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「ねこにち」零れ噺集  作者: 猫じゃらし/大鋸屑


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15/16

クリスマス

「メリークリスマス!ちびっこ共、良い子にしてたかー?」

「「「わー!」」」


 とある児童保護施設。あたし(さくら)はクリスマスにサンタ役として呼び出された。

「よしよし。クリスマスプレゼントだ、持ってけー!ケンカすんなよー!」

「「わーい!」」「あー、それ欲しかったやつー!」「同じのでガマンしろー!」「ありがとー!」

 元気なガキ共は元気にお菓子を取っていった。元気そうで何より。


「…さて」

 今年は1人だけ居るらしい。この施設は本当にメンタルケアが徹底されてるよ、凄いもんだ。

「………」

 部屋の隅で三角座りしている子。どうやらまだ塞がってるらしい。

 隣にしゃがんで、お菓子を手渡す。

「…いらない」

 想定済み。

「どうしてだい?」

 優しく問いかける。

「私は、良い子じゃないから」

「そっか」

 お菓子をしまって…リバーシブル仕様のサンタ衣装を裏返す。

「……?」

「悪い子向けのブラックサンタさ」

 取り出すお菓子は、先程とはラインナップを変えている。チョコ、黒糖かりんとう、ようかん、ふ菓子…。

「……」(ふるふる)

 しかし、首を振るばかり。どうやらお気に召さなかったらしい。

「どうしてだい?」

 再度、問いかける。

「…たべたくない」

 口元をうずめて、か細い声で。

「そっか」

 数分の沈黙。

「良い悪い、って、何だと思う?」

「…?」

 無言で回答を促す。

「…分かんない」

「そっか」

 数秒の間が空く。

「良い悪いってさ、結局は主観的要素でしかないんだよ」

「?」

「あたしはさ、此処に居るみんな、良い子だと思ってるよ」

「なんで?」

「だってさ、此処来たって事はさ、それなりに辛い思いしてきたわけでしょ?」

「…」

「全部投げ出したって、おかしくなかった。それでも、投げ出さず、必死にもがいて生き続けた」

「 」

「だから、みんな良い子だよ。投げ出しちゃった子たちも悪い子じゃないけどね。結局、みんな良い子」

 頭をポンポンと、軽く撫でる。ついでにお菓子を差し出す。

 食べかすポロポロ、涙もポロポロ。

「…しょっぱい」

「そうかい、そうかい」

「ごめんごめん、ちょっぴり遅れちゃったよ」

 施設の裏庭にて。

「メリークリスマス。良い子のみんなにプレゼントだよ、みんなでお食べ」

 黒いサンタは、手を合わせた。

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