拘束
「お言葉ですが、それはこっちのセリフです」
と、ミンは頬を押さえながら抗議する。
「なぜ、彼を殺そうとしたんです?」
そう問われ、長老は言葉に詰まった。
最高位を暗殺しようとしその邪魔をされたから、なんて到底言えるわけがない。
「レファイ家に雇われてる魔導師がこの家で死んだとなれば一大事ですよ」
と、ミン。
「だからなんだ! レファイ家の雇われ魔導師なんかこの地にとって邪魔だろう」
「何を言ってるんです? この地の泉の祈祷には彼が必要ですよ」
実際、このルウの地では泉が枯れないように魔法の強い者が祈祷をしている。
その際、クスナは水の浄化もこなしている。魔力的なものはミンや長老には及ばないが、水の浄化に関しては相当レベルが高い。
その時、部屋にガイルと侍女が入って来た。
長老はたじろぐが、構わずミンは続ける。
「彼は魔導師ですよ。邪眼かけられてた間のことなんかすぐに思い出しますよ」
クスナの首筋には、長老の手の痕と、掻きむしった痕がしっかりと残っていた。
「そしたらどう思います? 長老に殺されかけたなんて知ったら……」
それを聞いて、ガイルと侍女はぎょっとした。
「長老、いったい何を考えてるんだ?」
とガイルが切り出す。
「ファウが攫われた時は犯人のメッセージを口止めさせたり、導師を殺そうとするなんて……」
長老はまた黙り込んだ。
「長老、もうあんたを信用できない。拘束させてもらう」
「何を言う! この私を拘束などと……」
長老は部屋から出ようとした。
ドアを開けたところで、一番隊の兵士に取り囲まれた。
「何の真似だ!」
長老はガイルを睨む。
「あんたの部下は口を割ったぞ。三番隊隊長も殺そうとしたそうだな」
「あいつら……」
長老は歯噛みし、そして観念した。
長老は兵士たちに鍵付きの違う部屋へと連れていかれた。
「……くそ! なんで長老が」
ガイルは悔し気に呻く。
尊敬している長老だったのに。
実際、長老の部下は口など割っていなかった。
だが、先ほどの長老の態度は自白したも同然なのだ。




