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名無しの悪魔ちゃん  作者: こめっこ
第2章 教育冒険者
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16/35

鎧は高い!

またまた高評価ありがとうございます\(*'ω'*)/

ブックマークの登録もありがとうございます!!


 一夜明けて目が覚めると既に日が昇っていた。

 久しぶり、というか初めて心置きなく眠れた気がする。これまでの生活との落差で、こういう当たり前の事が、凄く尊く思えてなんだか涙が出てきた。


 レイラさんから貰ったワンピースの服に袖を通し、剣帯を締めて剣を提げてみたが、見事に違和感しかなかった。

 慣れてしまえば これはこれで悪くないのかも知れないけど、今日のところは剣は置いていく事にする。


 それにしても何故か胸のあたりがスースーする。

 おかしいな。胸の部分は空いているのに、どうしてこんなにも胸が苦しいのだろうか……。



 一階へ降りると、竜の牙の皆さんが朝食を摂っていたので挨拶をして、私も朝食を注文する。


「それで、今日はどうするのナナシちゃん?」

「そうですねえ。街をぶらぶらしながらゆっくり買い物でもしようかなと……靴も欲しいですし」


 私は自分の足元を指差して苦笑いする。


「あー、やっぱりそうよね。私も気になってはいたんだけどね。普通に歩いてたから聞きずらくって、ていうか足大丈夫なの?」

「あ、はい。体だけは丈夫ですので……」


 まあ気になりますよね。


 それから朝食を摂りながら、日用品や靴などを取り扱っているお店を聞くと、それらをまとめて取り扱っている冒険者用品店があるそうなので、その場所を教えてもらい宿を出た。



 大通りに出ると出店がずらっと並んでいて、既に大勢の人で賑わっている。ちょっとしたお祭りのようにも見える。

 昨日はゆっくり見て回る時間がなかったので今日は楽しみだ。


 さっき朝食を食べたばかりにも関わらず、匂いに釣られた私は串焼きが置いてある一軒の出店の前で立ち止まっていた。


「いらっしゃい嬢ちゃん!」

「あ……一本下さい。いくらですか?」

「鉄貨四枚だ、ちょっと待ってな」


 そう、これは貨幣価値の調査をしているだけで、決して私の食い意地がはっているとかそういう事ではない。

 あくまでも調査の一環なのだ。


「へい、おまちどう!」

「ありがとうございます」


 おじさんから串焼きを受け取ると、思った以上にひと切れが分厚く、食べ応えがありそうだ。

 肉の表面には塩が振ってあるだけで、いたってシンプルな見た目だ。


 ほほぅ、この私に素材の味で勝負するというのですか? いいでしょう、その勝負受けて立とうじゃないですか!


 と謎の対抗意識を持ちつつも、美味しそうな匂いにたまらずかぶりついた。

 肉厚の身はプリッとした歯ごたえのある食感で、噛むごとに肉の脂がジュワッと口の中に広がっていく。

 噛めば噛むほど肉の旨味と脂が広がり、その旨さに私はただひたすら口へと肉を運ぶ機械になった。

 あれほどのボリュームがあったにも関わらず、気が付けば串だけになっていた。


 鉄貨四枚と少し高いかと思ったけど、それに見合った価値はありましたね。

 ふぅ……今回の勝負は私の負けを認めましょう。


「……おじさんもう一本下さい」

「お、おう。嬢ちゃんよく食うな……」

 

 そうして受け取った串焼きを片手に、今日の目的の一つである靴を買う為、教えてもらった冒険者用品店へ向かった。



 少し迷ったが、大きな建物だったのでなんとか無事に辿り着いた。ちなみに串焼きはもう無い。悲しい。


 中に入ると結構な広さがあり、靴だけでなく長旅にも使えそうな丈夫な服やマント、帽子などの服飾品もあり、種類もそれなりにあるようだ。


「何かお探しですか?」


 きょろきょろと周りを見ていると女性の店員さんがやってきた。


「えっと、靴を見に来たんですが」

「でしたらあちらになります。よければ先に足のサイズを測りましょうか?」


 私が靴を探している事を伝えると足のサイズを測ってくれた。

 でも裸足だから足が汚れてて恥ずかしい!


「失礼ですが、今は靴を履いてらっしゃらない様ですが、どういった用途で使われる靴をお探しですか?」

「っと、そうですね……」


 これでも私は冒険者なのでお洒落な靴よりも長旅にも耐えられる丈夫な靴の方がいいだろう。

 でもお洒落は足元からとも言いますし……。


「一応冒険者ですので、できれば丈夫なもので……お願いします」

「それでしたら……少々お待ち下さい。――お待たせしました。こちらのショートブーツと、こちらのロングブーツは、丈夫で見た目も可愛いと女性の冒険者さんに好評ですよ」


 気が利く店員さんだー! おーこれいいんじゃない? あっ、でもお高いんでしょう?


「こちらのショートブーツが銀貨七枚で、こちらが銀貨十二枚になります」


 銀貨十二枚って事は、金貨一枚と銀貨二枚か。


「んー。じゃあ、こっちのショートブーツをお願いします」


 ロングブーツも捨てがたいが、気軽に履けて蒸れにくいショートブーツを選んだ。

 実際に造りもしっかりしていて丈夫そうだ。それに、くるぶしの所によく分からない花のレリーフも取り付けてあったりする。


 ついでにバックパックや冒険者に必要なナイフやら何やら必要な物もお任せで一式見繕ってもらった。

 あと、必要性は感じないけど、一応鎧も買う事にした。鎧とは言っても革製のビスチェみたいな上半身だけなんだけど。

 それと、代えの下着や靴下、タオル等の日用品も購入した。


「ありがとうございましたー! またのご利用お待ちしております」



 全部新品で購入したが、金貨七枚でなんとか収まった。

 でも結構いったなぁ……金貨七枚あったら串焼きいっぱい食べれるじゃん。


 中でもとりわけ高かったのは革鎧で、これ一つで金貨四枚とかして本当にビックリした。この半額以下のもあったけど、一度手に取っちゃうと要らないって言えないんだよねぇ……。しかも、下手にお金持ってるから尚更ダメなんだよ。見栄張っちゃってさ……。

 ブーツもそうだけど、革製品とか布製品は結構物価が高い。

 逆に、小型だけどナイフが銀貨五枚と思ったより安かった。……いや、ナイフ一つで宿に十泊できると考えたら高いのか?


 うーん、分からん。それだけ貴重って事なんだろうけど、これは感覚で覚えるしかないか……。


 でも、これだけ買ってもまだまだ余裕があるって事は盗賊の報償金って、結構すごい額だったって事……だよねえ……本当によかったのかな、私一人でもらってしまって……。




 買い物を終え、外に出ると太陽が真上を通り過ぎていた。時計塔で時間を確認すると、時刻は午後の一時を過ぎていた。

 鎧の試着やら何やらしていたので、結構な時間が過ぎていたようだ。それに手荷物が増えてしまったので、一旦宿に戻る事にする。

 足も洗ってちゃんと靴を履きたいしね。


 宿に戻ると、ミアさんが受付で帳簿を付けている様だ。


「あの、すいませんミアさん」

「おかえりなさいナナシさん。どうしました?」

「ただいまですミアさん。すいませんが足を洗いたいのでお風呂場を借りてもいいですか?」

「ええ、どうぞ。お湯はまだ溜めてませんがいいですか?」

「はい、足を洗うだけですので。ありがとうございます!」



 お風呂場で足を洗い、さっそく靴を履く。


 うん、これですよこれ。サイズもぴったりだ。


 靴を履くだけでみすぼらしさが一気になくなった。

 そして、買ったばかりのブーツを履いて再び街へ繰り出した。


 新品の靴だと何故か散歩も凄く楽しいね!


 どうせなのでこのまま仮手形を返却しに行く事にする。うっかり忘れて逮捕されては目も当てられない。




「あの、身分証を作ったので仮手形を返却しに来ました」

「ん? ああ、昨日の」


 北門に着くと昨日の入門時にいたおじさんの門番さんがいたから声を掛けてみたが、どうやら覚えていてくれたようだ。


「今日は内門なんですね」

「ああ、交替制だからな。それにしても早かったな。確認しても?」

「昨日街に着いたその足で登録しましたので、はいどうぞ」


 門番さんと会話をしながら組合(ギルド)カードを提示する。


「じゃあ失敬して……ん、Dランク? 昨日登録したんだよな?」

「ああ、それは竜の牙の皆さんの推薦でDランクから始められるようになりました」

「ほう、そんな制度があったのか。いや、てっきり戦闘試験をクリアしたのかと思ったぜ?」


 Aランク推薦の制度はあまり知られていない様だ。

 確かにこの制度が有名になる程にぽんぽん推薦していたら不正を疑われてもおかしくない。


 でもある意味戦闘試験もクリアしましたよ?


「それにしてもローランド達の推薦か、見た目じゃあ分からんが相当やるって事か」

「いえ、私なんか大した事ありませんよ。ですが、ありがとうございます」

「冒険者がそんなに謙遜するもんじゃねえぜ? じゃあ、最後に本人認証をいいか?」

「あはは。はい、これでいいですか?」


 カードに指を置いて光らせる。

 相変わらず不思議だ。


「ああ、問題ない。協力感謝する」


 そう言って銅貨一枚を返却してもらう。

 ここでの用事は済んだので、門番のおじさんにお礼を言って別れた。


 この街は結構広くて、街全体を回ろうと思ったら一日では全然足りない。

 もう少し時間がありそうなので、土地勘をつける為にも街を散策して、薄暗くなってきた辺りで宿へ戻った。

 

 宿で夕食を食べてお風呂に入ったら、今日からレイラ先生の個人レッスンの時間だ。

 今日は初日という事もあり、ひたすらアルファベットもどきの書き取りをする。言葉は分かるので、アルファベットもどきさえ覚えてしまえば、そう難しくない感じがする。そうして時々質問や雑談を挟んだりして結構楽しい時間を過ごした。

 夜も更けてきたところで勉強を終えて、レイラさんにお礼を言って部屋に戻り床に就いた。


 何だかこうやって暖かいお布団で眠れるだけで幸せなんだな。


 明日は冒険者組合(ギルド)に行って簡単な依頼でも試しに受けてみよう。

 ふぁ〜。今日もいい夢が見れそうだ。おやすみ。






鉄貨:百円

銅貨:千円

銀貨:一万円

金貨:十万円

大金貨:百万円

白硬貨:一千万円

ふわっとこんなイメージで考えていたのですが、奴隷一人辺り50万と考えたら破格の安さだなーとか、でも人の命が軽い時代だとこれでも高いような気もして、改めてこういう世界の物価を考えれば考える程訳分かんなくなったので、単純に供給量が少なそうな物を高額にしてみました。

尚、異論は認めない!


ここまでお読み頂きありがとうございます(๑˃̵ᴗ˂̵)

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