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5.香山譲

「ねぇ、どうして僕は君と結婚したんだろう」


普通の夫婦なら離婚のきっかけになるような発言を、結婚してまだ1日も過ぎていないのに口に出したら何を考えているのかという話になるだろう。


桜子は僕の予想通りに何か知ってそうな顔になった。あとは悲しみ、恐怖、罪悪感。だろうか

僕は冷静に見ても酷いことを言ったのに、怒りや憤り不信感を僕に向けないなんて、大丈夫かなこの子と心配になる。


「私が、貴方を愛しているからですよ。」


桜子はこちらをまっすぐに見て言った。


「画面の向こうの貴方が好きで好きで好きで、どうしても自分を見てほしくて、どうしても愛してほしかったんです。」


「だから、結婚したんですよ。」


そう、静かに言葉を紡いだ桜子は、なんだか泣きそうで、でもこの子は泣かない、いや、泣けないんだなと。見ていて理解できた。



この子は今は理由を話してくれないのだろうということは分かった。

でもいつか桜子を愛せて、彼女も僕を愛することを自分に許すことが出来たら。

教えてくれるのではないか、そんな気がした。


ここで気が付いたのは、桜子を愛していない自分だ。


愛していないけどなぜか気になる。一緒にいたいなんて初めてだ。

だんだん心が躍ってきた。


僕は顔面のお陰で本当に「なんでもすぐできる。わからないこともない、みんな教えてくれるから。」な人生だったので、未知数、∞な状況に憧れるようになってしまった。


この無鉄砲さで、グループ全員での無人島ロケで進行表を無視して海に飛び込んで遺跡を発見したこともある。(のちに文化遺産になって、僕たちのグループは広報活動を任された)


桜子の秘密はなんだろう、知りたくてたまらない。


この時の僕は、彼女の抱えているものなんて知りもしなかったから。無邪気にそう思っていた。



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