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名無しの悪魔ちゃん  作者: こめっこ
第2章 教育冒険者
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討伐報酬

いきなり高評価ありがとうございます(*'ω'*)

ブックマークの登録もありがとうございます!

 未だ興奮冷めやらぬ訓練場をあとにして、懐が暖かくなった私は組合の中に戻った。

 再び先ほどの受付のお姉さんに手続きを進めてもらおうと声をかけると、既に私のカードは出来上がっていた。


 そもそもAランクパーティ推薦の飛び級は組合で正式に認められた行為で、盗賊や指名手配の犯罪者だったりと余程の理由がない限りは受理されるそうだ。

 つまり、先程の試合も勝敗に違わずDランクカードは発行されるという事だった。


「それにしても驚いたわ。私も観たけど、あなた本当に強いのね。正直あんなに強いなんて思わなかったわ」

「え……あ、ありかとうごさいます?」


 お姉さんも見てたんだ。こんなに目立つ人なのに気が付かなかったなぁ。ていうかサボっても大丈夫なのかな……?

 


 受け取ったカードはICカードをひと回り小さくしたような銀色の金属製の板だ。

 それには組合員番号、名前、性別、種族、冒険者ランクが刻印されているとの事だ。

 各組合にカードリーダーが設置されており、カードを読み込ませる事で登録された冒険者の情報を知る事が出来るそうだ。

 そして、紛失した際に悪用される恐れがあるので、個人を識別するために、カード右下にある枠の中に血を一滴垂らすと個人識別登録まで可能らしい。

 一度登録すると上書き登録などは一切受け付けず、そして本人が枠のところに指を置くと薄っすら光る仕様になっているそうだ。


 ものは試しと、さっそく受付のお姉さんから針を借りる。



 ……うん、知ってた。


 やっぱり簡単には刺さらないね。

 人間の姿でも相当頑丈に出来ているようだ。

 こんなにつるつるぷにぷにのお肌なのに不思議で仕方ない。


「どうしたのかしら?」

「いえ……」


 まずいですね、針が刺さらないなんて知られたら物珍しさにどこかへ売り飛ばされて、見世物小屋で一生を終える事になってしまうかもしれません。


「ああ、女性だとやっぱり抵抗あるわよね?」


 ちょっと私の肌細胞さん? あなた働き過ぎじゃないですか? 今週だけで既に残業四十時間超えちゃってるでしょ? たまには休暇をとってパーっと羽を広げてもいいんですよ?


「懐かしいわね、私もこのお仕事をする以前は冒険者をやっていたのよ。あっ、ちなみに私も戦闘試験をクリアしてDランクから始めたのよぉ。Eランクのカードだけは木札でね、身分証代わりに作る子が多くて依頼を受けずにそのまま、って事が多くてそれ以来Eランクは木札になったのよ。話が逸れちゃったわね、それでね冒険者のお仕事を始めた時に私も作ったんだけど中々自分で出来なくて先輩に代わりに刺してもらったものよ、ふふ。懐かしいわぁ。でも安心してちょうだい、女性の冒険者で躊躇う人は結構いるのよ? あ、もちろん男性の冒険者でも少ないけど私みたいに自分で出来ない人もいるわよ? でも、そういう時は大体――」


 幸いにもお姉さんが何やら語り出したので時間が稼げそうだ。

 それにしても、まさかこんなところで裏目にでるとは思ってもみなかった。

 この皮膚は一体どうなっているのだろうか?

 気は進まないが針を強化して思いきって指を貫通させるぐらいの勢いでやるしか無いか……はぁ。


 すぅー、はぁー。…………カッ! ちぇすとおおおー!


 ブスリ


 ぎゃあああー! 痛い痛い痛い痛いいいいいい!


 ホントに貫通したし!?

 自分の魔力で強化したんだから当たり前だー! 軽くでよかったんやー! 私のアホー!


 幸いお姉さんは自分語りに夢中で、こちらに気付いてないので素早く針を抜いてボトボトと血を垂らす。


「――ということなのよ?」

「は、はい……」

「おいナナシ、お前どんだけ刺したんだ……」


 ああああああー! バレテーラ!


「あら大変! こんなに血が出てるじゃない! 大丈夫? 一滴で良かったのよ? ほら、見せてごらんなさい」

「あ、い、いえ、大丈夫です! す、少し当たりどころが悪かっただけですので、舐めておけば直ぐに治りますので……。ほ、ほ、ほら?」

「……あら、本当ね」

「思ったより大丈夫そうだな」


 当たりどころが悪いって何だ、と自分でも思ったけど、指を口に入れている間に治ったので、それを見せると納得してもらえた。



 トラブルはあったが識別登録も無事? に済ませ、晴れて私専用の組合(ギルド)カードとなった。

 そして、お姉さんが盗賊の報償金だと言って重そうな小袋をドンとカウンターに置いた。


「受け取れナナシ。この報奨金は()()お前のもんだ」


 これにはさすがの私も驚き、どういう事かとローランドさんに目で問いかける。


「……どうした?」

「いえ、私だけでは街まで連れて来ることは出来ませんでしたし、街まで案内や組合の手続きとかでお世話になりっぱなしですし……」


 皆さんが来てくれて本当に感謝している。

 私一人だったら街に入るのにも一苦労したと思う。


「なんだ、そんな事を気にしてたのか。子供が細かい事を気にするな、お前の手柄だ。貰えるもんは貰っとけ」

「ローランドさんから見たら子供ですが」

「それにマリーを保護してくれてただろう。奴らに人質に取られていれば、マリーも、仲間も、無傷で帰って来れる保証はなかったからな」

「…………」

「俺らはこれでもAランクだ。そこそこ稼いでんだ、だから遠慮はいらん」


 そう言いながら、これ以上有無を言わせんとばかりに私の頭をグシャグシャと撫でまわしてくる。

 まさかローランドさんがこのような高等テクニックを持っていたとは。


「お前が恩義に感じたんなら、そうだな……まぁ気が向いた時に別の形で返してくれりゃいい」

「……分かりました。ありがとうございます」


 こんな事言われたらもう断われないじゃん。


「ふふ、話もまとまったみたいだし、いいかしら?」

「すみません」

「それでねナナシちゃん?」


 改まってどうしたのでしょうか?

 私は話を促すために、はいと頷く。


「貴方に修理代の請求がきてるわ」


 …………ナンダッテー!?


 どこの、とは聞かずともわかります。身に覚えがありますからね……。だけど何で私に!? あの三人も共犯じゃないの!?


 ……いやまあ壊したのは私だけど……。


「お、おいくらでしょうか……?」

「金貨五枚だそうよ」


 金貨五枚か……って、いくらですかね……。

 さっきも勢いで手持ちで一番高額そうな大金貨を賭けたけど、貨幣価値が分からないので何とも言えない。

 一先ず袋から金貨を五枚取り出してお姉さんに渡す。


「これで大丈夫ですか?」

「ええ、確かに頂いたわ」


 差し引いても金貨はまだ六十五枚ある。

 よく分からないが、これだけでも相当な額だと思う。

 それに賭けの分も結構入っているので今回は良しとしますかね……。



「コホン……それじゃあ本日の案内は私、()()()()()()()でした。またのご利用をお待ちしております」

「はい、ありがとうございましたお姉(オネエ)さん」

「あぁ……ありがとう、ございました」






ただのお姉さんじゃなくて、オネエさんでした。

ごめんなさい!


ここまでお読み頂きありがとうございます(๑˃̵ᴗ˂̵)

良ければ感想、レビュー、ブクマ、評価など辛口評価もお待ちしております。

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