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0話 約束

初投稿です、お手柔らかに。



「…あ、この場所」



不意に視界の端に映った色とりどりの景色に、黒髪の少女は遠ざかっていた意識を連れ戻す。 直ぐに乗ってた馬車を停め、迷わず外へ飛び出した。



「花弁を降らせる魔法、使ったところや!」



森の脇道を抜けた先に現れたのは、辺り一帯を埋め尽くす美しい花畑が広がる空間だ。迷わず近付いた少女は、足元の赤色の花を一本手折りそっと唇へ寄せた。



「ふふ、あれからそれなりに時間が経っているのに、景色が全然変わっていない。やっぱり悔しいけどあの人の魔法は凄いなぁ…」



杖を片手に軽く振れば、花畑の範囲を覆うように心地よい風が吹き始め、一気に花弁が舞い上がった。


暫くして、はらはらと舞い落ちてくる花弁は色とりどりだ。赤、水色、桃色、紫、黄色……そして、釣られて舞い上がった緑の葉。



「まるで、今の私達みたいやね……」



手に持っていた赤い花を風魔法に乗せて空高く舞い上げる。空中で散った赤い花弁がゆっくり降りてくると同時に地面に雫が落ちた事を知っているのは、美しい花畑だけだった。



「……うん、きっと…またね!」



小さく花畑に言い残した少女は、今度は静かに馬車へ乗り込んだ。




ーーーこの世界に残した、最後のやり残しを終える為に。



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