表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
囚われのベラドンナ  作者: 紫乃莉
10/18

9.再会

 その日の夜のこと、寝る前の紅茶を用意すると言って部屋を出たアリアが、いつまで待っても帰ってこない。ディアナは不審に思いながらも大人しく待った。アリアがディアナの命に背いたことは今までにない。それどころかいつもディアナの期待を超える働きをしてくれていた。そんなアリアがいつまで経っても戻らない。ルイスの滞在するこの屋敷で、そんなことあるわけもないが、少しの不安がディアナの胸を掠めた。

「……」

 ディアナは部屋の扉に手を伸ばした。ルイスの本性を知り、互いに話し合ったあの時から、この屋敷の魔法は解除されていた。ルイスがディアナを信用した証として解除させたのだった。結局ディアナはほとんど部屋を出ることはなかったが、今は緊急事態だ。

「アリア?」

 誰もいない廊下に呼びかける。なんだか屋敷全体がとても静かに感じた。不自然なほどに。ディアナは薄暗い廊下を歩く。アリアでなくとも、ルイスでもジャックでも、とにかく誰かに会えれば安心できるのだが。

「…どなたかいらっしゃります?」

 だが期待とは裏腹に、この問いかけに答えるものは誰もいなかった。ディアナの中の不安が徐々に大きくなる。そして、

「ルイス様…!?」

 ようやく見つけた人影は、床に倒れ込んだルイスだった。ディアナが慌てて駆け寄る。息はあるようだが、意識は完全にない。

「誰か!!!誰もいないのですか!?ルイス様が……」

 一体誰にやられたのか、誰がこんなことを。いつも隣にいるジャックさえもいないなんて。ディアナが混乱しながらも声を上げる。

「ああ、こんなところにいらっしゃったのですね」

 ようやく聞こえた足音にディアナが顔を上げる。よかった、自分以外にも人がいることを知れて。そんな気持ちで顔を上げたディアナだったが、その声を聞き、そしてその顔を見て、一気に安心が凍ってしまった。

「…!」

 学園の制服を来たまま、薄暗い廊下に立っていたのは、ディアナもよく知る人物。先程まで話題になっていた相手。

「…リル、ノさん……?」

 いつものあの腹が立つほど純粋な笑顔で、リルノはそこにいた。先程の話のことも、今目の前にいるルイスのこともあって、ディアナは不安を押し殺してなんとかリルノを睨んだ。それでもリルノは少しも動じずにディアナの方へ近づいてくる。

「ようやく会えましたわね。ずっと、探しておりましたの」

 何故、なんのために、どうしてここに。ディアナの中にいくつもの疑問が湧き上がったが、なかなか言葉にならない。わからないことだらけのこの状況で唯一わかることは、リルノ相手に警戒しなくてはならないということだけ。

「何が、目的ですの、」

 ディアナが右手に魔力を集める。攻撃の方法などは学んでいない。だが何かの時間稼ぎくらいならいくらでもできる。そう思って構えると、リルノがそれを見て首を傾げた。

「もしかして、私と、戦うおつもりですか?」

「あなたが、そのつもりなら」

 ディアナの警戒を嘲笑うかのように、リルノは全く警戒も見せずに軽やかな足取りでディアナの方へ近づく。

「何故このようなことを…」

 ディアナが1歩下がろうとしながら右手を自身の前にかざす。

「きゃ〜怖い!」

 わざとらしく高い声でリルノが言った。目をうるうるとさせ怯えたように身体を固める。

「…!」

 人に怖がられる、ディアナが学園でトラウマになったことだ。自分にその意識がないのに噂だけで人から恐れられることは、ディアナにとって辛い思い出のひとつだった。そのせいで、一瞬集中力がきれる。そのタイミングをリルノは見逃さなかった。

「なんてね」

 素早くディアナの元まで近づいてきたリルノがディアナの頬に触れる。

「え、?」

 何もかも追いつけなかったディアナの視界がグラグラと揺れた。足元がふらつく。立っていられなくなったディアナの身体を、リルノが優しく支える。

「大丈夫ですわ。ゆっくりおやすみになってくださいませ」

 不安定な意識の中でリルノのそんな言葉を聞く。ディアナはもう言葉を発することさえできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ