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妖異変超  作者: 青赤黄
遊園地
23/39

妖編5話 11月4日『袖すり合うも他生の縁』

 自分の分身に合流し、隣にいた黒さんが「戻ってきたか」と言ってきた。

「はい、戻ってきました、これは一体なんですか?」

 目の前にある大木のことを黒さんに訊くと、「分からん、目の前で急に生えてきてな、何がどうなってるのかはまだわかってない」と答えられた。

「後どのくらいで解ります?」

「もう少しだ」

 わかりましたと答え、もしもの時のために周囲の空気を冷やしておく。

 なるべく黒さんの隣に立っている白には冷気が行かないように気をつけつつ。

 これは誰が見ても超常的なもので、人ができるものではない、人であってもなんらかの超人的な力を持っているものがやったとしか思えない。

 そいつと交戦することになったら、面倒なことになる。

 それにしても、なぜ他の人間は写真を撮ったりスマホを向けているのだろうか。

 きっとネットにこの光景を上げるのだろう。

 どこまで緩いんだ。

 いや、これが日本だ。

 平和が永遠に続くことを疑ってすらいない人たちしかいない、こっちは一年に一回は死にかけているから平和は長く続かないということを知ってはいるが、ここには知らない人しかいないのだろう。

 速く逃げればいいのに、バカしかいない。

 こいつらにとっては今の光景もテレビの向こうの殺人事件と同じで、自分に直接的な被害が来ないと思っているのだろう。遠くでは人を殺すことをなんとも思っていない奴が戦っているというのに。

 それはまぁ、あの人たちももう気づいているだろう、これだけ何度も爆発のような破壊音が何度も響いてくれば流石に気づくだろう。

 その音を聞いても好奇心が勝って、あっちに行ってみようぜとかいうバカがいるのは度し難いが。

「おい、零火わかったぞ、前後関係もなんとなく」

「流石です、教えてもらえますか」

 俺がそういうと白がぎゅうと腕を絡ませて体を密着させてくる。

 つまり、人が殺されたという話を今からするのだろう。

 俺が白を傷つけたくないという気持ちを使って、白を俺の怒りの抑止力にするのだ。

 本当に、白には辛いことをさせている。なるべく早く自分の感情をコントロールできるようにならなくては。

「あの大木はやはり人が作り出したもので、俺たち妖怪とはなんの関わりがない奴らだ、異形狩りは異形を取り込んで超常的な力を手に入れているだろう?中にいる内の1人はそれだ、しかも強い、零火の3分の2くらいの力がある。それともう一つ、生まれた時に変異体に選ばれて力を与えられた連中が5人いる。後の4人はただ巻き込まれた家族と1人の人、そして死体だ」

 歯を強く噛み締める。手を強く握りしめ、なんとか荒れ狂う妖力を内に止めておく。うまくできている。

 黒さんが続きを話す。

「今は力を持ってる5人が1人と交戦中だが、かなり分が悪い、おそらく戦うのは初めてなんだろう、こんなもんだがいけそうか?」

「大丈夫です。なんとかできます。では行って」

 行ってきますという言葉は途中で轟音によって遮られた。

 音のした方を見ると、見たくない、二つになった物体と、知覚するな、

 ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

 になった人人人ひひひとととと。

 あー、あー、なんて、なんて。

 ペロリと頬を舐められた。

 頬というか、顎から唇にかけてを舐められた。

 それで意識は戻ってきて、目の前にある瞳と見つめ合うことになった。

 なんか唇に柔らかいものが触れているのだが?

 触れていたものが離れて、白はニッと笑って、「どうだ!もう大丈夫か?」と聞いてきた。

「・・・・・・・・・何した?」

「うん?ちゅー」

「馬鹿かお前は‼︎なんでそれを俺にする‼︎そういうことは好きな人とやるんだぞ‼︎」

「はい零火鈍感すぎ‼︎馬鹿はテメェだ‼︎さっさとくっつけ‼︎」

「黒さんまで何をいうんですか‼︎そりゃ確かに俺もシスコンの端くれ!妹から好きと言われて今舞い上がりそうなほど興奮しちゃいますけど‼︎この年でそれはダメでしょう!」

「ウルセェ‼︎白はテメェの妹じゃねぇ!俺の妹だ!さっさと結婚して俺の義弟になりやがれ‼︎ほら見ろ!こんなに白の可愛らしいほっぺたがふくれてるぞ‼︎」

「カワイイ!」

 叫んで下を向くと地面が凍って白くなっていた。

 それに驚き上を向くと大木も下の方から折れて倒れていた。

「何があった?」

「零火がブチギレて周りの温度を下げまくった。それと同時に大木が折れた」

「一体誰が」

「いやーごめんねぇ、それ僕のところの憤怒君がやったんだよ、ゆるしておくれぇ」

 黒さんの言葉に気になってつぶやくとそれに応える者がいた。

 横を見るとヘラヘラと軽薄な笑みを浮かべた男が隣に立っており、

 氷漬けにしようと空気を凍らせる。

「ちょっと危ないよー」

 男はなんでもないことのように言って炎を出し、防ぐ。

「なんでいきなり攻撃してくるのさ、まぁ君ごときの攻撃なんて僕には効かないんだけど、いや、今なら効くのかな?まぁ効いたところで君程度が僕に勝てるわけもないんだけどさ」

「そんなことないぞ!」

 男の言葉に反応したのは白で、零火の目の前で怒りをむき出しにして男に威嚇している。

 その頭には犬の物の耳があり、腰からは尻尾が出て逆立って少し震えている。

「へぇ、犬神か、でも君妖力量が少ないねぇ、外への干渉ができないから自分の中だけしか温められれないんだね、きっとそれを今まで引け目に思ってきたんだろうけど、大丈夫、気にしないで、君ごときが悩んだところで解決なんてしないんだから、悩むだけ無駄だよ、だか」

「うるさいぞ、どこの誰かもわからないやつが、白のことを悪く言うんじゃない」

 黒さんが怒る。

 俺はは氷の槍を作らずに準備しておく。

 それに男はやれやれというふうに首を振り、ため息をついてから、いたずら好きの子供を見るような目で黒さんを見て

「もー、少し黙っておいてよ、別に君がいつ話そうがどうでもいいけどさ、この僕がここに来てるんだぜ?しかも話している途中だったのに、なんで君程度が僕の話を遮るのさ、いや別に君が喋っちゃいけないとは言ってないし、傾聴しろとも言わないけど、せめて最後まで話は聞いてほしいなぁ」

 僕は悲しいよと、肩を落とす。

 そして一瞬でにこやかな笑みを浮かべて顔を上げて、

「まっいいや」

 と言い、

「僕が用があるのは零火君だけだからね」

「俺か?」

 なぜこんなやつが俺に用なんてあるんだ。

 疑問なんてすぐに消えて、

「えっとね、黒羽ムイちゃん。彼女今僕が預かって人殺しさせてるから」

 殺意が湧いた。先ほどの大木よりも大きな氷塊を成層圏に作り、秒速10キロの速度で叩き落とす。氷塊は約4秒程度で男にぶつかり、全て溶ける。

「気持ちはわかる。とてもよくわかるよ。でもいきなり殺そうとしてくるのは流石にひどくないかなぁ。僕だって生きてるんだぜ?そんな僕を殺しちまったら君の大っ嫌いな人殺しに君自身がなっちまうぜ?」

 通常なら防御しなくては即死する威力の攻撃を頭に直撃させ、それでも全く気にしてないかのように両手を広げ目尻を下げて、男が白々しく言う。

「そうだな、死なないでくれてありがとう」

「うひゃぁ、声もつめてぇや、凍死しちゃう。一応言っとくけど、僕がやったのは洗脳じゃなくて扇動だから、煽って動かしただけだから、元々人を殺すって選択肢は彼女の中にあったんだよ、なのに僕だけが悪いなんて言わないでもらいたいなぁ」

「いいや、お前が悪い。たとえ人を殺すと言う選択肢が元々あった物だとしても、あいつはそれを抑えることができていたなのに、それをお前が煽ったんだろう?ならお前が悪い」

「ひどいなぁ、その言いよう。まぁいいけどさ、君ごときに僕の考えがわかるとは思わないけどさ、それでも失望するよ、勝手に君に期待した僕が悪いんだけどさ、あっ、そうそう、今度の14日、つまり10日後にね、僕のところの幹部級の人を10人ほど送らせてもらうね、場所は言わないけど、この東京内だけだとは言っておくよ」

 話が急に変わった。

 ならもう少し情報を引き出さねば。

 くそ、頭を冷やせ。得意だろう。

「それはどう言うのが来るんだ」

「あっはー、急に冷静になったねぇ、いいゼェ、そう言うとこ大好きだよぉ〜、行くのはこっちからは色欲。あとは異形で憤怒、孤独、猜疑、侮蔑、憎悪、恐怖、絶望、憂鬱この8人が行くよ、強いのは憎悪、絶望、恐怖の3つだね、この3人には強い人を当ててくれ、お願いだよ、色欲ちゃんは、正直殺せるとは思えないなぁ、それじゃあね、11月14日だからね」


「この日を感情戦争と、僕は呼ぶよ」


 目の前から男が消えた。

 目で追うことすらできずに、こちらに情報を渡すだけ渡して、消えていった。

 息を大きく吐き出して、目の前で、不機嫌になっている白の頭を撫でる。

「黒さん、異形狩りの人たちの力も借りますよ、異形が来るんですから、いいですよね」

「もちろん、俺は構わない、零火が王なんだからな」

「わかりました。ありがとうございます」

 ポケットからスマホを取り出して、鳳凰(ほうおう)に電話をかけようとした時、零火、と白から声をかけられた。

「どうしたんだ?白」

「頑張れよ、零火、勝ったらも一回ちゅーしてやるからな」

「ああ、わかったよ、頑張る」

 今回は冗談ぽく言っていたので何も言わなかったが、簡単にこんなことを言ってしまうのはどうなのだろうか。

 そういえば、あの鬼はどこにいったのだろうか。

 そう考えながら、今度こそ、電話をかけた。

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