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周回移動都市ヴェルサイユ《原案》  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》             ようこそ新世界へ〈前日譚〉
25/78

〔第23話〕なぁァ…アンタァ〜…娘はァおるん…?

新キャラ【カンネ•ロード】【カスミ】

頑張れ兎パパァ。

 

 サキミネの号令で防衛省の外壁に設置されていた警備ロボが一斉に動き出す。

 大きな警備ロボはそれぞれドローンの様な羽がついており、真っ直ぐメイトン目掛けて飛ぶ。

 あっという間に警備ロボがチャイナ服女を頭上を囲む。



 ———『歓迎されてるな〜。うち素直に嬉しいわぁ。』



 サキミネは壁一面にモニターが設置された部屋に移動し、そこから各職員へ指示を飛ばす。

 沢山の職員がそれぞれの椅子に座りモニターを監視しつつありとあらゆる兵器を操作し、チャイナ服女に対抗する。


「射撃を開始せよ。」


 サキミネが言い放ったその瞬間、チャイナ服女の頭上を囲んでいた警備ロボが一斉に銃口を向け射撃を開始する。



 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!



 密度の高い乱射がチャイナ服女を襲う。

 モニターからは銃撃で舞い上がった砂埃しか見えない。

 が、サキミネは冷静に続けて言う。


「対象にナノシステムの使用を許可する。最大出力で動きを止めながら機銃で蜂の巣にしろ。」



 ——————キィィィンッキィィィンッキィィィンッ。



 空気が目に見えるほど揺らぐ。

 砂埃が上下に揺れ異様な振動を見せる。


 束の間、生きているか死んでいるかわからないチャイナ服女に再び射撃が開始される。



 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!


 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!



 ——————シューッ。



 サキミネ含めた職員全員はモニター越しに唾を飲む。

 ゆっくりゆっくり舞っている砂埃が、薄れ始めた。



 ———『(いった)いなぁ…やり過ぎちゃう?』



 砂埃から鈍く光る眼光(がんこう)がモニターの画面越しに揺れる。

 間を置かず、チャイナ服女は空に向かって拳を振り上げた。

 その瞬間、同時にチャイナ服女の頭上を飛んで囲んでいた警備ロボが“上”へ吹き飛ぶ。



 ——————ブォンッ!!!



 一瞬の豪風により防衛省の建物が再び大きく揺れた。

 一方、チャイナ服女の攻撃により、警備ロボは空の彼方(かなた)へ吹き飛び消えていった。



 ———『はい、終わり。次は何がくるんやろうね〜♪』



 [な、なんだと…そんな馬鹿な!何故、奴は動いている!!]

 [な、何がどうなって…]

 [大臣!!]

 [バ、バケモノ…]

 [大臣!!次の命令を!!]


「ナノシステムが通用しない人間など、思考の持たないバケモノしかいないはずだ。となると、我々の科学が通用しない()()()をアイツは使っているのか…」


 サキミネの隣で秘書がこそっと言う。


「どうしますか大臣。」


「まずは何の為にここへ来たのか…聞こうか…。侵略とはいえ交渉は大事だ。」


 防衛省が所有する犬型の機械を玄関の入り口からチャイナ服女の元まで走らせた。


 ———『どぉーしたん?あっ!うちこれ知ってるでぇ!犬って言うんやろぉ?』


「すまないね。犬型のロボットなだけで犬ではないんだ。」


 犬型ロボットからサキミネの声が鳴る。


 ———『お〜この犬はロボットなんやねぇ。どーしたん?次の攻撃はこのロボットでしてくるん?』


「いやいや、勘違いしないでくれ、我々は交渉しに来たんだよ。」


 ———『あんなに攻撃してきたのに交渉って、ちょっと遅いんとちゃう〜?』


「この敷地をボロボロにしといて何言ってんだよ。お互い様だろ?」


 ラフな会話、交渉とは思えない軽い雰囲気になる。

 しかし、サキミネとチャイナ服女は互いを探りながら話す。


 ———『さては、アンタら!ここに来た目的が知りたいんやろ!』


「察しがいいね、じゃぁ早速理由を聞いても?」


 ———『話の聞き出し方に芸がないなぁ〜。』


「毎日仕事ばかりでそんな芸、磨く時間がないんだよ。早く目的を聞かせてくれ。」


 ———『ええよぉ。うちは()()()()って言う人物を探してたんよぉ〜。ほんなら、ある時ぃ街のカデンヤサンって言われるところのテレビで見かけたんよ〜サキミネ防衛大臣って人を。』


「…ほう。」


 ———『ほんで〜周りの人に聞いたんよぉウチ。この人はどこに居るのぉ〜って、ほんならここに辿り着いたってわけよぉ。』


「私がそのサキミネだ。…で、目的は何だ。」


 チャイナ服女は犬型のロボットの頭を撫でて言う。


 ———『“222(セカンドオーダー)に対抗できるチカラを持っている”ってきいてんねやけど…ほんまなん〜?』


「…222(セカンドオーダー)とは、何…だ?」


 知らない単語にただ戸惑うサキミネ。

 周りの職員の顔もチラッと見るが誰1人その単語を知る者はいない様子だ。

 そんな内部事情も知らずチャイナ服女は淡々と話を続ける。


 ———『うちらはなぁ、222(セカンドオーダー)に暴れて欲しいんよぉ〜。だからなぁー、サキミネは殺さなあかんねん。』


「私はお前に殺されるのか?」


 ———『ごめんなぁ〜。まぁそうなるわなぁ。』


「そうか、お前の名前は?」


 ———『メイトンって言うねん、短い間になると思うけどよろしくなぁ〜。』


 モニターに映るメイトンは腕を大きく振りかぶり攻撃の体制をとる。










 ———————————————#####


『ふ〜んふふ〜ん♪』


 夕焼けに染まる空。

 夏が終わりに近づき、少しずつ陽の落ちる速度が遅くな出ていくのがわかる。

 ボロボロになった敷地にゴロゴロと転がる壊れた兵器の山。

 メイトンの襲来で駆けつけたどこかの軍隊の人間もそこら中に転がっている。

 まるで使い捨てられた薪木の様の如くだ。

 現状、防衛省の建物は半壊し、ただそこに建っているだけの状態になっている。

 メイトンはサキミネの首に手をかけて持ち上げる。


「ぐぅッ…」


『ギア持ちは普通の人間よりチカラ強いんよなぁ〜。ほんま不思議やでなぁ〜。あっコレ意外と知らん人おおいいねんなぁ。まぁチカラ強いゆーても私程ではないけどぉなぁ〜キャッキャッキャッキャッ。』


「ぐッ…ぅ…」


 サキミネは自分より体の小さなメイトンに首絞められ片手で持ち上げられている矛盾。

 本来なら地面に足がつく高さのはずが、両足を折られて踏ん張れない。


「ぅ、うッ、ウゥ…」


『おっと…まだ死なれたら困るなぁ。』



 ———パッ。



 ———ドサッ。



「ゴホゴホッ、ハァッ…ハァ…ハァ…」


『ん〜、これが222(セカンドオーダー)に対抗できるとは思えんなぁ〜。』


「だ、から…人違いって…ゴホッ!言ってッてだろ…」


『んーでも、サキミネって名前ぇそうそうおるもんちゃうと思うけどなぁ〜…あっ、あぁ〜!』


 メイトンはぐったりうつ伏せに倒れているサキミネの髪の毛を掴み頭を持ち上げる。


『お父さんおる〜?』


「ち、父も母も旧首都の戦争で死んだ。」


『妹、弟、兄、姉はおるん〜?』


「いない…」


『お嫁さんはおるん〜?』


「それも旧首都の戦争で死んだよ。何なんだお前…ハァハァ…一体何を聞いて…」


『ん〜悲しい(ひと)()やねぇ…んー…あっ!』


 メイトンはこの世の悪意を煮詰めた様な表情でニヤけながら言った。


『なぁァ…アンタァ〜…娘はァおるん…?』


「…いない。」


 メイトンは笑った。


『当たりィィィィイ!キャッキャッキャッキャッ!!』


「居ないぃ!居ないぃ!居ないって言ってるだろぉ!!」



 ——————ドチュンッ。



 メイトンはサキミネの腹に穴を開けた後、防衛省を背に歩き出す。


「ゴホッ…ダ、ダメだ…」


『ふ〜ん、ふふ〜んっ♪今日はいい収穫やったわぁ!』


 サキミネは意識が朦朧(もうろう)とする中、胸からメモ帳を取り出し最後のチカラで必死に書く。

 ある程度、書き終えた瞬間倒れた体で空を見る。


「う、兎……」


 そして、サキミネの目から星が見えなくなった。











 ———————————————#####




 ——————パチパチパチッ…。



 太陽が完全に沈み、夜の暗闇が燃え盛る炎を際立(きわだ)たせる。

 燃える兵器と人間の死体、ハエが(たか)っていない事からまだ死んで間もない事が見て取れる。

 そんな兵器の残骸と死体が転がる中、2人の女がひとつの死体の前で話す。



 ——————「チッ、遅かったかァ。」



 見た目とは裏腹に田舎のヤンキーみたいな喋り方をする女。


 ———「…この破壊力…()()()()だな。」


 ——————「ていうかァいつまで被ってんだァその馬鹿でかい帽子…」


 ———「ふっ、気に入ってるんだ構うな。」


 ——————「とりあえずサキミネェの死体(さが)っぞ。」


 ———「まだ、死んでるとは限らんだろ。」


 ——————「あぁ、でも、一様探(いちようさが)っぞ。」


 ———「お願いだから死んでないで欲しい。」



 2人の女は、一体一体の死体の顔を見て回る。



 ——————「おい!サキミネいたぞぉ!!!」


 ———「ナニ?!」


 ヤンキー女の元へ駆けつける帽子女。


 ——————「これァ…死んでんな…」


 ———「間に合わなかったか。」


 2人の視線の下には防衛省トップのサキミネが居た。

 腹には穴が空き両足の骨が折られている、言うまでも無く無惨な姿で死んでいた。


 ——————「ハァ…オーダーとの戦いどォすんだァよ。」


 その時、帽子を被った女がサキミネの手の中に何か握られていることに気づく。


 ———「待て、手に何か握ってる…。メモ…?遺言か。」


 ——————「何書いてェあんだよ。」


 ———「読み上げるぞ。」



 [私はサキミネと言う。間も無く死ぬ。娘がマズい。場所は大阪なんば◯◯町××号ウサギタワー。このメモを見てるのがメイトンの敵対勢力である事を願う…ウサギをたの…]



 急いで書かれた文章は必要最低限の情報と想いが(つづ)られていた。


 ———「メイトンは大雑把(おおざっぱ)な奴だ。娘という情報だけ聞き出した後すぐこの場を離れたのだろう。」


 ——————「あぁ、そうだなァ。んじゃ今からサキミネの娘ェってのを探せばァいいんだなァ。」


 ———「あぁ、そうだ。ウサギって娘の名前なのか?」


 ——————「変わった名前してる娘だなァ…次ァ間に合わせんぞォ。直線で行く。カスミあれ使えェ。」


 ———「あぁわかった。任せろ。」


 カスミと呼ばれた女はローブを脱ぎ捨て手を空へ掲げる。

 その瞬間、空から青い光を放つ1.5メートル程の大きな機械が飛んできた。

 その機械がカスミと呼ばれた女の腰に付き変形し出す。

 腰から尻の方に展開された機械が再び青く光り、若干の煙を出しながら稼働している。

 小さなボンベの様な物が沢山出たり入ったりし、見た目は昆虫の腹が人間に付いた様だ。

 しかし、昆虫とは程遠いディティールのメカメカしさ、重厚感がある。

 近未来的なガジェットと内部構造が回転し風力では無いナニカでカスミの体を浮遊させる。



 ——————ブァーンッゴンゴンゴンッ。



 ———「カンネ、行くぞ。」



 ——————「お前の移動方法って助手席とかねェよなァ…今回は抱っこかよ…しゃーねーから帽子抑えといてェやんよ…」



 ———「あぁ。では、参る。」



 ——————ブォオンッ!!!



 青い光が線の様に見える速度まで一気に加速し、メモに書かれていた場所の方角へ飛ぶ。

 1人の男の想いを乗せて。


兎、パパァ…(´;ω;`)



【麦茶って少量で売ってないよね?やっぱりゴクゴク飲みたいからかな?】

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