かぷっ
ガールズラブ、軽微な出血、及び吸血描写が出てきます。苦手な方はブラウザバックを推奨します。
閲覧は自己責任とさせて頂きます。もし閲覧したことにより不快な思いをされても猫じゃらしは一切の責任を負いません。また、この警告のせいで雰囲気が台無しだ、という苦情も受け付けません。
早朝。
首元に、ぷつり、と痛み。
2箇所。
肌が破れて何かが食い込む感覚と、傷口から紅がじわりと溢れ出し滲む感覚。
嫌な感覚ではない。
直後、ちうちう、ちゅぷちゅぷ、ぴちゃぴちゃ、と水音。
私の身体を流れる鉄分が吸われる。こきゅ、こきゅ、と音を鳴らして私のヘモグロビンを飲むそれは、意識がほとんど覚醒していない。
「むにゅんにゅ…」
夢と現実の狭間にいる吸血鬼が、私の首元にかぶりついたまま寝言をつぶやく。大方、私の名前でも呼んでいるのだろう。
満足したのか、んぁ、というねぼけた声と共に解放される首元。
混ざりきっていないであろう透明と赤を残して。
その2種類の液体を指ですくい取り、口に運ぶ。
間接キスをしたことによる背徳感。
透明の何とも言えない甘さ。
雑菌が入ると膿んでしまうので、少し名残惜しいが、傷口を浄化してから絆創膏を貼る。
スマホを取り、あいの朝食を少なめにするように頼んだ。
今日は少し飲まれる量が多かったから、暫く貧血気味になるかもしれない。
話の流れ的に本編で出せなさそうなので、零れ噺にて設定開示。
あいの祖母は父方母方共に吸血鬼であり、当然あい自身にも少し吸血鬼の血が混じっている。ので、通常の人間よりも犬歯が少し発達している他、弱い吸血衝動が存在する。
普段生活する時は問題ない(精々、血に対する忌避感が無い程度)が、今回のようにねぼけていたり、或いはお酒で酔っていたりすると、近くにいる人の首元にかぶりついたりしてしまう。あいの場合、被害者は大抵くろのすになるが、こんな様子だからあまり気にしなくてよいだろう。
なお、朝食を減らすのは吸血によって栄養が補給されるため。別に罰などではないし、吸血した時にある程度満腹中枢も刺激されるので、普段の量だと少し多いのだ。
余談、吸血鬼は遺伝的にアルビノしか生まれないのだが、あいも例外ではない。ただ真っ白ではなく、毛髪・虹彩などはうっすら桃色。茶色・金色・黒色でないのは吸血鬼の遺伝子によって生成される色素が変異したためだと考えられている。




