二
「はー、暇だな・・・」
気の無い声が小さな部屋に響く。声の主は大きなあくびを一つして、ソファーに寝転がった。
彼の名はアーク、この事務所の主力戦闘員であり副所長。赤い髪がトレードマークで、目の下に無きぼくろが一つ。幼少のころに親に捨てられ、孤児院育ち。18の時に幼馴染であったミレイとこの事務所を設立した。「力を揮うことが最大の歓びである」という彼の言葉に違わず、その実力は数居るハンター達の中でもトップクラスを誇っている。
「今時わざわざ壁を越えて何か成そうとする奴なんか少ないだろうよ。この仕事ももう潮時かね?」
そう言って、他とは明らかに変わった風貌の青年がにやりと嬉しげに笑う。
氷雨という名を名乗る彼は、東から来た異国人である。着物という名の服を着、刀という武器を操る。その剣術は強いだけでなく鮮やかで美しいとハンター達の間でも名が知れていた。曰く「変わったことが好き」で、この街に来た際この変わった事務所と出会い、そのまま居ついてしまった。
「それは困るわね、生活できなくなるわ」
まったく感情のこもってないセリフを呟いた彼女の名はミレイ。この事務所の所長であり、主に事務を担当している。アークと同じ孤児院で育ち、ハンター養成所で鍛えられた。他のメンバーに比べてやや見劣りがするものの鍵爪を使った戦闘は堅実なものである。
「冗談言っている暇があったら書類片づけてくださいよ。報告書、随分溜まってますよ?」
小さな少女が、子供らしい舌ったらずの声で諌める。
彼女はロリア、年は10歳前後。親に捨てられ孤児院に入れられそうになっていたところをミレナに拾われた。現在養成所に通う傍らこの事務所でハンターとして働いている。その拳銃の腕前は見事で、養成所の生徒はもちろんハンター達の中でもトップクラスである。
この事務所のメンバーはこの4人。小さい事務所ではあるものの個々の実力は圧倒的で、下手な大きい事務所よりも評判はずっと良かった。
「書類仕事はミレナさんの仕事だろう、俺はあくまで武力派だからなぁ。さ、客が来るまで一眠りさせてもらうよ」
「もー、氷雨さんたら・・・」




