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周回移動都市ヴェルサイユ《原案》  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》             ようこそ新世界へ〈前日譚〉
24/78

〔第22話〕防衛省襲撃

 

「ねぇ…兎。これ…普通の犬じゃないよね…」


「こここ、これは、チワワ…?」


 2人は運動場に設置されているモニターから外の様子を見る。

 防犯カメラに映ったのは人の生首を(くわ)えている()()()、メインサーバー(いわ)く名称は()()()()()らしい。

 一体どこの国の何の基準で定められた名前なのか知らないが、センスが独特だ。



 ——————キャンッ!キャンッ!



 小さなチワワがこのマンションの警備ロボに向かって()えている。

 血みどろの姿に可愛げはない。



 ——————《対象を排除します。ピッピッピッ…》



 ——————シュンッ。シュンッ。シュンッ。シュンッ。



 ——————キャンッキャンッヒィーンッ!!!



 画面の中で警備ロボとチワワが戦闘を始めた。

 警備ロボが発射したテーザー銃がデスチワワと呼ばれるチワワの首元に刺さる。

 画面越しからでも苦しそうに感電しているのが見てとれる。


「ねぇ…兎。ちょっと可哀想じゃない?デスチワワって言っても普通のチワワみたいだよ…小っちゃいし…心が痛むよぉ…」


「みみみみ見て!」


 私はフブの肩を揺らし視線を画面へ落とす様に誘導する。



「ん…、ってどぅわぁぁぁああ!!!なんじゃこれ!!!」

「ななななッ!」



 ——————グルゥゥゥゥゥゥウブワァ!!!



 小さいはずのチワワが熊の様に大きくムキムキになった。

 他の警備ロボより先にデスチワワの元へ着き戦っていた、警備ロボNo11(ナンバーイレブン)が一瞬で薙ぎ倒される。



「ねぇ゛ーーー!!!このチワワやばいぃ!!!!」


「ほほほ本当に、デデデデスチワワだった…」


「そもそもデスチワワってなにぃよぉ!!!」



 ——————《メインサーバーがお答えします。防衛省が正式に感染したチワワゾンビを“デスチワワ”と命名しました。》



「ねぇ゛ーーー!!!可愛くないーー!!!」


「ぼぼぼ防衛省が名前決めたんかいっ…」


 運動場に設置されたモニターに釘付けになる2人。

 デスチワワは複数の警備ロボットに囲まれテーザー銃を乱射される。



 ——————グルゥゥゥゥゥゥウアアア!!!!



 ムキムキのデスチワワは警備ロボを軽く吹っ飛ばし、暴れ回っている。

 何台もの警備ロボがテーザー銃や鉄捕獲網を発射するがデスチワワは止まらない。



 ——————シュンッ。ファサッ。ガキンッ!



 ———ビリィッ!バキッ!



 ——————グルゥゥゥゥゥゥウア!!!



 ——————シュンッ。シュンッ。シュンッバリビリビリ!



 ———グルゥゥゥゥゥゥウ!!!



「わぁーーー!!!」

「わぁーーー!!!」


「ねぇ゛ーーー!!!全然警備ロボの攻撃効いてないよ!」


「やややややばい…も、もう手段を(いと)わない…!めめメインサーバー!“全力を許可する”!!!」


 兎の命令が出た瞬間、警備ロボの目が赤くなる。

 兎の口から“全力を許可する”と命令した場合それは警備ロボット達にとって、法律を無視して対処しろという合図だ。



 ——————ファンッ…ドドドドドドドドッ!!!



「う、兎!これって…」


「ううう…うん…“機銃”…」


「銃刀法が緩くなったとは言え大丈夫なの…?」


 心配そうに聞くフブに兎は親指を立てて言う。


「けけけ権力と金のチカラで…なんとかなるっ…」


「まぁゾンビいるし…いっか!やったれー!」



 ——————ドドドドドドドドッ!!!



 体の血が()()てふらふらするデスチワワ。

 体に空いた穴から血が出なくなった頃、ようやく倒れた。

 嵐が過ぎたと安堵(あんど)するフブ。


「いやぁ〜良かった…。あんなゴリラライオンクマみたいな奴と外であったら最悪だよね〜。」


「ふふふフブ…こ、これ…」


「んえ?」


 その時、画面の端っこに黒い何かが映る。

 ()()()()()


「まさか…」


「そそそそういえば…メインサーバー、ささささっきデスチワワの報告してきた時…()()って言ってた…」


「わぁー!!!」



 ——————ドドドドドドドドッ!!!



 ———グルゥゥゥゥゥゥウア!!!



 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!



 ———ブルゥァァァァァァァア!!!



 兎のマンション入り口で行われる非現実的な映像、モニターに映るその光景はまるで戦争の様だった。

 警備ロボが撃つ銃弾にデスチワワが対抗し、突進する。

 そして一台の警備ロボを犠牲に数匹のデスチワワが倒される。



 ——————ドドドドドドドドッ!!!



 ———グルゥゥゥゥゥゥウア!!!



 ——————ドドドドドドドドドドドドッ!!!



 ———ブルゥァァァァァァァア!!!








 その繰り返しで数分が経過した。


 兎が所有するマンションの前の入り口に大量の肉塊が乱立する。


「…うぇ…ぇ。ぐっるぅろぉ…」


「ききき、きっもい…」



 ——————《メインサーバーから報告いたします。35匹のデスチワワを処理。総動員警備ロボ65機、(うち)損壊(そんかい)5機。残弾数……》



「メインサーバー、もういい…ありがとう…」



 ——————《かしこまりました。対象の後処理(あとしょり)は焼却でよろしいでしょうか?》



「それでいい、灰にしろ。」



 ——————《かしこまりました。》



「これじゃ、デスチワワより私達の方がよっぽどエグいね…」


「わわわ私達のテリトリーに、はは入ってきたワンコちゃんが悪い…」


 すると突然、運動場のモニターから聞き覚えのある声が聞こえてきた。



 ——————『ひぇー、なんや大量のわんちゃんがおったから(かげ)で様子見てたら、凄いもん見てしまったでぇほんま…。エグい事すんなぁアンタら。』











 ———————————————#####



「サキミネさん今日は2時間後に記者会見があります。更にその後、ベリエル国立研究所へ訪問予定がでございます。」


「ハァ…」


「やはり、お疲れですか大臣。」


 大きなオフィスの真ん中で目頭をつまみ、ため息をする中年の男。


「こんだけ働いて高校生の娘より手取りが少ないんだよ…」


 秘書の女はサキミネに(いぶか)しげな表情をして言った。


()えある防衛省トップより、稼いでらっしゃる娘さん…株トレーダーとかですか?」


「いいや、メカニック系だ。あー、アレだ。最近だと“ナノシステム”の開発に(たずさ)わっていた。ていうか、ほぼアイツが作ったとか…」


「娘さん凄いですね…」


 秘書は驚愕の顔を見せ、感心する。


「俺も結構頑張ったんだけどなぁ〜…父親として、ちょっと自信無くすよ〜…」


 その時、秘書とサキミネが居るオフィスのドアが勢いよく開いた。



 ——————ガチャンッ!!!



 ——————「大臣はいらっしゃりますか!?!?!」



 勢いよく開けられたドアのもとに立っていたのは、汗だくの防衛省職員の男だった。


「ど、どうした。」


 あまりに激しい勢いで呼ばれたので、少し困惑するサキミネ。


「とうとう()()()()()が現(あらわ)れました!!!!」


 広いオフィス内が(あわ)ただしくなる。


「ま、まずい。それは確かなのか?」


「は、はい。目撃情報と監視カメラ、更に現場の被害からソースは確実かと…」


 サキミネはパパッと他職員に指示を出した後、急いでスマホを取り出し、娘に電話をかける。

 その間、秘書はありとあらゆる機関に報告の連絡を入れ続ける。



 ———プルルルルッ。プルルルルッ。



「兎、久しぶりだな。いきなりだが落ち着いて聞いてくれ。お前なら出来るはずだ。」









 ———————————————#####



「あぁ。そうし…」


『大臣!!今、再び報告が入りました!!!』


「ん?どうした、今娘と電……」


『声を使って玄関を開けさせるゾンビが確認されました!!!』


「なんだと?その話本当か?あぁわかった。その件は追って伝える。」


『は、はいっ!』



 ——————『どどどどうしたの…』




「たった今、新しい情報が入った。人の声を話して玄関を開けさせるゾンビが出たらしい。決して誰もマンションにいれるな。それと…」


 その時、巨大な轟音と地鳴りがビル全体に響いた。



 ——————ズッドォォォォォォォォオオオオ!!!!



 広いオフィスが揺れに揺れ、ぶら下げている蛍光灯もほとんどが割れてしまった。

 多くの職員がその場に倒れ込み、怪我をした人が複数人立ち上がることが出来ない状況になった。

 揺れが治ってきた時、サキミネの手からスマホが溢れ落ち、倒れてきた棚に潰される。

 後、数センチサキミネの頭がズレていればスマホと共に脳みそをぶちまけていただろう。

 しかし、サキミネはそれを気にせず叫ぶ。


「状況報告と各所動けるものは動け!!!」


 書類やPC画面が倒れ荒れたオフィスにサキミネの大声が響き渡る。


 [じ、地震…?]

 [イッタイ…足に何か落ちてきた…]

 [デカい地震…]

 [怪我は無いかー?!?!]

 [足首イッタァ…]


 各々(おのおの)の職員が話出し、サキミネの指示通り、それぞれがそれぞれの仕事をしだす。

 サキミネは急いでオフィスの窓に近寄り、外の様子を見る。


「お、おい。嘘だろ…」


 まるで最初からそこに何もなかったかの様に防衛省の入り口の門が無くなっていた。

 そもそもこの国の防衛省は他国のテロリストなどの侵入を防ぐ為、建物自体が高く大きな壁で囲われている。が…


(いた)たっ…って、大臣…これ、隕石でも落ちたんですか?!」


 秘書の言葉には恐怖の感情が混ざっていた。

 その光景にサキミネが思わず(本音)を漏らす。


「何がどうなったらこんな…」


 大きく(えぐ)れた地面に地割れした様な穴。

 縦に伸びた穴の底は見えない、ただわかるのは深く割れているそれだけだ。

 地割れした地面を視線で辿るとその根元に1人の少女が突っ立っていた。


 それにサキミネは酷く困惑した。

 何故、ここに少女がいる?

 何故、破壊された門の前にいる?

 もしかして…まさかあの少女が破壊したのか?!



「チャイナ服…?」



 秘書は再び各機関にこの状況を連絡する為、速攻で電話の受話器を取り番号を入れる。


「大臣!回線電話が繋がりませ…」



 ——————ドォゴォォォォオンッ!!!



 [キャーーーッ!]

 [うわぁぁあッ!]

 [あぁぁぁぁあ!]

 [きゃぁぁあ!]


 各々の悲鳴がオフィス内に響く。

 天井の一部が剥がれ落ち、更に怪我人が出る。

 そんな中ひとり、窓の外を見るサキミネ。

 悲痛な声が飛び交う中、ただひとり大声で指示を叫ぶ。


「防衛省にチャイナ服を着たバケモノが侵入した!!ただちに警戒体制a(アルファ)からz(ゼータ)へ移行しろ!!!」


 その号令を機に職員はオフィスから走って出ていく、負傷者を置いて…。

 サキミネの叫びから7秒後、建物の窓が厚い鉄板に覆われた。



 ——————ガシャンッ!ガシャンッ!ガシャンッ!



「相手がいかようなバケモノでも必ずこの国を守ってみせる。それに私はまだ死ぬわけにはいかない。」


 サキミネはチャイナ服女に対抗する為、全ての職員に無線で指示を出す。





 ——————「対象、チャイナ服女の殺害を開始せよ。」


頑張れ兎パパ( ̄^ ̄)ゞ



【躓くお前に、明日はない。】

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