バトルアーマの意外なデメリット
ネズミは芋虫のエイリアンを倒しつつ、地下道辿り着いた俺たちは、入口で少し準備をする。
武器のチェック、防具の確認、仕様する荷物を取り出したりだ。
「曲がった鉄パイプーよーし!ボロボロの服よーし!タバコよーし!素足ダメー!」
ヤケクソになって自己点検を済ませると、周りから笑い声が上がる。
「靴無しは確かに厳しいじゃろ、気づかなくてスマンな」
とドワーフのカンタが謝りながら草履のような物を渡してくる。どうやら昨日武具屋で買ってきてくれたらしい。
「ありがとう、助かるよ。いつか分からんが酒で返すわ」
と朝に話し合った結果、素の対応で話せと言われたので軽い感じで返す。
「おお、そりゃ楽しみじゃ。期待して待っておるぞ」
と返されたので頷き返すと、約二名様からブーイングが飛んできた。エルフのリリアと獣人のルフだ。
「剣で切られると痛いらしいぜ」や「魔法と銃弾、どっちが良いかしら」などと物騒な声が聞こえる。いや、どっちも死ぬから。
「いやいや、二人にもちゃんと返すぞ。酒で良ければいくらでも」
と言うと二人は嬉しそうに頷き返してきた。現金な奴らめ。
ふと斜め下を見ると、ムイムイが涙目でズボンを引っ張りながらこちらを見上げていた。
「わたし、何もしてない。だめ?」
何がダメなのか分からんが、世界を敵に回しても俺は君の味方だと宣言しておこう。
「いや、ムイムイちゃんの出来る事をしてくれれば嬉しいから。今度何か奢るから」
と宥めつつ頭を撫でると周りから冷たい目で見られた。
「ムイムイに甘くねーか?」
「アキラ、ムイムイはそれでも大人じゃぞ?」
「ムイムイ泣かせちゃダメよ」
子供とか可愛い生き物が好きってだけで、そんな反応しなくても。
あと、泣かせたくて泣かせたわけじゃないです。
俺たちは地下道に潜り込んだ。明かりなんてものはないので、リリアの魔法で明かりを灯しながら進む。どうやらここは昔のトンネルのようなものらしい。
「うん、罠らしいものは無いみたい。右から風が、左は何か小さな音がするよ」
ムイムイちゃん大活躍!どうやら調査や偵察なんかが得意らしい。
「ふむ、どっちにするかのぅ?脱出するなら右なんじゃが」
「じゃ、左にしない?小型のエイリアンならなんとかなるかもだし」
「昨日見たとき、周辺に穴らしきものはなかったから風も気になるんだがなぁ」
それそぞれ意見を言い合う。リーダーが居ないからこそできることかもしれない。緊急時はルフがリーダーなんろうけど。
「アキラ、どっちが良いと思う?お前が決めてくれ」
俺のBAだからか、皆俺を見つめてくる。
「なら左で。理由はなんとなくだ」
と適当な返事をしたら左に行くことになった。何が出るやら・・・。
「BAだ!俺の勘も捨てたもんじゃねーな!」
喜びが溢れんばかりに仲間が飛び上がる。しかし、何か思ってたより小さいな。もっとデケーとか思ってたわ。
「あとはアキラが操縦出来れば良いわね。で、いけそう?」
「取り合えず試してみるわ。動かせなかったらスマンが」
と、二メートルぐらいのBAに乗り込もうとする。胸部に取っ手があったので、多分これだろう。
ガシャンと音を立てて入口らしきものが開いた。操縦席は思ったよりも狭いんですけど。
窮屈な操縦席に座り込むと、左手に操縦桿、右手に六つのボタンがあった。これ、格ゲーのアケコンじゃね?
『パイロット認証します・・・。認証完了。パイロット名を入力してください。』
目の前に緑色した表示板が現れた。ハイテクだなぁ。
「ア……キ……ラ と。入力が面倒なんですけど!なんで文字探しながら打つんだよ。こういったときは音声がお約束だろ!?」
『パイロット名を決定しました』
まぁ、これで役立たずからの脱却は計れたもよう。説明書が近くで見つかったらしく、ムイムイちゃんがBAに上って渡してくれた。ええ子や。
BAは痛覚アリだってさ!