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第150話「名を喰う糸、無能王子は“壊せない敵意”の中で雷を握る」
黒い糸が、深部の闇を裂いた。
一本ではない。
十本でもない。
百。
千。
いや、数えることに意味がないほどの数。
虚ろの王の欠片が座していた黒い玉座。
無数の名の残骸で作られた歪な王座。
そこから伸びる黒い糸が、一斉に放たれた。
それらは、ただの攻撃ではなかった。
触手でもない。
鎖でもない。
魔力の線でもない。
名を喰われた者たちの残滓。
戻れなかった声。
痛みを恐れて空白に沈んだ願い。
それらを無理やり編み込んだ、虚ろの糸。
一本一本が、誰かの名だった。
誰かの記憶だった。
誰かの帰れなかった場所だった。
だから。




