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鉄塊の国NEXT〜悠久の絆〜  作者: jetts


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動き出した仕事

 あの日、ポタージュコロッケバーガーを皆でおかわりをして腹一杯で銀蜘蛛と別れた。


 本当に楽しかった。それで、あの時リーアさんから誕生日のプレゼントで小瓶を貰った。効果の高い回復薬として貰ったのだが…………


 「ラーグ、使う時は使えっス。ただ、それは切り札級っス。まさか、もらえるとは…………リーアに認められて凄いっス」


 重い。なんだ、この瓶に込められた想いが重過ぎだろう。小瓶を眺めながら物思いに耽ってると。


 「ラーグ、リーアのダイナマイトボディでも思い出してるっスか?」


 なっ! ヘルガが俺の顔を覗き込みながらニヤニヤしている。


 「ちげぇよ、ヘルガがこの瓶の成り立ちを話したから使っていいものなのか考えてただけだ」


 この小瓶は戦場をかける英雄ガインの命を守る為に、初代のオーナーであったリューネイスが身を削り製作法を編み出した物。


 現在も彼女の家に作り方が伝わっているものの、瀕死の重症も瞬時に治すという効果。その為、秘匿され市場に出ることはない幻の秘薬。


 そんな凄いものだと思わねぇで貰っちまったからどうすんべぇってなるだろうがよぉ。


 「あんまり考えすぎんなっス、なるようになるっス」


 自分が言ったことが俺を悩ませているのを分かってニヤニヤ顔のヘルガに憮然としていると、いつもの様にベットで横になっていたエルが飛び起きる。


 血相を変えた様子に、俺とヘルガも最低限の装備を手元に置きいつでも動けるように備える。


 「デイル、ヘルガとラーグに繋ぐ。場所の確認ができ次第そこに行く、二人に経緯を話せ」


 エルは俺たちに目配せをすると目を瞑り、俺が感じたことがない恐ろしいほど緻密な魔力回路を紡ぎ出す。


 「助けてください、ペイルの血が止まらないんです」


 デイルの悲痛な声が通信回路に割り込んでくる。ヘルガが答えようとした俺を止め、ジェスチャーで支度をしろと促してくる。


 「キシリアとこちらから通信を繋ぐ、アチシたちに任せろっス。デイルは通信を切ったらペイルに止血の魔術を施して待ちなさい、安心して出来ることをするっス」


 デイルの通信回路を閉じた後、ヘルガが流れるように魔力回路を組み上げ通信を繋げる。


 「キシリア、今からすぐにアチシたちが向かう、貴女たちの安全は確保されてるっスか?」


 ヘルガもいつもの胸当てを着けながらキシリアの返答を待つ。


 「パールが連れ去られ、ペイルが私を庇って怪我をした時点でもらった結界石を発動したわ」


 パールが連れ去られた…………んっ? だからヘルガはデイルに回復を促した…………くっそ、悪い癖だ。ヘルガはどうやって知ったなんて考えても今は無駄だ。


 先ずは、エルの魔術待ちだ。


 「相手は何者?」


 弓を背負い旅装束を整えたヘルガが、エルのマントを床に敷きながら訊ねる。


 「木々をなぎ倒して現れた巨大な虫のような鉄製の怪物にパールを攫われて…………結界がなければ私たちも」


 不意打ちだったとは言え相当な相手、しかも攫うという事は普通の魔物ではない可能性が高い。


 「よく耐えた、今から私たちが行くから安心せよ」


 ベットの上に立ち、旅支度まで終えたエルが床のマントに魔力を流し、空間跳躍のゲートを形成する。


 同時に、俺の頭に銀蜘蛛達がいる森の様子が浮かぶ。キシリアたちの後方に息を潜めた黒装束と右前方の草陰に魔道士らしい人影。


 「跳躍後、ラーグは後ろ二人を仕留めていい。前はヘルガ、捕縛して」


 俺たちは頷き、先に飛び込んだエルに続いてゲートをくぐる。


 待っていろ、俺の弟子たちを傷つけたこと…………後悔させてやる。


 


 


 


 

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