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幽霊のマティはフレアを見ながら、
「私の記憶にあるフレアならば、『勇者』に関する能力があるはず、何か証明するものは持っていないか」
フレアは小さな首飾りを取り出して見せた。
「今の私は、物に触れることができない。開くはずだから、中を見せて欲しい。」
幽霊のマティに言われ、少し手間取って蓋を開けると、白い石と赤い石がはめ込まれていた。
幽霊のマティは石を指さしながら説明をした。
「この赤い石は、精霊が与えたと言われる『精霊石』だ。こっちの白い石は初代『勇者』の遺骨と言われている。赤い石が薄ら光っているからら、力が発動したことが有りそうだ。初代『勇者』の遺骨を媒介として、この首飾りの力を引き出しているから、『勇者』の血を引く者以外は使えない。」
幽霊のマティは一旦言葉を区切って、
「よく生きていてくれた。私の息子に間違いないだろう。是非話したいことがある。だが力が弱くなっているみたいで、段々この状態でいれる時間が短いのだ。時間をねじ曲げれる魔法『暗転』を使ってくれれば、上手くいけば最後まで話ができるたろう。」
フレアは、一度も自分の意思では唱えた事のない『暗転』を唱えてみた。




