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周回移動都市ヴェルサイユ《原案》  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》             ようこそ新世界へ〈前日譚〉
20/78

〔第18話〕なんか宇宙的な超パワーで凄い感じ

ツグネの話、入りませんでした。

次回入れます。


ねぇ゛ーーー!!!

 



「突然なんだけど、ヴィーナッスッくふぅん。質問いいかね?」


 ———《………はい。》


 深夜、兎が寝た後の静かな部屋でヴィーナスに質問するフブ。


「メインサーバーから聞いてると思うけど…この間、部屋に入ってきた顔の潰れたゾンビさ…なんでここの兎の部屋まで来れたんだろう…」


 ———《あのゾンビには磁場を操れる“能力”があったと考察されています。》


「あー…それで電子機器バグらせてたのか…。だから、このマンションにあのゾンビが入ってきてもヴィーナスやメインサーバーは認知できなかったんだね…」


 ———《私達の目にはそのゾンビが映っていませんでした。》


「まぁーそれだと、ヴィーナスみたいな警備ロボには天敵(てんてき)だもんねぇ。」


 ———《不甲斐ない限りです。》


「ねぇ゛ーー、謝んないで。」


 ———《謝ってはいません。》


「え?あぁ…ほんとだ。」


 ———《…。》


「そういえば、警備ロボって最近まで動いてなかったよね。どうして動いてなかったの?」


 ———《……分からないんですか?》


「え?んー…分からない…。あっ、でもずっとメインサーバーは動いてたんだよね?」


 ———《はい。》


「じゃあ実際にセキュリティは動いてたけど、視覚的には警備ロボを動かしてなかったという事か…なんでだろ…」


 ———《…。》


「ねぇ゛ーー!!教えてよー!」


 ———《………2人で居るのが楽しかったからでしょう。》


「ヴィーナスが部屋に来てからは、もっと楽しいよ?」


 ———《………ありがとうございます。》


「ふぁ〜…私も、もう眠いや…寝てくる。おやすみ〜。」


 ———《おやすみなさいませ。》








 ———————————————#####


 いつも同じ夢を見る。

 多分これは私じゃない誰かの記憶っぽい…。

 大きなロボットに乗って戦う夢。

 そこにはどうしても勝てない一機がいて、

 私はそいつと何回も戦っている。…様な気がする。

 でも、知っている。

 これは、夢だ。

 いつも起きた時、心拍数(しんぱくすう)が上がりすぎて吐きそうになる。

 病気なのかな…?

 …。

 ん?今日はまだ覚めないのか。

 ダメだ。

 これは夢の中だ。

 でも、勝てない。

 アイツに勝てない、どうしても勝てない。

 また、堕とされる。

 痛いのは嫌だ。

 嫌だ。

 嫌だっ。

 だから、堕とされない様に相手を…


 ——————ジュンッ。



 ——————ドーーーンッ!!!!





 ———————————————

 ————————————

 —————————

 ——————

 ———

 —

 -





「ねぇ゛ーーー!!!起きてぇぇええ!!!ねぇ゛ーーー!!!」


 首…痛い…ゆ、揺らしすぎ…。

 で、でも…。


「んー…まだ、眠いぃ…」


 これは戦いなのだ。

 眠気との戦い…。

 私はこの戦いに負けるわけには…。


「ねぇ゛ーーーー!!!」


 揺らされる。

 首が痛いぃ…。


「都市伝説特集TV(テレビ)でやってるのになぁ〜見逃したら後悔すると思うけどなぁ〜!」


「…にぇむぅい……」


「ねぇ゛ーーー!!!」


 まだ眠い…けど都市伝説特集、見たい…。それにしても朝からそんな番組やってるんだ…。


 一連の押し問答の後、私はフブに連れられて嫌々起きる。



 ———『さぁ今日も始まりました!都市伝説を覗いてTV!!!今回のゲストはこの(かた)…』


 番組はゲストを紹介した後、少し進み本格的に都市伝説の話が始まった。


 ———『最初の特集は、空に裂け目?!巨大ロボットと魔王について!!では、VTR(ぶいてぃーあーる)どうぞ!』


 テンション感がおかしい司会が叫ぶ。

 朝からその声は耳に悪いよ…。


「この司会、朝からテンション高いねぇ、」

「そそそ、そうだね…」


 フブも同じ事思ってたんだ。


 ———『空に突如(とつじょ)現れた裂け目。そこに現れた巨大ロボット、その大きさなんと約20メートル!!日本の飛行艇が数万機、墜落させられたとか?!』


「え、そんな堕とされてたっけ?確かに飛行艇が街に落ちた時の煙みたいなのがあったけど…数万機は盛りすぎでしょ…」

「そ、そそそうだね。数万機墜ちたら…こ、この街無くなる…」



 ———『なんと!今回!番組でその巨大ロボットが戦っている映像を放送します!!その映像はCMの後で!!』



「ねぇ゛ーCM、うざい!」

「そそそそうだね…」



 ———『今日は、あんまり体調良くないなぁ…そんな貴方に!!!この“リストバンド!!!宇宙的な超パワーでなんか凄い、いい感じになる!!!お買い求めは近くの薬局で…』



「宇宙的な超パワーって…フフッ…ちょ、なにそれフフッ」

「……ううう、胡散臭い…」



 ———『このスポンジで皿洗いを宇宙的な超パワーでなんか凄い、いい感じになろう!』



「なんか…最近宇宙的なパワー流行ってんのかね。」

「ははは流行ってそう…」


 そしてCMは()け、巨大ロボットが映されたという映像が流れ始める。

 最初に画面に映ったのは、あの時マンションからみた空間の裂け目だった。

 その映像は間違いなく、あの日この目で見た空間の裂け目だった。

 もちろんそこには、大量の飛行艇なども映っている。



 ———『ジジジジッ…』



 カメラの映像が裂け目の方にズームする。


「み、見て!兎!アレ!!」


「う、うん…わ、わわ私達があの時、見たロボットだ…」


 次の瞬間、画面からロボットが消える。



 ———『ジジジジッ…ジジジッ…』



 カメラが激しく動き、消えたロボットを探している様だ。



 ———『ドゴォーーーーンッ!!!』



 画面が揺れ動く中、轟音が響いた。

 その爆音の方へカメラが向けられる。

 あのロボットが飛行艇を墜落させていた。

 詳しく見えてはいないが、ロボットが高速で動き、次の瞬間、飛行艇数機が墜落している様に見える。


「私達があの時ゆっくり朝ごはん食べてた時、こんなんなってたんだね…」


「こここ、これじゃ…まるで戦争…」 


 戦争といっても数が違いすぎる。

 あの日、私達が見た日本の飛行艇の数は数十万機に及ぶ。

 そして、裂け目にいたロボットは1機。

 果たしてこれは戦争と言えるのだろうか。



 ———『ヂュュュューーーーンッ!!』



 日本の飛行艇も負けじとレーザービームを放つ。



 ———『ヒュンッ。ドゴォーーーーンッ!!』



 ロボットはそれを軽々回避し、飛行艇を破壊した。


「ねぇ…あのロボットの攻撃手段なんだろ…武器持ってる様には見えないし、攻撃の瞬間速すぎて見えないよぉ!」


「いいい居合斬(いあいぎ)りみたい…すすす素手で攻撃してたら凄いね…」


「武闘派か…」


 映像はロボットが飛行艇の攻撃を回避して撃墜するシーンで止まった。

 どうやらここまでらしい。



 ———『いやぁ〜凄かったですねぇ。これ映画のワンシーンとかから切り抜きましたか?はははっ。』



 司会のジョークにTVの中の観客は沸く。

 一方、フブはどこか不安げな顔をしながら、私の髪の毛で遊び出す。

 人差し指で私の癖っ毛をくるくる回す。


「フフフフ、フブ…」


「兎、やっぱりあの日見たのってやっぱり本物だよね…フェイク映像とかじゃなくてさ…」


「ううううん…」


「謎の巨大建造物といい、ゾンビといい、空間の裂け目のロボットといい、この世界はどこに向かってるんだろうね…」


「そそそそんなの、終わりに決まってます…」


「ねぇ゛ー不吉(ふきつ)な事、言うのやーめぇーて!」


 そんなこんなで朝ごはんを食べて食器をキッチンに運んだ後、兎はスマホを取り出し何やら操作を始める。


「何してるの?」


「そそそ外、見よう…」


「え?どう言う事?」


 私言葉にフブは若干混乱している様に見える。

 しかし、私は淡々とスマホをタップしてアレを操作する。

 さっきまで見ていた都市伝説特集は妖怪コーナーへ入ったが、フブと私の視線は私の操作しているスマホに釘付けだ。



 ——————ポコンッ。



「うわっ、びっくりした!」


 スマホから出た音にフブがビクッと体を震わせて驚く。


「ふふふふフブ…私ドローン持ってる…」


「え?!それって…」


 そしてスマホの画面は、兎のマンションの屋上を(うつ)しだす。


「おぉ!!!兎、これ!もしかして!!」


「どどどドローン飛ばして外の様子を見よう…」


「すごぉーー!!」


「ととととりあえず、近くの…大通り目指す…」


「いいね。」



 ——————『ウィーーーーンッ。』



 スマホの画面からドローンの羽音が聞こえる。

 私はゆっくり、ドローンの高度を落とす様に操作する。


「それにしても…兎のマンションやっぱ高いねぇ…これほんとに25階の高さ?」


「じじじ実はこのマンション…64階建てのマンションと同じ高さ…」


「んぇ?!じゃぁ25階ってめっちゃ嘘じゃん!!!」


「ち、ちち違う…階層は本当に25階…」


「64引く25は39、39階分一体何があるのさ!」


「ととととりあえずドローン…もう、地面に着いたから…みみみ見よう…」


「めっちゃ気になるから後で教えてね…?」


「うん…」


 ドローンが馴染み深いこのマンションの入り口を映し出す。

 次に大通りへ向かって動き出す。

 その道中…



 ——————『ヴァァーッ。』



「ん?何か通り過ぎた…?」

「よよよよく見えなかった…」



「んー…ランニングしてる人かな?」

「すすす、凄い苦しそうな声出してたね…」

「多分、朝から45.195キロに挑戦しているんだよ…」

「あああ朝から…おおおお疲れ様です…」



 ——————『ヴァァッ。』



「ねぇ゛ーーー!!!またなんか目の前通り過ぎたんだけど!!」

「ななななッ!めっちゃ目の前通り過ぎる…」


 2人はドローンの方向をぐるっと変え、ソレを追いかける。


「いったれぇ!兎ぃ!!追いかけてやれぇ!!」

「いいい、いったります…」



 ——————『ヴァァァァアッ。』



 ドローンがその人の後ろ姿を捉えた。


「うわっ、凄い服でランニングしてる。この人…」

「ぼぼぼボロボロ…」


 敗れた服には血が(にじ)んでいた。

 ランニングとは程遠い世紀末過ぎる服装に、私とフブは顔をニヤニヤさせる。


「ちょっ、この人、今何キロ走ってるの…フフフッ…ボロボロ過ぎでしょ…フフッ…」

「なななかなかファンタジーな服装に感服(かんぷく)しざるえません…」



 ——————『ヴァァッ!!』



 後ろ姿しか見えないがシュールな光景だ。

 車道の真ん中を走る世紀末のソイツはまるでゾンビみたいだ。


「えっちょっ!コイツどこ走ってるの!?」

「あ、あああ危ない…」


 そして、私は外の世界への違和感に気づいてしまった。


「フフフブ…」


「どうしたの?兎。」


「こ、ここ大通りなのに…ささ、さっきから車、一台も通ってない…」

「え、あっ本当だ…」



【さ、ささ最後を、エエエ、エキサイトしている…】

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