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第56話 幼馴染に命の恩人

「また二日後に」


 そう言葉を交わして馬車の前で別れたあと――


「お腹すいたね。何か食べに行こうよ!」


 ミミが元気よく言う。


「いえ、先に宿だけ確保しておきましょう」


 リアナの冷静な提案に、セイも頷いた。


「そうじゃな。この村の宿屋は……この先の右手にあるようじゃな」


 古びた看板を掲げた宿屋に入ると、木の匂いがふわりと漂った。

 受付に立つ女将に声をかける。


「何泊するんだい?」


「今日と明日で二泊じゃ、よろしく頼む」


「じゃあ、これに記入してちょうだい。代表者だけでいいよ」


「では、ワシが……」


 セイが筆を取ろうとしたそのとき――


「……また会いましたね」


 そこに立っていたのは、ついさっき別れたばかりのカイルたちだった。

 一瞬、時が止まる。


「……まあ、そりゃそうか。この規模の村なら、宿屋はここくらいじゃろうな」


 セイが苦笑すると、女将も肩をすくめる。


「そうさね。この村に宿屋はうちだけだよ。旅人さんは、嫌でもここで顔を合わせることになるさ」


 思いがけない再会に、どこか気まずい空気が流れた。

 けれど――ミミがそれを遠慮なくぶち破る。


「ねぇねぇ! だったら一緒にご飯食べよ! 偶然会えたんだし、せっかくだから!」


「えっ……」


 メリサが戸惑ったように目を丸くする。だが、ジンが笑いながら肩をすくめた。


「まあ、悪くない提案かもしれないな。せっかくの縁だし、腹も減ってる」


「そうですね」


 カイルも苦笑混じりに頷き、セイへと視線を送った。


「セイさん。よろしければ、ご一緒させてもらえませんか?」


「もちろんかまわんよ」


 セイが笑みを返すと、リアナとエリシアも安堵したように表情を緩ませた。


「じゃあ決まり! さっそく行こっ!」


 ミミが弾んだ声で急かすと、セイが女将に声をかけた。


「女将! この村で一番のおすすめの酒場はどこじゃ?」


 女将はにやりと笑い、腰に手を当てて答える。


「なら、大通りを抜けて右手にある《赤鹿亭》だね。料理も酒も、この村じゃ一番さ」


「ほう、《赤鹿亭》か。――皆、そこでよいかの?」


 セイが振り返って問いかけると、仲間たちとカイル一行が顔を見合わせて頷いた。


「いいですね!」

「ええ、賛成です」

「わ、私も……賛成、ですっ」


 それぞれの声が重なり、自然と笑みが広がる。


「よし。いざ、《赤鹿亭》へ!」


 セイの豪快な号令とともに、一行は揃って宿をあとにした。


 ◇


 夕暮れの通りを抜け、赤い鹿の看板を掲げた木造の建物に入ると、暖かな灯りと香ばしい肉の匂いが迎えてくれる。

 席に着き、それぞれ飲み物を手にしたところで、セイがふと思い出したように口を開いた。


「そういえば……おぬしらはどうやって組んだんじゃ? 見とると、なかなか息が合っておるようじゃが」


 問いかけに、カイルが少し考えてから微笑む。


「……僕とメリサはノキア村の外れで一緒に育った幼馴染なんです。僕が先に冒険者として活動していたんですが、メリサが後を追うように冒険者になって……それで声をかけたんです」


「そうそう。最初は『危なっかしいから僕がついていてあげるよ』なーんて言って」


 メリサが横から口を挟み、グラスを傾けて笑う。


「まあ、メリサは妹みたいなものなので……」


 その一言に、メリサの手がぴたりと止まった。


「……妹扱いって、なんか気に入らないんだけど」


 むっとした顔で睨みながらも、頬はほんのり赤い。


 ジンがすかさずにやりと笑った。


「おいおい、図星を突かれて照れてるのか?」


「ち、ちがっ……!」


 慌てて言い返す彼女に、カイルは苦笑しつつ続ける。


「ジンとはこの町で出会いました。この先の街道に魔獣が住み着いて困っているということで討伐依頼を受けて……そのとき襲われていたのがジンだったんです」


 その言葉にジンが豪快に笑った。


「笑えるだろ? 今でこそ冒険者を気取ってるが、あのときの俺は剣もまともに抜けない、ただのへっぽこ剣士だったんだよ。情けなくて、今でも思い出すと涙が出るぜ……」


「でも、それも何かの縁だったのか、それから一緒に行動するようになったんです」


 カイルが締めくくると、メリサがジンを横目で睨む。


「……こっちはあんたのせいでどれだけ苦労したか」


「ははっ、それは悪かったな」


 ジンは頭をかきながら、どこか誇らしげに笑っていた。


「……なるほどのう」


 セイが頷き、杯を置く。


「では今度は、ワシらの番じゃな」


 そう言って、キラキラ☆おひさま団の出会いからこれまでの道のりを語り出す。


「……というわけで、ワシらは今、ベランドへ向かっとるところじゃ」


 ミミが「ねっ」と誇らしげに胸を張り、エリシアは穏やかに微笑む。

 リアナも小さく頷き、自然と場に和やかな空気が広がった。


 ――やがて食事を終え、一行はそれぞれの宿へと戻っていった。


 ◇ ◇ ◇


 宿の部屋。

 窓から差し込む月明かりがゆらゆらと壁を照らす中、寝支度を終えたミミが布団に潜り込みながらつぶやいた。


「クリムゾン・ジャッジメントのみんな、本当に仲よさそうだったね。幼馴染かあ……いいなぁ」


 隣で髪を解いていたリアナが、少し考え込むようにして答える。


「……でも、メリサさんは“幼馴染”っていうより、少し違う目でカイルさんを見ていましたよね」


「そうだね。幼馴染への片思い……なんだか青春って感じ!」


「いやいや、まだ片思いって決まったわけじゃないでしょう?」


「確かに!」


 二人は顔を見合わせて、思わずくすっと笑い合う。

 そうして布団に潜り込むと、ほどなくして部屋には静かな寝息が響きはじめた。


────────────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】36

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/世界法則書き換え/時間停止/魅了体質/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵


【同行者】

・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:旅人風の白いワンピースを装備。美味しいもの食べて体力回復

 - 補足:幼馴染属性に憧れをもち、失った記憶の中にその要素があるのではと密かに期待している


・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:黒を基調とした剣士風ドレスを装備。美味しいもの食べて体力回復

 - 補足:自分の幼馴染のことは、ミミには話さないでおこうと密かに決めたらしい


・エリシア(元聖女様/24歳)

 - 好感度:かなり高

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:青と白のシスターっぽい洋服を装備。たくさん飲んで体力回復

 - 補足:赤鹿亭は食事もさることながら、お酒の種類も豊富。とても満足していた

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】やブックマーク、ご感想にて応援いただけると、泣いて喜びます。

次の話もぜひぜひ、よろしくお願いします^^

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