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38 勇者たちと結花奈

「ユーカーナーさーんっ」


 聞き覚えのある声にぎょっとして思わず振り返りながら、身をよじって退避する。


「ととっ、もー、ユカナさん! 避けないでくださいよぅ!」

「……何でお前がいるんだよ」


 へらへらした間抜け面でもイケメン補正で様になる、聖王国所属の銀髪青目の勇者様。

 このうざ勇者、最初に聖王国に顔見せに行ったときに上から目線でふっかけてきてうざかったので、ぼっこぼこのぎったんぎったんにしたら懐いてきた。ドMかよ、きめぇ。


「いやぁ、私もつい先ほど入国したんですがね。広い大陸、たまたま巡り会えるなんて、これは運命ですね」

「ただの偶然でしょ」

「いやいや、これもヒンドュリア様のお導きですよ。そうだ、せっかくだし一緒に魔王倒しません?」

「そんな、茶ぁしばこうぜってノリで言われても」


 私のパーティーに参加したいらしいけど、やだよ。お前、三人もハーレム、もといパーティーメンバーいるじゃん。美人神官ちゃんに美人魔法使いちゃんに美人剣士ちゃんとか、お前どこのラノベ主人公だよ。

 ま、理屈で言えば勇者同士で組んだ方が効率的で生存率も高いのはわかってるけどさ。でもやだ。なんか生理的にやだ。ていうかハーレム三人ともツンデレだしめんどくさいし。


「つかあんたのパーティーはどしたの?」

「ああ、今あいつら強化修行でそれぞれちょっと出てるんですよ」

「なにそれ」


 興味がわいたので喫茶店に行って話をすることにした。私の下僕二人も今は買い出しやらでいないし、暇だしね。


「コーラ二つ。あ、あんたの奢りね」

「ありがとうございます!」

「……ひくわぁ」


 コーラと言っても、出てくるのはなんか炭酸水っぽい飲み物だ。微炭酸だし、ぬるい。二つとも三分の一ほど凍らせて冷たくする。うむ、うまい。


「ほう、さすがユカナさん。お見事ですな」

「誰でもできるでしょ」


 おべっかは置いといて、話を聞く。


 金髪ロングのぼいんの神官ちゃんは、何か秘境にある神聖なる滝とならに聖なる力を高めに行った。

 赤髪ふわふわロリータの魔法使いちゃんは秘術をゲットしに魔法エリートなエルフの里へ行った。

 緑髪ショートスレンダーな剣士ちゃんは剣術をさらなる高みへあげるため、海を渡った竜の里へ向かった。


 へー、そりゃ大変だ。


「で? あんたはなにしてんの?」

「は? いやいや、何を言いますか。私はすでに強いですから」

「どこが?」

「むむ、さすがにユカナさんでも聞き捨てなりませんぞ。別れてからはや半年。あれからさらに私も強くなりましたからね」

「じゃ、後で手合わせしたげよっか?」

「よいのですか!? 是非! 是非お願いします!」


 コーラを飲み終わるまでは最近の情勢とかについて軽く30分ほど話し、それから私たちは近くの武器屋に向かう。

 大抵武器屋には武器の具合を確かめるための演習場がある。最悪近くにはある。


「おっ、誰もいないじゃん。よーし、遠慮はいらないね」


 じゃきーん、と格好いい音をたてて、剣を鞘からだす。くぅー、何回見ても惚れ惚れするねぇ。


「おお、噂では聞きましたが、それがかの伝説の鍛冶師が造った剣ですか」

「うむ。デザイン私じゃ。かっこよかろう?」

「……そうですね!」


 おい今の間はなんだ。全く。この世界のやつらはセンスがなくて困る。だいたい伝説とか言われてるドガーさんが剣をつくってくれたのも、私のデザインに惚れたからなのに。


「まぁいいや。ハンデはどうする? また魔法なしで?」

「いえ、ユカナさんは魔法の方が得意と聞き及んでおります。是非、ハンデはなしで!」

「よかろう! その意気やよし! 全力で相手してやるからこい!」

「はい!」


 ではさっそく! 私の全力全開究極魔法、ブラックホールでトドメだ!


「天高き彼方にありて我が」

「ちょっ、詠唱とか本気だしすぎじゃないですか!? しかもそれ!?」

「街滅ぶかもね。頑張って呪文唱えられないよう妨害してよ。天高き彼方にありて我が力となりしせー」

「ーーー! ーー……?」


 あ、あれ、声がでないだと!? おかしいな。確かに詠唱魔法を妨害するには声を出させないのが手っ取り早いけど、私の方が魔力高いのにできるわけが、ていうか、なんであいつも喋れてないの?


「はー、危なかったー。ちょっとあなたたち、こんな街中でそんなに魔力集めて、なんて魔法使おうとしてるのよ」


 声がする方に振り向くと、そこには宙に浮かぶ女がいた。


「……誰?」

「あら、もう声が出せるの? 慌ててたからかなり本気だったんだけど」


 とりあえず落ち着くため三人で改めて喫茶店へ入る。


「コーラ3つ」

「ーーーーー!」

「なに言ってんのかわかんないから」


 アホはまだ魔法にかかっていた。


「で、なんなの? 私らただ手合わせしようとしてただけなんだけど」

「あのねぇ。手合わせってレベルじゃないでしょ。あんなに魔力を高めて、魔王でも攻めてきたのかと思ったわ」

「大袈裟だなぁ。最悪でもあの場所にだけ範囲しぼってたから、あそこだけ五年くらい草が生えなくなるだけだって」

「あのねぇ」

「それより教えてよ。さっきの、空に浮いてたの。なんて魔法?」

「え、えー、まぁ教えてもいいけど、普通の人が使うと魔力消費激しいわよ?」

「いいからいいから。あ、そうそう。私ユカナ。ユニパル国の勇者。こいつはサディラス、聖王国の勇者 」

「あら、奇遇ね。私も勇者なの」

「ーーー!?」

「いやだからわかんないから。いつまでかかってんのさ」


 こうして私はまたも勇者と出会った。ハーフエルフでエルフの里出身の勇者、リアルケイト・リーフラーク。

 勇者が三人も揃うとか、エンカウント率高すぎだろ。











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