Section4
それからはかなり落ち着いてきてた。
でもそのせいか、周りから浮いてたっぽい。
小学校の先生は、母さんによく面談で真面目で大人びているといわれてたらしいけど…
実際、周りの友達とはやっぱり話が合わなかった。
だって、小学生なのに高校生の記憶を持ってるんだ、話があうわけがない。
もちろん自分が前世の記憶を持ってるなんてことは誰にも言わなかった。
言ったところで馬鹿にされるだけだし、そんなこと自分でもわかってたからだ。
だからそう考えてみると、小学校のころは結構退屈だった。
ただ、毎日毎日退屈だったわけじゃない。
前世の両親はいまだに床屋を営んでいて、俺はしょっちゅう髪を切ってもらいに行っていた。
記憶を取り戻してから最初に髪を切りに行ったとき、なんかすごく申し訳なくて泣いてしまったのを覚えてる。
前世でいつも見ていたときは真っ黒だった髪が、白髪混じりになった父さんと母さんを見てたら先に死んじゃったことが申し訳なくなった。
髪切ってもらってる途中に急に泣き出すもんだから、すごく心配された。
ずっと、「すいません、すいません」って謝ってた。
本当は、一番言わなきゃいけない人なのに。
そんなあいまいなことしてるうちに、自分の前世の記憶のこといえないような気がしてきて、結局言えないまんまなんだ。
そんなこんなで、あっという間に小学校卒業してた。
気づいたら中学生だったんだ。
中学生活はなんというか、とにかく普通だった。
特に目立ってもなくて、特に引かれてるわけでもなくて。
部活はサッカーやってて、それなりに楽しめたし意外と充実してた気がする。
前世のときから数学と英語は得意だったから満点取らないためにわざと間違えてたこともよくあった。
暗記苦手だったけど勉強もがんばって、それなりの高校にも入ることができた。
だけど、事が急展開するのは高校生になってからだった。
高校入ってからは部活はしないでバイトを始めたんだ。
もともとあまり俺の家はお金ないほうだったから少しくらいは足しになると思って初めたわけ。
大学進学も考えてたし、その資金をためる目的でもあった。