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01 なんでロボットの話なの?

ロボットものでは無いです。とあるOSを販売している企業に対する、ディスリスペクトみたいな話。でも、ロボットの話になってしまった。

 もうしばらくするとこの要塞に敵がやってくる、超巨大企業MSの私兵集団だ。こっちの備えはロボットが四千台程度で大変心許ない。え? 多いだろうって? いやいや相手はもっと多くのロボットを繰り出してくるはずさ。


 今の戦争の主力は汎用戦闘用ロボット、通称ロボットだ。他にも局地戦用大型ロボット、通称大型ロボットと呼ばれている兵器で行われる。


『司令、偵察部隊からの第一報が入りました。距離約千キロ先に敵集団を発見、数はおよそ十万程度との事』

 その数に指令室の中はざわつく、まさか二十五倍以上の数でやってくるとは思っていなかった。


『無理だよ』『降伏すべきでは』『諦めて全員死のう』

 大分(だいぶ)浮足立ってしまっている、このままでは士気に影響が出て戦わずして瓦解しかねない。


「落ち着け! 何を慌てているんだ! 最初から分かっていただろう、相手の方が何倍も数が揃えられるとは。ここを突破されたら、もう故郷を守る拠点は無いんだ、故郷が蹂躙されるんだぞ。

 降伏してもどうせ殺されるし、家族だって殺される、そもそも故郷そのものが無くなるかも知れないんだぞ。一人でも多くの敵を殺す事だけ考えろ」

 表立って浮つく兵は居なくなったが、一瞬だけだろう。正直どうすべきか分からない。


『偵察から続報。敵の四万が千キロ先で行動を停止、二手に分かれました。四万機の殆どは敵主力のサーフェスの模様です』


「はあ? なぜ主力のサーフェスを投入してこないんだ? いや確かにそれでも十五倍の大差だから相手にとっては問題無いだろうが……。ユン准将どう思うか?」


『二手に分かれても、相手の数的な優位は変わりません。一方がこちらと戦いつつ、もう一方が本国を攻めれば、この基地が優勢であっても戦争は終わりです。私でもこれだけの差があれば軍を複数に分けて、戦うことでしょう』


『そんな、じゃあここでの戦いは無意味なんじゃ…』『どうすればいいんだ』

 また浮足立ってしまった。確かに勝てる見込みなんて無い。しかも、戦っている間に本国を突かれたら、どうにもならない。


                    :

                    :



『敵との距離約八百キロとなりました。依然としてサーフェス部隊は先ほどの宙域に留まっています。こちらに向かってきているロボットの主力はW2016、W2016_1709、W10_1709、W10_1803、W2012R2と予想されます』

 はあ? なぜサーフェスが来ない? しかし、こちらに向かっている六万を更に分割して、本国に向かわせても勝利は確実。そうなると戦費削減が目的か? じゃあ何で最初から出撃させなければいいじゃないか、途中まで来るだけ無駄な出費だろう。


 戦争で使われるロボットは汎用的に作られており、そのスペックを最大限に引き出すためにはOSオペレーションシステムが必要だ。ロボットを見ただけでは何のOSを搭載しているかは分からないが、市販のロボットの型式で有る程度のOSは想定できる。


 流石OSを製造販売しているだけある、最新のOSが搭載されているロボットを大量にそろえているな。それに比べてわが軍の主力は、W2012R2、W2012、W2008R2、W7だ。もちろん最新OSも存在するが数が少ない。


「ユン准将、作戦案はあるか? 相手はどうくると思う?」


『私なら難しく考えません。大軍の優位を生かして正面からぶつかります。こちらの要塞が野球のボールだとして、それを包囲するように相手は料理につかうボウルのような配置にして射線を多くし、優位になるように戦うでしょう』


「うん、例えが分かりにくい。両方とも似たような言葉だと混乱するから。でも言いたいことは分かった、次からは気を付けてくれ。他には何かあるか」


『そうですね私なら射程ギリギリのところで戦いますね。遠隔からとにかく撃ちまくります。そうすれば致命的なダメージを受けませんから。こちらが弱まったところで一気に勝負をつけれるでしょう。相手は損傷した機体で突撃しなければいいのですから。

 もちろん最初から全力で来ても大差ですから、あっという間に決着がつく可能性があります。ただ、その場合は相手は数が多いので同士討ちの危険があり、全軍による積極策は無いと思います。積極策をとる場合は、一万ずつ程度で突っ込んでは引いてを繰り返せば勝てます』

 分かってはいたが、改めて聞かされると気が重くなる、はぁ。


「……相手の戦術はそんな感じだとして、こちらはどうすべきかね?」


『基地正面に陣取れば、相手からの猛攻を受ける事になるので死ぬだけです。基地を盾に背面に控えて、相手が接近してきたら打って出るのが良いと思います。それと考えてはいないとは思いますが念のため、要塞の中に残るは愚策です。

 この基地でのロボット展開能力は一分に十二機です。四千機の展開には約五.五時間弱です。そろそろ展開を始めた方が良いでしょう』


「分かった、順に展開を開始しろ、配置先は基地背面だ。準備できた機体からどんどん行え」


 やることがあると人は余計な事を考えないで済むようだ、皆一心不乱に準備を行っている。しかし、気になることがある。展開の速度が思ったより遅いのと、何人かが変な動きをしている、あれはトラブルが起きている可能性が高いな。


「おい、何か問題が起きたか? 問題は即座に報告しろ」


『はっ、実はW2008R2の機体の多くで、戦術リンクシステムに接続できない機体が出ているようです。原因と対策は不明です』


「何だと! 何で戦術リンクに接続出来ないなんて事が起きるんだ! 整備は何をしていたんだ! 兎に角準備が出来た機体から出して、問題がある機体は後回しにしろ」


『そっそれが、W7でもOSの再起動を繰り返す機体が発生しており、W2012R2でも動きが緩慢でメモリリークが起きている可能性があります』


「馬鹿な! OSは常に最新を維持するようにパッチ適用もしていたではないか……。まさか、パッチに不具合が混在されていた?」


『パッチによる不具合の可能性は否定出来ません』


「なんてことだ…何て事だ!! 奴らはワザとパッチにバグを仕込んで配信しいてたのか…」

 ショックで椅子に体を委ねる。これではまともに戦う事なんて出来んぞ。


『敵のECM(電子攻撃の一種)が始まりました。レーダーが乱れ始めました』


ECCM(ECMを回避する手段)開始しろ。こっちもECMだ」


『さらにECMです』


「こっちもECCMだ」


『さらにECMです』


「報告要らないから、もういい感じでやって」


『司令! 原因が判明しました。パッチでした』


「おお早いな。どうしてわかった」


『はいMSのサイト英語版に記載がありました。日本語版にはまだ記載がありません』


「……、言語はどうでもいい。兎に角だ、どうすれば直るんだ」


『MSでは解決方法に取り組んでおり、今後のリリースで更新プログラムを提供します。との事です』


「MSに確認出来ないのか?」


『有償サポート契約を結んでいないので無理です』

 敵だから無理ですではなく、契約が無いから無理なのか。しかし、納得がいかない。


「製造元がバグを用意して配布しているのに、確認するのに金がいるというのか? 馬鹿な事を言うな!」


『はっ、しかし事実であります』


「そんなアコギな商売があるか……。もう古いOSのロボットも全部だせ。銃くらい持てるだろ基地の後ろに隠れて援護射撃にでも使え」


『司令! 戦術リンクが使えない件の対策が判明したので早速取り掛かります』


「よくやった。どうしてわかった」


『はっ、有志による技術情報の共有があったようです。個人の善意です』


「感謝だな。全力で復旧を優先しろ」


               :

               :



『展開完了しました、敵との距離約百キロです。引き続き敵は待機のようです』


「どうなるかと思ったが、何とかなって良かった。おい、レーダーが乱れっぱなしだぞ」


『相手のECMの方が一枚上手で、これ以上の対抗手段がありません、ただ相手もレーダーが使えないと思われます』

 もうこれ以上準備する事は無いだろう、いよいよ決戦だな。


「私も出る、指揮はユン准将に一任する。戦える機体は一台でも多い方が良いだろう」

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