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奈落の月  作者: れのぺぱ
第二章 痴情の楽園
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第31話 ちょっとそこまで空飛んできますね③

【主な登場人物】

逢沖あいず 悠斗ゆうと 十七歳

本作の主人公。眼科で『診断結果 魔眼覚醒』と言い渡され、世界の存亡をかけた戦いに巻き込まれていく。


七瀬ななせ 水月みずき 十七歳

人工魔眼持ちの少女。〝天理逆行〟を引き起こし、2070年の世界を再構築した。今は悠斗の家に居候中。


九条くじょう 莉奈りな 十七歳

悠斗の幼馴染。お金持ちのお嬢様だが割と庶民派で面倒見のいい性格。〝秘跡の魔眼〟の持ち主。


十文字じゅうもんじ かれん 自称二十歳

戒めの使徒。創世(そうせい)六位〝人間の創造主〟。悠斗に『診断結果 魔眼覚醒』と告げた人物。


きらきら輝夜かぐや 自称十四歳

戒めの使徒。創世一位〝光の創造主〟。恥ずかしがりやだが、戦うと結構強い…??


アルミラージ(Almiraj) 自称十五歳

戒めの使徒。創世五位〝動物の創造主〟。しゃべる珍獣ウサギでとにかくエロい。通称あーちゃん。


九条くじょう 玲奈れな 十五歳

莉奈の妹。旅先のドイツから急遽帰国した。


◆セバスチャン 六十歳

九条家の執事。とりあえず強い。


ニール(Nil)サンクトゥス(Sanctus) 目測二十代

戒めの使徒。創世七位〝??の創造主〟。まだ謎が多い。


◆ナムタル

〝冥界クルヌギア〟の首相。


【名前のみ判明している戒めの使徒】

レックス(Rex)ウォラーレ(Volare) 創世(そうせい)二位〝(そら)の創造主〟

クラルス(Carus)マグノリア(Magnolia) 創世三位〝自然の創造主〟

ルーナ(Luna)クレアーレ(Creare) 創世四位〝天体の創造主〟

 

「グラヴィクスがある場所って見当はついてるの?」


 莉奈が身を乗り出して訊いた。


「いや、場所は全く分からない。だから手元にある情報だけでおおよその位置を推測する。そこからは現地で地道に手掛かりを探っていくしかないな」


「でも手元の情報ってあんまり……」


「いや、そんな事はないぞ? 旧世界におけるグラヴィクスの動向を推測しながら、同時に現在の地理と照らし合わせていく」


「なるほど! 使徒ならではのやり方ってわけね」


「旧世界は今より陸地が少なかったからね。それも踏まえれば、だいぶ絞り込めるだろう。輝夜、地図を頼む」


「うん! 任せて!」


 頼まれて嬉しそうにしながら輝夜が用意したのは、大判の紙に印刷された世界地図だった。もはや紙の地図など、悠斗達の世代には馴染みのないものである。


「紙の世界地図なんて初めて見たぞ……」


「趣があるだろう?」


 まあ、これはこれで作戦会議みたいだからいいか──と悠斗は内心ニヤけていた。


「まずグラヴィクスの事件が起きたのはここ、モンゴルの辺りだ。そして今で言う国連のような組織がグラヴィクスを回収していった」


 かれんが指先で被害が及んだと思われる範囲をなぞる。


「その直後から、世界中に戦火が広がり組織は自然消滅したのだが……グラヴィクスを破壊したと偽って世界に報じられたのはその最中(さなか)だった。おそらく組織の中で強い力を持っていた国が、混乱に乗じてグラヴィクスをくすねたのだろう」


「かれんさんすごーい!」


 水月は心底関心しているようだった。普通なら知るはずのない旧世界の情報、そこから推測できるのは実際かなりありがたい。


「何か真実に迫ってる感じするよな!」


「どうだろうな、まだ事実をなぞっているだけだ」


 一呼吸おいてからかれんが話を続ける。


「ここからが推測だよ。グラヴィクスを隠した国はどこか? 候補は二つある。一つは〝モルティシア〟──地中海の辺りを支配していた国だ。もとは小さな国だったが戦争に意欲的でね……戦火が広がり始めてから急激に近隣諸国を支配していった」


「そのモルなんとか、めちゃくちゃ怪しいわね……」


「うんうん。何だっけ、モルティング?」


 口元に手を添えて地図を見つめる莉奈と、それに頷く水月。


 国名を覚えられなかった二人に悠斗が補足する。


「モルティモアな」


「違うよ悠斗さん、モルティシアだよ……」


 輝夜が小声で間違いを正した。言うまでもないが、悠斗は赤面している。


「まあ……そこは覚えなくてもいいだろう。そしてもう一つが〝オウレム〟──この日本列島で栄えた国だ。海の自然防壁に守られて古くから存在していたが……その分、深い闇を抱えていたようだ」


「この日本に隠されてるとか、正直考えたくないよな」


「みんなが来る前にね、かれんとかぐやで話してたんだけど……やっぱりこの二つが一番怪しいと思うの」


「後はせいぜい、どんな場所にあるか、だな。現状それらしいものは発見されていないとなれば、やはり地下か……最悪、海の底かもしれない」


「さすがに海はやめて欲しいよな……」


 悩まし気に頭を抱える悠斗を見て、かれんが悪戯(いたずら)な笑みを浮かべた。


「みんなの水着姿が見れたりして?」


「海こい!」


 スパァン!とすかさず莉奈にひっぱたかれる悠斗。


「私はモルティシアをまず調べるべきだと思うが、皆はどうだ?」


 かれんの問いかけに全員が頷いた。


「それにこの辺りにはルーナがいるはずだ。もしかすると既に何か掴んでいるかもしれない」


「ルーナって確か……」


 記憶を辿る悠斗にかれんが名を告げる。



「そう、戒めの使徒の一人──〝天体の創造主〟ルーナ(Luna)クレアーレ(Creare)だ」





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― 新着の感想 ―
[一言] か、かぐやちゃんが可愛すぎる!!! 落ちちゃったマシュマロは可哀想だけど「かぐやのマシュマロさん」ってワードが可愛すぎてこちらから言えるのはただ一つ、ナイスマシュマロ!! 和やかな気持ちにな…
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