野望
ファウは考え込む。
その可能性はゼロではないが、さすがにそこまでするだろうか?
一か月ほど前、クスナは謁見に呼ばれた。その時、何か知ってはいけないことを知ってしまったとか……?
そもそもクスナに邪眼をかけたのはミンなのか?
そもそもクスナは本当に邪眼にかけられたのだろうか? さきほど話してみた感じはそんなおかしな感じもなかった。
「しばらく導師様に内密に護衛をつけましょう。誰かに狙われているかどうかはわからないけど」
ファウの提案にダーリャは頷いた。
* * *
長老はラテーシア家の奥の部屋に勾留されていた。
鍵付きの部屋で見張りもつけられている。
長老は、ミンが何を訊いても口を開かなかった。。
なぜクスナを殺そうとしたのか?
毒の入手経路はどこか?
「ずっと、このまま、この鍵付きの部屋にいるつもりですか?」
その問いにも、長老はだんまりだった。
結局、ミンは諦め退室する。
必然的に、ミンが長老の代理ということになった。
表向きの理由は長老は体調不良。実際は……。
ファウはそれとなくクスナの周辺を警戒していた。ラテーシア家の者も一番隊の兵士たちも特におかしな様子はなかった。
誰かに狙われてる様子もない。
当のクスナはといえば、ため息をついたり、ぼんやりしていることが増えたようだが、不調というほどでもなさそうだった。
それが気懸かりといえば気懸りではあった。
* * *
外から鍵をかけられ、見張りもついている。
窓の外にはやはり見張りの兵士がいた。
長老は幽閉の日々を送っていた。
長老は窓から外を眺めていた。
今の長老には何も為すすべはなかった。
だが、長老は諦めてはいなかった。
「今に見てろよ」
空を見上げ、そんなことをつぶやいていた。
終
読んでいただきありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。




