メカニック解説:CC-TM-001〈ティル・ナ・ノーグ〉/ CC-TM-03〈スカーヴァティ〉/ CC-SM〈シャングリラ〉
〈ティル・ナ・ノーグ〉
型式番号:CC-TM-001
開発元:EBU(欧州・ブリテン共同体)
所属:シスコーカシア戦線
前後長:4.0m
全高:10.7m
戦闘重量:77.5t
総推力:0t(スラスターなし)
最高速度:100km/h
装甲材質:EBU式チタン・セラミック系複合装甲
動力機関:『アビサル・キャパシタ』超大容量コンデンサ
推進機関:なし
武装:
・〈フォグシャドウ〉光学迷彩システム
・115mmラピッド・レールガン
・振動クロー×6
・支援熱核無人機〈ギロチナ・ストール〉
外見:
カラーリングは銀色。
四本の腕と、恐竜の後ろ脚のように折れ曲がった長脚。全身が曲面装甲に覆われており、昆虫と人間を掛け合わせたような印象を受ける。後述する〈フォグシャドウ〉システムを内蔵したリアスカートは大型で、ラピッド・レールガンを保持するためのハードポイントが存在する。
シスコーカシア戦線のT-Mechに共通のモノアイと牙めいた放熱板を不透明なフェイスカバーで覆っており、外部からは『のっぺらぼう』に見える。〈シャングリラ〉や〈ヴァルハラ〉に見られるような展開機能はない。
解説:
シスコーカシア戦線のアリスタルフ派閥が所有する斥候・偵察用T-Mech。元々はEBU(欧州・ブリテン連合)が反ロシア作戦用に供与した機体であるが、アリスタルフによって他の機体ともどもアフガニスタンに持ち込まれた。
シスコーカシアのT-Mechでは唯一侵襲式BMIを搭載しており、胸椎に移植したコネクタから思考制御によって操縦する。高度な光学迷彩システムを搭載しており、隠蔽効果を最大化するためにスラスターやエンジンを搭載していない。
当初、アリスタルフは本機を戦略兵器として運用することを搭載していた。すなわち光学迷彩で姿を隠して攻撃目標に接近し、レールガンから小型核弾頭を発射してテロを行う算段だったのである。しかしその後ジナイーダの加入によってこのプランは凍結され、本機は本来のコンセプト通りに運用されることとなった。
ともあれ、〈ティル・ナ・ノーグ〉は強靭な機体構造と大容量コンデンサによる持久力、そしてレールガンによる侮れない火力をも兼ね備えた高性能機である。一度潜伏に徹した本機を見つけ出し、そこから撃破まで持ち込むのは非常に困難であろう。
〇武装・装備
・〈フォグシャドウ〉光学迷彩システム
リアスカートに搭載するシステム。電磁メタマテリアル粒子を霧状に放出し、電磁場で滞留させて『スクリーン』を形成することで外光を偏向させ、範囲内の全てを視認不可能とする。赤外線やレーダー波の類も偏向するため、目視はおろかサーマルセンサーや対地レーダーであっても発動中の本機を捉えることはできない。
ただしその完璧さ故に「中からも外が見えなくなる」という弱点を抱えており、そのためシステム発動中は『スクリーン』を一部解除するか、3Dソナーによる音波で周囲を索敵することになる。
・115mmラピッド・レールガン
ブルパップ式の速射型レールガン。兵装自体にアビサル・キャパシタが内蔵されており、機体側のエネルギー消費を抑えている。〈ピースキーパー〉のフルチャージ砲撃に匹敵する射撃を5点バーストで射撃可能。レーダーを用いた管制射撃も可能だが、タチアナは敵に照準を悟らせない目視照準を好む。
・振動クロー×6
両手足の先に装備する、振動素子を鋳込んだセラミックの鉤爪。PRTO製の振動ブレードと同じ原理の兵装で、アーク放電と振動で標的を焼き切る。
本来は岩壁などに突き刺して壁を上るためのスパイクであり、格闘戦に向いた形状とは言い難い。これで〈ヘルファイア〉と互角に打ち合えたのは、偏に搭乗者であるタチアナの技量とセンスによるものである。
・支援熱核無人機〈ギロチナ・ストール〉
巨大なディスクカッターを思わせる円盤型の無人機。核融合炉ユニットと熱核ジェットを搭載しており、〈ティル・ナ・ノーグ〉を上に乗せたまま高速飛行する推力を発揮する。BMIコントロールに対応しており、訓練によって搭乗者の意のままに操ることが可能。
非常に頑強な機体構造を装甲で覆っているため、巨大な投擲武器や盾として用いることすらできる。改造によって帯電振動ブレードが装備されており、航空機程度なら多少装甲化されていようが体当たりで真っ二つにしてしまう。
ただし、本兵装はいわば外付けのスラスター兼発電機であり、機体そのものに動力源を持たない〈ティル・ナ・ノーグ〉にとっては生命線のような存在である。そのためよほど追い詰められない限り戦闘に用いることはない(逆に言えば本兵装の投入は〈ティル・ナ・ノーグ〉が全力で殺しにかかることを意味する)。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
〈スカーヴァティ〉
型式番号:CC-TM-003
開発元:EBU(欧州・ブリテン共同体)
所属:シスコーカシア戦線
前後長:4.5m
全高:10.5m
戦闘重量:50.2t
総推力:0t(スラスターなし)
最高速度:110km/h
装甲材質:EBU式チタン・セラミック系複合装甲
動力機関:『アビサル・キャパシタ』超大容量コンデンサ
推進機関:なし
武装:
・複合ECMユニット
・アンテナ・ロッド
・支援熱核無人機〈チョールヌイ・ロートス〉
外見:
カラーリングは艶やかな黒。各所に金のラインで装飾が施され、胴体にはチェチェンの象徴である巻物型紋様。
〈ティル・ナ・ノーグ〉と共通の四本腕フレームを使用しているが、装甲を削っているため即身仏めいて痩せて見える。背中には巨大なリング状の複合ECMユニットが接続されている。
観音帽子を思わせる尖った頭部にはセンサーが詰め込まれており、顔面の中央部にはモノアイが配されている。
解説:
シスコーカシア戦線アリスタルフ派の首領、アリスタルフ・アルハノフの乗機。
非侵襲式BMIで制御される機体であり、電子戦と指揮通信に特化している。コックピット内にはキーボード状のコントローラーを持つ。
この手の役割は本来航空機が行うものだが、本機はあえてT-Mechに電子戦装備を詰め込むことで、緊急時にユニットを切り離して脱出・戦闘を行えるようになっている。これは合理的な有用性の追求というより、根本的に他人を信用しないアリスタルフの性格を反映したもの。
〇武装・装備
・複合ECMユニット
機体背部に背負う巨大なリング状の電子戦装備。無数のブレードアンテナが放射状に生えており、仏像の後光輪を思わせる外見。稼働時はこのブレードアンテナが各個に回転走査を行う。
通信傍受から敵無人戦闘機への乗っ取り攻撃、機体位置を誤認させる広域ジャミングなど、この兵装ひとつで多彩な電子攻撃・電子支援を行うことができる。
・アンテナ・ロッド
錫杖めいて無数のアンテナを取り付けた鉄柱。
ただの棒だが小型Mech程度なら殴り倒せる。
・支援熱核無人機〈チョールヌイ・ロートス〉
〈ティル・ナ・ノーグ〉の〈ギロチナ・ストール〉に類似した熱核飛行ユニット。
仏像の蓮座を思わせる肉厚の外見で、飛行速度より安定性と搭載量を重視している。〈スカーヴァティ〉は基本的にこのユニットから降りることを想定していない。
内部スペースに粒子タンクと空中供給パイプ、非常用のビーム・フューザーなどを格納しており、味方のサポートに動くこともできる。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
〈シャングリラ〉
型式番号:CC-SM
開発元:シスコーカシア戦線
所属:シスコーカシア戦線
前後長:5.2m
全高:10.8m
戦闘重量:25.5t
総推力:250.0t
最高速度:1500km/h(飛行時)
装甲材質:なし
動力機関:『アビサル・キャパシタ』超大容量コンデンサ
推進機関:電熱式パルス・デトネーション・エンジン
武装:
・テンタクラー・マント
・フェイズドアレイ・レーザー迎撃ユニット
・ビーム・フューザー
・〈ケラウノス〉戦略級ビーム・キャノン
外見:
マントを羽織った鎧騎士を思わせる人型。両手足に羽状のスラスターを持つ。
カラーリングは黒だが、各所に白いエアロカウル(空気抵抗を抑えるための板で、装甲ではない)が被せられている。
背中にレーザー・ユニットと一体化したサブアームを持ち、加えて両肩と背部から3基ずつ、幅広の触手がマントのごとく垂れ下がっている。足先は猛禽類を思わせるクローとなっている。
頭部は目にスリットの入った騎士兜状。最大稼働時はエアロカウルが展開し、モノアイや放熱板が段階的に露出する。
解説:
シスコーカシア戦線の最終兵器。
〈ヴァルハラ〉のビーム兵器、〈アズガルド〉のレーザーユニット、〈ティル・ナ・ノーグ〉や〈スカーヴァティ〉の骨格フレームを流用し、シスコーカシア戦線内部で組み上げられた機体。T-Mechを越えた戦略級機械化装甲とでも言うべき存在で、形式番号上も他の機体とは別枠となっている。
本機最大の特徴は専用兵装〈ケラウノス〉による超高火力のビーム砲撃である。
また自衛戦闘においても非常に高い性能を誇り、たいていの目標は異常なまでの空中機動力で何もさせずに撃破してしまう。
ただし防御面はテンタクラー・マントとレーザー迎撃に頼っており、放熱のために本体はまったく装甲化されていない。頑強さを追求したPRTOの〈ヘルファイア〉とは対照的に、被弾を度外視して高出力装備で固めた機体である。
また本機は放電能力者であるジナイーダの搭乗を前提としており、核融合炉のような内部動力を持たない。ジナイーダは機体を壊さない程度にコンデンサへ給電しつつ、非侵襲BMIに脳波を模した電気信号を流すことで機体を動かしている。
こうした強引な運用は(ジナイーダの荒い乗り方もあって)当然ながら各パーツに大きな負担をかけており、出撃後には必ずオーバーホールが必要とされる。このため稼働率は低く、普段は決戦兵器として温存されていることが多い。
〇武装・装備
・テンタクラー・マント
両肩と背中から生えた人工筋肉の触手。BMIによってコントロールされる。
空中姿勢制御のための動翼、空気抵抗を低減するプラズマアクチュエータの発生器、格闘時のサブアーム、通電装甲シールド、放熱装置といった機能を兼ね備えた超多機能デバイスであり、〈シャングリラ〉の高性能を支えている。
特に目立つのはマントを貫通したものを超高電圧で破壊する通電装甲機能であり、〈ピースキーパー〉の対T-Mech徹甲弾をも無効化する防御力を見せた。その一方でCNT筋線維を焼いてしまうテルミット兵器には弱い。
また、「装甲が無数の機能を兼ねている」というのはすなわち「被弾によってあらゆる性能が低下する」ことを意味しており、運用には慎重さが要求される。
・フェイズドアレイ・レーザー迎撃ユニット
〈アズガルド〉のそれと同種の兵装。当初は機械式サブアームで懸架されていたが、4章時点で触手型のソフト・アクチュエータ・アームに換装された。
より高出力に調整されており、昼の大気中でも照射軌跡を視認できるほどのレーザーを放つ。ジナイーダはレーザーでイオン化した大気の道に余剰電流を伝わせ、装甲化された〈ファイア・ビー〉ミサイルを強引に破壊してみせた。
・ビーム・フューザー
小型のビーム兵器。カーブした握りを持つ手持ち式のものを腿部のホルダーに携行するほか、両脚にも内蔵式で装備している。
射撃とビーム刃形成の両方が可能で、両手両足のスラスター噴射と合わせて自由自在に斬撃を繰り出す。
・〈ケラウノス〉戦略級ビーム・キャノン
殲滅浄化兵装のコードネームで開発された、〈シャングリラ〉最大の武装。
構造としてはテンタクラー・マントを生やした超大型ビームキャノンであり、大型のランスを思わせる携行形態から百合の花のような射撃形態に変形する。砲口付近に電熱式スラスターが内蔵されており、姿勢制御に貢献する。
射撃形態では戦術核兵器に匹敵する出力のビーム砲撃が可能で、最大射程では500km先を飛行する空中空母〈キュムロニンバス〉を撃墜してみせた。また射撃が許されない状況下においては、携行形態のままビーム・ラムを発振して突撃戦を行う。
なお最大出力での射撃時は莫大な反動がかかるため、両脚をまっすぐ伸ばして関節をロックする簡易変形をする。




