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たいまつをともしながら、フレアは前へと進んでいく。
ゴフゴフという音と、獣の臭いが漂ってくる。
どうやら『それ』は、眠っているようだ。
フレアはゆっくりと近づいて行く。
不意に、バチンとたいまつが、ひときわ大きな音とたてた。
そのとき『それ』は、雄叫びを上げて立ち上がった。
全身に緑色の鱗を持ち、フレアの倍はある巨体から伸びている太い尾を、バンバンと地面に打ち付けている。
その口もとからは、炎か見え隠れしている。
それはフレアが初めて見る魔物、『グリーンドラゴン』だった。
フレアはたいまつを『グリーンドラゴン』に投げつけると、『白鋼の太刀』を抜き放ち、上段からの先制の一撃を加えた。
つんざくような雄叫びあげ、『グリーンドラゴン』は炎を吐いた。
既にフレアは、『グリーンドラゴン』の横に回り込んでいて、炎は当たらない。
フレアは、下方から跳躍しながら切り上げ、『グリーンドラゴン』が炎を吐き出すために下げた頭を斬りつけた。
運良く片眼に当たり、見えなくなっているようだ。
この『麻布の服』では、一撃でも致命傷となる。
絶対に攻撃を受けてはならない。
フレアと『グリーンドラゴン』の戦いは、今始まったばかりだ。




