楽しそうに 嬉しそうに
缶詰を持ち帰ると、ガレキの街に人が集まりだした。といっても二~三十人程だ。
これほどのエイリアンである賞金首を倒したことが珍しいのだろう、街の人々は歓声を上げた。
「すげぇ、初めて見たぜ」や「あんなもん喰らったら一発で死ねるな」、「これで少しは平和になるかもな」なんて声も聞こえてきた。
「まずは協会に行ってくれ。おっとその前にBA預けてから報告だな」
と、カンタの肩を借りたルフが俺たちに言うと、俺たちは協会に向かって歩き出す。
「大丈夫?報告なら私達がするわよ?」とリリアも心配そうにルフに声をかける。
彼女はずっと「回復魔法に適正が無いからって、勉強しなかったせいよ。私のせいだわ」とずっと後悔しているようだった。
あの戦闘は俺だって反省するべきところがある。なんて声をかければいいのか分からない。
「リリア、あんま気にすんな。アキラもどうせ色々考えてんだろ?悩むとハゲるぞ」
リリアだけでなく、BAの中にいるのに俺の顔が分かったように言うルフは少し顔色が悪かった。
この世界に魔法があるなら、足を生やすってことも可能なんだろうか。
駐機場にBAを預け、協会に辿り着くと日頃眉間に皺があるグランドさんがさらに皺を寄せてにらめつけられた。超怖い。
「無事とは言い難いが、よく帰ってきた。生きてりゃ安いもんだ」
などとこちらを気遣って、珍しいセリフを吐く。
「拾い食いでもしたか?グランドのおっさん」と俺が脳内に浮かべたセリフを恐れも知らずにルフが言う。あんた勇者様だ。
「ちっ、まあいい。ほれ、装置を渡せ」と不機嫌さを隠そうともせず俺たち向かい手のひらを出す。
前に叩いてやったら頭がトマトが潰れたようになりそうな勢いで殴られたのを思い出した。
「はい、お願いします」と仲間と共に装置を渡すと、銀貨三枚と装置を返された。あの死闘の価値はおよそ二か月分の金だった。
「で、お前らこれからどうすんだ?」
と、ルフを見ながら俺たちに聞いてくる。
「ああ、俺はここでリタイヤだな」
酒場でそれぞれ沈痛な面持ちで酒を飲む。暗すぎてまだ昼時なのにお通夜みたいになってる。
「悪ぃな、皆。アキラは知らなかったかも知れねぇけど、仲間内で前から決めてたんだ」
「決めてたとは?」と分かり切ったことを口に出してしまうが、もう遅い。
「戦闘出来ないほどの怪我を負った場合、引退するってな」
軽々しく口にするんじゃなかったと思いつつ、俺は静かに頷くしかなかった。
「ならば、ルフの為にワシが奢ろう」とカンタが言うとリリアやムイムイちゃんから待ったがかかる。ついでに俺も待ったをかけた一人だ。
私が出すとか俺が出すとか四人でだれか出すかで揉める。
「ならお前ら全員で奢ってくれよ。それで今回の分はチャラにしてやる」
ルフは俺たちに向かって楽しそうに、そして嬉しそうに笑っていた・・・。
俺はこれぐらいで恩を返したとは思っていない。出来ることがあるはずだと。




