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02 戦闘開始

 いやだから、これロボットの話では無いです。遠回しに特定の会社をディスリスペクトしています。現実の世界と話が違いますから、それはそういう意味ではないよとか、製品違うだろうとか、そんなのは無視してスルーして下さい。

 使い慣れた機体W7で出撃する。相手はハードもソフトも最新で数も圧倒的に多く、万に一つも勝てる要素が無い。せめて優位な条件に胡坐をかいてミスをしてくれる事を祈るばかりだ。さあ、悪あがき位はさせて貰おう。


 画面にタッチして超超超望遠にして様子を窺う。相手側は同士討ちを避けるために、ビームフラッグを装備しているようだ。宇宙空間には風が無いのに旗が揺らめいて見える。

 ビームだし風が当たっても揺れないだろう、それなのに無駄に芸が細かいな、しかも旗のマークが自社のマークとか凄くムカつく。そうさ、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、そういう事さ。


 しかし相手の待機時間が長い、陣形を整えるのに時間が掛かり過ぎている。遠征をしてきたのだから戦いの直前に休憩をするのは分かる。でも一体何で敵の目の前で長時間休憩する必要があるんだ、当てつけか? それとも大軍で囲むことにより戦意を喪失させる目的か? まったく腹立たしい。ビービー、ビービー。ブザー音が響き、通信が入る。


『左翼のアルファワン部隊、突出し過ぎている、直ぐに指定の配置に戻れ、これは命令だ! 直ちに配置に戻れ!』

 画面にタッチして左翼の状況を拡大して表示させると、確かに一部隊が突出している、というかもう突撃というか進軍というか、このままいけば交戦状態になるぞ。まだ包囲網が完成していないので、相手が近づく前に包囲の外側に出て戦うつもりか。

 しかし訓練された兵隊でも勝手に行動するとか、この大軍によるプレッシャーに勝てないのか。もしかすると敵の狙いは、精神的に揺さぶって混乱させて組織的な戦闘をさせないつもりか。大軍であっても油断も無い、厳しい戦いになりそうだな。


 突出した部隊に対して、相手から散発的な攻撃が行われている。ん? おかしいぞ。なんであんなに攻撃してくる機体が少ないんだ。相手に近づく前に全滅すると思ったのに、逆に敵が少しずつ倒されている。しかも敵の動きが鈍いぞ、鈍いなんてもんじゃない、物凄く鈍い。


「おい、前線の状況はどうなっている、たかだか一部隊の働きであの状態には成らないだろう」


『分かりません。ただ相手の動きはすこぶる悪いです』

 何だ? どうしてだ? もしかして何か問題が発生している? いやこれで全軍で突撃したら、相手は反撃してくるかも知れない。要塞裏のロボットをあぶりだすための作戦ではないか?


『左翼のアルファツー、アルファースリー、アルファーフォーは、アルファーワンの場所まで進軍。右翼のメイクワンからメイクフォーまで、相手の左翼先端まで進軍。ともに戦闘を許可する』

 なるほど。とりあえず少し数を出して様子見というところか。相手がこちらを罠に掛けようとするなら、この程度の数で演技を止めると効果が得られないはずだ。しばらく我慢して多少倒されたとしても、誘いをかけてくるだろう。

 それなら、その間にこちらは敵を多く倒せるからメリットがある。仮に演技を止めて攻撃を開始したら、とりあえず進軍した味方の被害だけで済むからな。しかし命令とは残酷なものだ、普段は私がその命を下すのにユン准将には悪い事をしたな。


 しばらく様子を窺うが敵の動きが鈍すぎる、明らかにおかしい。ばだ相手の包囲網が整ってない。ボウルの淵あたりで戦う事で、敵は前の敵がじゃまで後ろからの攻撃が出来ない状態だ。大部隊の優位性を取らせない戦いだな、やるじゃないか命令違反者達。戦いが終わって生きていたら、営巣入りだけどな。

 要塞からの砲撃も面白いように当たっている。これは演技じゃないぞ。何時までこの優位が続くか分からないが、これを逃したらチャンスは無いだろう。司令部に通信をしようと思ったら、ビービー、ビービー、ブザー音が鳴り通信が入る。


『要塞前面には出ず、相手のボウルの淵あたりで戦え。ブラボー、チャーリーは左翼。ブラボーはアルファーの上に、チャーリーはアルファーの下に……』

 こちらから指示を出す前に司令部から指示が届いた、流石ユン准将は優秀だな。私の部隊も天頂方向に進軍して、相手の包囲網の中に入らないように気を付けて戦いを行う。


 実際に戦闘を行うが、動きが緩慢で、まともに動けない機体が多い。もしかしてコイツラも自身のパッチで不具合が発生してまともに動けなくなった? いや、今日はパッチの配信タイミングじゃないはずだけど……。もしかして定例外の緊急パッチが出たのか?

 先ほどのトラブルでこちらは全ロボットでUPDATEの機能を無効にしていた。ツキはこちらにあるんじゃないか? まるで宇宙で溺れているロボットを、例えるなら溺れているロボットを陸の上から一方的に倒した。


「緊急パッチが配信されているか確認したか?」


『いいえ。緊急パッチは有りません。MSサイト情報にもUPDATE配信管理機器にもありません。英語サイトも確認しましたが出ていません。なのでパッチ関連では無いようです』

 おかしいな、じゃあ何だと言うんだ。


『分かりました。UPDATEに起因しているようですが、パッチではありません。UPDATEという事しか分からないです…』

 ふむ、他にUPDATEが利用している機能といえば……。


「ウイルス定義ファイルだな…」


『まさか、定義ファイルごときで、このような事象が発生すると仰るのですか? でも確かに、UPDATEが利用している機能といえばパッチと定義ファイルなので、理屈的にはあいますが』


「その辺も視野に入れて分析を行え。そろそろ弾が足らない機体が出て来ている、補給を頼む」

 前線では弾が無くなり戦闘が維持できなくなっている機体も出て来ている。こちらの攻撃が面白いように当たるが、如何せん敵が多すぎる。中には敵の武器を奪って戦いを継続している機体もあるが、そんなのも限度がある。

 このような場合、要塞から弾薬などを入れたコンテナを射出し、前線の味方の近くか、少し下がった場所に留まり、補給できる場所を用意する方法を取っている。もちろん機体の修理が必要な場合は、要塞まで下がる事もある。ちなみに、補給物資が詰まったコンテナを通称コンテナという。


 コンテナに近づくとプログラムが起動し、自動で機体に必要な弾薬が近づいて、機体の所定位置に格納される。戦闘中に動きが止まるのは危険なため、このような自動補給システムが出来ている。


『ビクターワンからビクターフォーはポイントパパまで前進、ウイスキーワンからウイスキーフォーまで、ポイントキューベックまで前進、敵を殲滅せよ』

 司令部からの通信が入る、どうやら虎の子のHYPER-V部隊を投入した様だ。ホスト一機にゲストが数機搭載されている、ホストからリモートで接続する事で無人で攻撃を行う事も可能だし、ホストは補給艦としての役目も持っている。これだけでしばらく前線を維持する事が可能だ。



『こちらビクターワン、リモート接続出来ません!』

『ビクターツー、同じくリモート接続出来ません!』

『ウイスキーワン、同じくリモート接続出来ません!』

 何だ、一体どうなっているんだ。ホストの殆どでリモート接続が出来ない状態になっている。


『リモート機能は使うな、実機に乗り込んで対応しろ』

 パイロットには休憩も必要だ、そのためのリモート操作機能なのに、これじゃ長時間の戦線維持が出来ないぞ。前線で戦いながらも、全体の様子も気になる。


『司令、先ほどのUPDATEですが全然終わらない事が分かりました。普通なら数分あれば終わる内容なのに、一向に終わる気配がありません。推測ですが相手はUPDATEが終わらず、戦術リンクが飽和状態になり、戦闘が行えないのだと思われます』


「なるほど、しかもこれだけの大軍、全ての機体にパイロットが搭乗しているのでは無いのだろう。リモートから接続出来ない理由は分からないが、相手も同じような状態になっているのかも知れない。この気を逃すな、徹底的に叩くんだ」


 敵は面白いように倒れていく。六万居た敵は既に五千を切っていた、これはいけるんじゃないか?


『全軍戦闘停止! 戦闘停止。一旦引いて下さい、敵から投降の申し入れがありました』

 こちらも大分やられたと思うが、相手も損耗率九十%超えとか、常識的に考えられないところまで粘っているのは異常だった。多分大部分が無人機だったのかも知れないな、逆にそれが今回の勝因かも知れない。

 敵はパイロットスーツだけになり、救命ボートに乗り込んでいる。敵の機体はそのまま鹵獲出来るため、逆にこちらの戦力は増強出来たと言っても過言ではない。いや、パイロットは補充出来ないから、そうでも無いか。でも、これで一息つけそうだな。ビービービービー、通信が入った。


『敵のサーフェス部隊が、部隊が…』


「何!? 敵のサーフェス部隊がどうした!」

 先ほどまで戦闘だったため、ECMの影響でレーダーや長距離通信が使えなかったが、戦闘が終わったことで把握できるようになったらしい。


『全滅したそうです』


「何だと? どういう事だ」

 どうやら、待機していた場所に赤ずきんの襲撃があったようだ。赤ずきんは頭が赤色に塗装されたロボットの部隊だ。OSはMS製ではなく、リラックスを採用している。リラックスはフリーでオープンなOSで、誰でも自由に利用、開発出来るものだ。


 それぞれが独自に開発して無償なOSだとサポートしてくれるところがないため、赤ずきん達はサポート契約を結ぶことで支援をしてくれる。しかし、奴らは狂気集団だ。


『赤ずきんの機体は頭が赤いから赤ずきんなんですよね? 可愛らしいネーミングだと思うのですが、何がそんなに怖いのですか?』


「奴らの頭が赤い理由が分かるか? それはな、血によって赤く染められていると言われているんだ」


『血ですか? 確かに不気味ですね』


「そう、自身の血によってな」


『自身のかよ! 本当なら怖いですね。何考えているか分からないですから』

 とりあえず、危機は去ったようだ。しかし、これからもMSの恐怖は続く。毎月、毎月、続いていくんだ。

 5月、UPDATEが全然終わらなくて、原因はMSの定義ファイルロジック変更によるものでした。しかも、世の中でそのような事象が出ていても、どこにも情報を公開していないし、勝手にロジックを基に戻して、何食わぬ顔で居る。

 ソフトウエアデストリビューションフォルダを削除して、再度UPDATEをしたら、個々のPCやサーバで持っていたデータベースが初期化されて、正常にダウンロード出来るようになりました。


 逆に普通に再開すると、何時までもリソースを使い続けるため、UPDATEを止めるしかありませんでした。その隠ぺい体質というか、腹が立って、この愚痴となりました。

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