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1話
「…気付きませんでした。すみません」
「いえ、いいんですよ。気付かれないように来たつもりですから。むぅちゃんはいらっしゃいますか?」
「いーるーよーっ」
祐斗と共に、大柄でスーツ姿の京井遥和が来たのが声で分かったのか、むつの声がキッチンの方から聞こえてきた。
「もう、むつさん何ですか急に」
「ごめん、ごめん。お礼はするからさ」
祐斗も京井も呼び出された理由は分からないのか、困ったように顔を見合わせていた。だが、むつは暢気なのかお盆にマグカップを乗せてやってくると、2人を奥のソファーに座るように促した。2人が奥のソファーに向かっていくと、呼ばれてもいない山上が当然のように後からついてきた。




