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天宮悠斗が力に目覚めたのは中学二年の冬だった  作者: 相上和音
第4話 少年の夢と少女の妄想
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「えぇ……」


 放課後。

 一連の話を聞いたアキラは、天宮と全く同じ反応をした。


「姉御って、腐ってたんですか……」

「そうみたい……」


 場所は文芸部の部室だ。

 ちなみに天宮は五、六時間目の授業をエスケープし、ずっとここにいた。


 ショックが大きすぎて、立ち上がる気力がどうしても沸いてこなかったのだ。

 由紀のいる教室に近づきたくなかったというのもある。


「それで、兄貴はなんて」

「もちろん否定したさ。でも全然信じてなかった。あいつの中で、俺たちが付き合ってるのは決定事項みたい……。ど、どうすればいいかな」

「いや、俺に聞かれても……」


 天宮は縋るような目でアキラを見る。

 友達の少ない天宮には、頼れる相手が他にいなかった。


「力のこと、正直に打ち明けてみたらどうですか?」

「無理だよ。力を人に知られるのが一番怖いんだ」

「でも姉御なら誰にも言わないでしょ」

「そういう問題じゃないんだって」


「んー、ならもういっそ、姉御の記憶を改竄するとか」

「馬鹿、どうやってやるんだよ」

「兄貴なら出来るんじゃないですか?」

「無理に決まってんだろ」


「そんなこと言って、人の心を読むことは出来たじゃないですか」

「……む。確かに」


 天宮は自分の胸に聞いてみる。


「……なんか、出来そうな気がする」

「おおっ、さすが!」

「でも怖いな。頭に指突っ込んで脳みそイジり回すとか」

「あ、そんな物理的な感じなんですね」


「ちょっと練習するか」

「え?」

「まず俺の力に関する記憶を消して……。ついでに俺が命の恩人だって記憶を植え付けとくか」

「ち、ちょっと待って下さい!」


 天宮の人差し指がアキラの額を狙う。

 アキラは天宮の腕を両手で掴み、必死に抵抗した。


「大丈夫だって、痛くしないから」

「無理無理無理! そんなの入るわけないでしょ!」

「先っぽだけだから」

「いやあああああ! (記憶が)犯されるううううう!」


 アキラは死に物狂いで暴れた。

 天宮が怯んだ一瞬の隙を突き、部室の外へと逃げ出そうとする。

 ガラッと扉を開けたところに人がうずくまっていて、アキラは、


「ぎゃあ!」


 とアホみたいに叫んだ。


「あ、由紀……」


 天宮は戦慄する。

 どうやら由紀は部室の外で、盗み聞きをしていたみたいなのだ。


(ど、どこから聞かれていたんだ……)


 もしかしたら、力のことも……。


「……お前、いつからそこに」

「え? 今来たとこだけど?」


 天宮の質問に、由紀は鼻血を垂らしながら答えた。

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