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周回移動都市ヴェルサイユ  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》            [第二章]サキミネを探せ
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〔第29話〕「「お前んとこの馬車の後輪、ネジ緩めといたからぁぁぁぁぁぁぁあ↑」」

新キャラ【シャルロッテ】

名前だけ出てきてませんでしたね。

でも、ツグネとタフナ目線では、もしかしたらこの先、兎目線もケモノ女呼びで書くかも知れないです。

フブはちゃんと心の中でも名前で呼んでそう…

 

『チッ、エヴァンテは都市に虎を入れ過ぎた。あんなん異常領域や…イカれてる。』



 走る一軒家程の馬車の中で独り言を呟く和服男。

 和服男が座っている椅子の隣で何やらオツキの巫女さんが騒がしい。


『…うっさいわ。何や?』


 巫女さんが焦った様にそれに返事する。


「この馬車の後ろからセネカ殿が…」


『あ゛?何だ。ハッキリ言え。」


 強い口調で話す和服男に対し、巫女さんは困った様な表情で言う。


「ちょ…挑発してきています…」


『は?んなもんほっとけ俺は次の仕事にいかなあかんねん。』


 和服男は悪辣(あくらつ)な態度で巫女さんを突き飛ばし、倒れた巫女さんの顔の前で話す。


『あんなガキの対応ぐらいしとけや。』


「申し訳ございません。すぐに対処致します。」


 数十人待機している巫女さんの内、1人の巫女さんが一軒家程の馬車の屋根に出る。


「馬〜鹿!!!人外趣味の変態やろぉーーーー!!!あーーー!!!誰か屋根に居るヨォ!!!」


「馬〜鹿!!!あっ、誰か出てきた。」


 セネカの馬車は和服男の馬車の後ろについて周る。

 セネカは馬車の馬もどきの背中に乗り指揮を取り、ツグネは巫女さん同様、自陣の馬車の屋根の上に乗ってひたすら挑発の様な言葉を吐く。


「やっと出てきたと思ったらアイツじゃねぇのかよぉ。さっき車の煽り運転みたいなすれっすれで馬車走ってたんだけどヨォ〜、()()()()しちゃったよそん時。」



 ———「出過ぎた真似をし申し訳ございません。出来ればそのお控え頂けると…」



「べぁ〜かぁ↑しねぇッ!!!おい、オツキの巫女さん出して自分出てこないとかお山の大将かよ!そんな喧嘩したいなら喧嘩してやんよ!!!」


「うっほぉ〜言うねぇ〜ツグネさんや〜↑」



 ———「あの…本当に…辞めて頂けると…」



 巫女さんが可哀想になってきたが、ツグネは巫女さんの言葉を遮り言う。


「お前らの馬車って超〜デカイよなぁ〜!だから接続部に掛かる負担大きいと思うんだよなぁ〜!」



 ———「何の話をしているので…」



 ——————ガンガンガンッ!!



 和服男が乗っている馬車が大きく異音を立ててガタガタ揺れ始める。

 巫女さんは大きく揺れた馬車からバランスを崩しそうになり体を屈める。

 そして、セネカとツグネがニヤニヤしながら同時に言う。


「「お前んとこの馬車の後輪、ネジ緩めといたからぁぁぁぁぁぁぁあ↑」」



 ——————ガンッ!!!



 (またた)()に和服男の馬車が減速する。

 後輪がまともに機能しない事が致命的なのだろう。


「セネカ!逃げるぞ!」


「あいあいさーー!!!やったっでぇ〜!!!」


 セネカとツグネは止まった和服男の馬車を追い越し通り過ぎる。

 その時、窓から見えた和服男と目が合った。


(うぅ〜わ。こっわめっちゃ睨んでる…)


 セネカはベロを出しベ〜をし、ツグネは中指を立ててサヨナラの挨拶を済ませた。

 我ながらロクでもない事をしている自覚はあるが案外楽しい物だ。


「いやぁ〜痛快(つうかい)だねぇ〜!」


「あぁ、いい朝になったな。」


 2人はニヤニヤし、街道を進む。






 ———————————————#####



 エヴァンはこの都市で2番目に大きい都会らしい。

 その近くなだけあって結構道が整備されている。

 そういえば、俺達はこれからどこへ行くのだろうか?


「なぁセネカ、次はどこ行くんだ?」


 ラフな時間が流れ、馬もどきを指揮するセネカの後ろから話しかけるツグネ。

 セネカは街道から流れる心地よい風を前方から受けながら眠たそうにしている。


「んぁ?!なんて?!」


「お前…今寝かけてたろ…」


「え…べべべ別に、馬車から流れる気持ちいい風に眠気がそそられてたとかじゃないしッ。」


落馬(らくば)したら終わるぞ。」


「僕は大丈夫なのさッ!で、なんか僕に聞いた?」


「あぁ、えーと、あぁそうだ。今からどこ行くんだろうって聞いた。」


 いらぬ雑談に本題を忘れそうになったツグネ、間一髪で自分のした質問を思い出した。

 セネカはツグネの質問に淡々と答える。


「今からツグネには市民権を得る為の勉強をして貰いますよォ〜ンッ。」


「試験…があるのか?」


「違う違う、別に試験とかじゃなくてこの都市に住む上で最低限知っておかないといけない事。みたいな感じだよ〜!」


「あ〜、試験が無いのも、この都市について教えてくれるのもありがてぇ〜…」


「まぁ簡単に言えば、これからエヴァンテの仕事場に行きます!」


「あのクソでかい教会ん中が仕事場じゃねぇのか?」


「んー、そうっちゃそうなんだけど、エヴァンテはお偉いさんと大事な事を決めに、外に出張したりするからなぁ。実際ほぼ外で仕事してる時間の方が長いんじゃ無いかな?」


「ほ〜ん。んで、俺がエヴァンテの仕事場になんの勉強しに行くんだよ?」


「この都市の派閥(はばつ)を勉強しに行くのさ♪汚ったねぇ〜裏事情をね♪」


 セネカは笑いながら嫌そうな顔をする、絶妙な何とも言えない顔だ。

 写真を撮って額縁に飾っておきたい。

 まぁあり大体に言えばめんどくさそうな顔だ。

 そんな事より、ずっと気になっていた事がある。


222(セカンドオーダー)の事ほったからして、俺達はこんな呑気な事してて良いのかよ?」


 セネカが指を顎に当てて何かを考える様な仕草をし、答える。


「なんかエヴァンテいわく、都市側がツグネと鷹田(たかだ(配信者))くんを確保した事によって時間が生まれたんだって〜。」


「ん〜、俺と鷹田がいる事によって222(セカンドオーダー)が攻めてくる時間が先送りになった…って事か…」


「ツグネって何者なんだヨォ〜ほれぇ〜ほれぇ〜ツンツン〜ほれぇ〜なんか教えろよぉ〜ほれぇ〜!」


 ツンツン突くセネカにツグネは答える。


「あっ!!!そういえば、俺まだ市民権持ってなかったのか?!俺、てっきりもうエヴァンテに勧誘された瞬間市民権ゲットしてるもんだと思ってたわ〜…」


「まぁねぇ〜、市民権貰うにはヴェルサイユに“こんにちは”しなきゃいけないからね〜。」


「ヴェルサイユって人なのか…?」


「んー、わかんない!けど、難しい質問だなぁ。人間と人の違いって何だと思う?」


「え、あー人間は生物的な分類のアレで、人は知性を持ち合わせる生き物と言う意味の比喩表現とかじゃねぇか?」


「まぁそんな感じだね…あのシャルロッテも種族は違えどちゃんと人なんだよね、この都市では。」


「んぁ?誰だよ、シャルロッテって。」


「あーあのケモい()だよ。」


「アイツそんな名前してたのか…豪勢な名前だな…」


「正直、僕もこの都市に来て二千年。ヴェルサイユの正体がわかった事なんて一度もないよぉ。でも、市民権を貰うその瞬間だけはヴェルサイユと1番距離が近かったと思う。」


「つまり、アレか?人間かどうかわからないがしっかり実在するって事か?ソイツは。」


 セネカは申し訳なさそうに答える。


「んーごめん。本当にわからないんだ…でも、今ここに市民権が存在すると言う事はヴェルサイユが実在する証拠なんだと思うけど…僕が見た()()がヴェルサイユかどうかはわからないんだ。」


「まぁそうだよな…」


 謎が一つ溶ければ、また一つ増える。

 人生って感じだ。

 あー不快だ。


そして馬車は進み1時間が経過したであろう頃、目的地に到着した。

セネカは馬車を止め、地面に降りる。


「よっと。」


「ちょっと、待て…セネカ…これは…いや、これって…」


ツグネは馬車の窓から見える景色に驚愕し、馬車から飛び降りる。


「ん?別に最初に刀、取りに行った場所とそんな風景変わんなくない?」


「いや、違けぇよ…明確に、だってここ…」



——————戦争で無くなった旧都市じゃねぇか…



ツグネの世界は“現世界”なのですが、兎達がいる“新世界”でも同じ様な戦争してたんですね。愚可愛いですね♪


和服男の周りのオツキが関西弁で喋るので、つられてエセ関西弁になってる和服男、可愛いですね。

作者はバリバリの関西弁使えるからワザっとエセで書いてるんやで。ホンマやで。



【あー不快越えて、破壊!!!】

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