示す。

 その態度を見ているだけで、セネカと和服男が敵対関係にあるという事が見てとれる。



 ———『副隊様がこんな所でピクニックか、良いご身分だな。』



「あぁそうでちゅかぁ〜嫌味が言いたくて仕方ないんでちゅねぇ〜↑べー!もうちょっとマシな嫌味考えてきてから出直してきてくださぁ〜い!死ねぇ!」


 セネカの方がよっぽどガキッぽいな…。


「おい、和服。お前何しにきたんだよ。わざわざ嫌味言いにきたのか?俺はまだ都市に来たばっかだけどよぉ、お前に嫌味言われる筋合いはねぇと思うんだけど。」



 ———『チッ。ちょっと近くに寄ったから虐めたろ思って様子見に来たけど、こんなバケモンが隣におる思わんやろ、帰るぞお前ら。」



「うわぁ〜人見て逃げ出すんだぁ〜!だっさぁ〜!」


 セネカの挑発に和服男は反応しない。

 隣の人外女はただ手を握ってそこにいるだけで特に何かをする様子はない。

 その後、ぞろぞろと一軒家ほどの大きな馬車の中へ帰っていく巫女さんと和服男の様子を横目に俺はセネカに耳打ちする。


「セネカ、お前そんなバケモンって呼ばれるぐらい強いのか?」


「えぇ?あー、バケモンって呼ばれたのは君だよ?」


「は?」


 俺は時間戻れるだけで戦闘能力は皆無(かいむ)だと思うんだが…やり直しがそんなに強いのか?

 まぁ、強いか。それはそうか…。

 まぁ最強だな。

 いやいやいや、そーゆー事じゃないだろ。

 俺のやり直しはエヴァンテとタフナと他数名以外知らないはずだ。

 他数名も全員の顔は把握しているつもりだ。

 そして和服男はその他数名にはいない。

 なのになぜコイツは俺に対してバケモノなどと言えたのだろうか。

 まぁなんでもいい。

 もう俺は都市の味方だ。

 何も怖がる必要は無いと思う…が、まぁ都市の中同士でも意見の対立や勢力の違いはあるのだろう。

 てか、何で俺の能力教えてないのに和服男は怖がってんだろう…。

 俺そんなオーラ放ってるとか厳つい見た目してるわけでもないのにな…。


「なんか、まだわかんねぇことが多いな…」


「こんなダサ男の言う事、気にしなくていいからね。」


 セネカの優しさを感じさせるフォローが入る。

 俺は少しずつ遠くなる和服男に対し、大声で聞く。


「おい、お前名前は?」


 馬車に乗り込んで撤収する準備をしている和服男は、巫女さんがドアを閉める前にツグネへ返事する。



———『黙れ。エヴァンテの傀儡風情(かいらいふぜい)が。』



 ——————キィィィッバタンッ。



 ドアが閉められ、大きな一軒家ほどの馬車が動き出した。

 俺は過ぎ去る馬車を見て静かに言う。


「カッチィ〜ンッ。セネカ、アイツの後追うぞ。イタズラの時間だ。」


「次の予定あったけど知ったこっちゃないね!いいよ!楽しそうだし!」


 そして2人は馬車に乗り、和服男の乗った馬車の方向へ動き出す。


 ———『チッ。ちょっと近くに寄ったから虐めたろ思って様子見に来たけど、こんなバケモンが隣におる思わんやろ、帰るぞお前ら。」


和服男が虐めたろぉ〜思ってた対象はセネカです。

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