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周回移動都市ヴェルサイユ  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》            [第二章]サキミネを探せ〈前日譚〉
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〔第28話〕和服の治安悪そうなイケメンお兄さん

なんで周回移動都市は巨大ロボットやSF的な刀や武器があるのに馬車なんて使ってるんですかねぇ〜。( ◜▿◝ )ニヤッ。


 


 ツグネは刀以外の兵器を見る。

 んー…なんか変なリングみたいな奴が多い。

 セネカに聞いても「使い方がわからない奴」としか返事が返ってこない。

 んー、使い方がわかってる武器はごく一部って訳か…。


「ツグネ〜そろそろ行くゾォ〜。」


「おう。話し方キモイな…」


 2人は再度、馬車に乗り込み移動する。

 エレベーターに乗り、地下の世界から高層の建物の中に戻る。

 建物の中から外へ出ようとした時、何やら大勢の人影が見えた。

 薄暗い通路から玄関口を抜け、眩い外の光に瞳孔が(せば)まる。

 最初に目に飛び込んできた光景、一軒家程(いっけんやほど)の大きな馬車が止まっている。

 その周りには白い服を着た巫女さんの様な人が大勢いる。

 その様子を見たセネカは馬もどきの足を止めさせ、馬車から出る。

 セネカが馬車から出ると巫女さん達がセネカの方向いて挨拶する。

 ぺこっとお辞儀をする姿に“和の心得(こころえ)”を感じる。

 巫女さん達が馬車のドアから地面に繋がるまでの階段を用意して、その後、それぞれが真っ直ぐ並び花道を作った。

 しかし、何故だろう。

 違和感がある…。

 その花道は人一人分(ひとひとりぶん)が通るには広すぎる様な気がする…というか絶対広すぎる。

 まるで熊の為の花道みたいだ。



 ——————キィィィッ。



 一軒家程(いっけんやほど)ある大きな馬車のドアが開き、1人の男がゆっくり階段を降りてくる。



 ——————トンッ。トンッ。トンッ。トンッ。



 その男は和服を着ており、サラサラの髪に鋭い目、腰には刀の様な物を下げている。

 そして“大きな女”と”手を繋い”で階段を降りてきた。

 その男の隣にいる女は、恐らく人では無い。

 まず体が大きすぎる、目測でしかないが男の体のサイズより女は3〜4倍大きい。

 腕は普通の人間より若干長く、違和感があり、顔は布で隠されている。

 (まと)う雰囲気はまるで幽霊…。

 何より女の服装が質の良い、大きな着物を着ていて怖い。

 鋭い目の男はその大きな女と思われるバケモノと恋人繋ぎをし、地面に降りてきた。

 人外趣味なのだろうか…。


 おっ、近づいてきた…。


 男を近くで見る、それはそれはイケメンだった。

 目は赤く宝石の様で、髪は漆黒の黒、少女漫画とかに出てきそうだ。

 髪型はマッシュかな…?



 ———『お前がツグネか。』



 名前を呼ばれた。


「え?あぁ。…んで、何の様だよ。」


 男は人外女と恋人繋ぎをしたまま話出す。



 ———『チッ。エヴァンテにはうんざりだ。』



 ツグネはその言葉の訳もわからず困惑する。

 セネカの方を見るとやれやれと言わんばかりの表情をしている。


「ねぇ、いきなり挨拶も無しに身内の悪口言われるの結構不快なんだけどぉ〜。」


 セネカの言葉に和服男は嫌な反応をしめす、その態度を見ているだけで、セネカと和服男が敵対関係にあるというのがわかる。



 ———『副隊様がこんな所でピクニックか、良いご身分だな。』



「あぁそうでちゅかぁ〜嫌味が言いたくて仕方ないんでちゅねぇ〜↑べー!」


 セネカの方がガキッぽいな…。


「おい、和服。お前何しにきたんだよ。俺らに何の様なんだぁ?わざわざ嫌味言いにきたのか?あ?俺はまだ都市に来たばっかだけどよぉ、嫌味言われる筋合いはねぇと思うんだけど。」



 ———『チッ。ちょっと近くに寄ったから虐めたろ思って様子見に来たけど、こんなバケモンが隣におる思わんやろ、帰るぞお前ら。」



「うわぁ〜人見て逃げ出すんだぁ〜!だっさぁ〜!」


 セネカの挑発に和服男は反応しない。

 隣の人外女はただ手を握ってそこにいるだけで特に何かを喋ったりしなかった。

 ツグネはセネカに耳打ちする。


「セネカ、お前そんなバケモンって呼ばれるぐらい強いのか?」


「えぇ?あー、バケモンって呼ばれたのは君だよ?」


「は?」


 俺は時間戻れるだけで戦闘能力は皆無(かいむ)だと思うんだが…やり直しがそんなに強いのか?

 まぁ、強いか。それはそうか…。

 でも、もう俺は都市の味方だ。

 何も怖がる必要は無いと思うが、あぁ都市の中同士でも意見の対立や勢力の違いはあるか…。

 だからっていくら何でもバケモン呼ばわりはひでぇだろ…。

 一様、市民同士、仲間だろ……。

 てか、何で俺の能力教えてないのに和服男は怖がってんだろう…。

 まだ、俺の能力はタフナしか知らないはずだけど…。

 あ、エヴァンテにバレてたわ、てか、ヴェルサイユにバレてたわ…。

 でも、和服男は俺のギアの正体を知らないはずだ。

 気配…?気迫…?エヴァンテみたいにヴェルサイユに教えてもらったとか…?

 いや、それは無い。

 エヴァンテ“しか”ヴェルサイユ”と話せないらしいからな。


「なんか、まだ、わかんねぇことが多いな…」


「こんなダサ男の言う事、気にしなくていいからね。」


 セネカのフォローが入る。

 ツグネは思い立って和服男に聞く。


「おい、お前、名前は?」


 馬車に乗り込んで撤収する準備をしている和服男はドアを閉める前にツグネに返事する。



———『黙れ。エヴァンテの傀儡風情(かいらいふぜい)が。』



 ——————キィィィッバタンッ。



 ドアが閉められ、大きな一軒家程の馬車が動き出した。

 ツグネが過ぎ去る馬車を見て黒い目で言う。


「カッチィ〜ンッ。セネカ、アイツの後追うぞ。イタズラの時間だ。」


「次の予定あったけど知ったこっちゃないね!いいよ!楽しそうだし!」


 そして2人は馬車に乗り、和服男が乗った馬車の方向へ動き出す。


 ———『チッ。ちょっと近くに寄ったから虐めたろ思って様子見に来たけど、こんなバケモンが隣におる思わんやろ、帰るぞお前ら。」


和服男が虐めたろぉ〜思ってた対象はセネカです。

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