表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月色の砂漠~長老の野望~  作者: チク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/33

彼女は去る


「なんならしとく? 今生の別れになるかもしれないし」

 などとカーラはグレスに誘いかける。


「やめとくよ。お前さんとあまり仲良くし過ぎると、ケイに睨まれそうだから」

「そうね。ケイだって気が多い割に一途で嫉妬深いから困ったもんだわ」

「そこがケイの魅力だろ」

「そうね」


 カーラとグレスは、キョウの理解の及ばない会話をしていた。



「本音を言えば、レンが惚れた男の唇奪いたかったけど、ロボで我慢しとく」

 更にキョウは困ってしまった。

 困ってしまったキョウは、カーラの言葉通り気にしないことにした。



「じゃあ、私、そろそろ行くね」

「なんだ、もう行くのか」


「うん。リゾにも会えたし、あなたにも会えたし、行くわ。リゾをお願いね」


「俺にお願いなんかしなくても、リゾは俺なんかより強いししっかりしてるさ」

「そう? リゾってなんか危なっかしいのよ」


 その言葉にキョウは頷く。



 キョウが頷いたので安堵したように、カーラはにこりと微笑んだ。

 そうして、彼女はこのルウの地を去って行った―― 





     * * *


 それから十日ほど経った。


 環境維持ロボのキョウは、グレスに手を引かれ、泉の中に入っていた。

 まだ水は怖かったが、誰かと一緒なら入れた。


――やれば出来んじゃん。

 鈍色の水晶のロボはそんなことを言いながら、キョウの肩をガンガン叩く。


 その言葉を聞きながら、キョウは水の中で意思の疎通ができるなんて便利だと思った。


 キョウはだんだん水を克服しつつあった。




     * * *


 それから、一回、アンドロイドがルウの地に近づいてきた。

 ルウの民は騒然とはなったが、一番隊が追い払い事なきを得た。



 平和に時間が過ぎて行った。



     *


 クスナは泉の祈祷をしていた。

 砂漠の中に住むルウの民にとって水は貴重だ。

 その水源を枯らさないように、毎日、泉の祈祷をするのだ。


 祈祷の最中に、どさっと音がした。

 クスナが振り返ると、護衛のダーリャ・レファイが倒れていた。


 クスナが慌ててそばへ駆け寄る。名前を呼んでみるが返事がなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ