毒と呪い
ケイの背中に手を回し、目を閉じる。
ケイの唇が触れる寸前に目を開けた。
クスナは目は赤く輝いている。邪眼だった。
数秒、ケイはクスナの目を見つめたまま動かなくなり、そのまま眠った。
ケイの体力がなかったことと油断ていたのもあるのだろう。
本来ならクスナの邪眼なんか、かかるわけもない。
とりあえずクスナはほっと安堵する。
正直、ここで邪眼にかけられなかったら、無理やり行為の後ケイが死ぬコースしかない。
ひとまずケイを治せる可能性に繋がった。
クスナは、眠ったケイをケイの脱いだ上着の上にうつ伏せに寝かせた。
包帯をほどいてみる。
刃物による傷のようだ。
――いったい、誰が?
最高位に怪我を負わせるなんて、おそらく相手は最高位だろう、とクスナは思った。
さっき、ケイは最愛の男に刺されたと言っていた。
痴情のもつれか。
ともかく今は怪我を治すことのほうが大事だ。
手をかざし治癒魔法を施す。
怪我は治ったと思いきや、その部位がどす黒く浮かぶ上がり、ぱっくりまた傷口が開く。
これは呪い?
手を当て浄化させる。
毒と呪いの相乗効果のようだ。
傷の奥深くに潜んだ毒と呪いが、ケイの体を蝕んでいた。
クスナは、ケイの怪我に直接、口をつけて血とともに毒を吸い出す。
吸い出した毒は飲み込まないように地面に吐きだす。
――ここが室内じゃなくてよかった。
クスナはそんなことを思った。
毒を吐きだした後は、手をかざし呪いを浄化させる。
そこに治癒魔法と回復魔法を吹き込む。
――なんてタチの悪い怪我なんだ。
毒と呪いは一回では消えなかった。
クスナはまた同じ作業を繰り返した。
それに口で吸い出した毒、舌がぴりつく感じがする。
飲まないようには気をつけていたが、口の粘膜から体内に侵入しているのだろう。
決して美味ではない毒の味で味覚が麻痺してきた。ケイの血と混じったその味は美味にも感じられるようになってきた。
厄介な毒と呪いだった。
繰り返すこと十回以上、この動作を繰り返した。




