29話 3つ目の紋章
「なっ、んだ……?」
心臓がドクンッと跳ねた。今までに感じたことがない感覚で少しばかり戸惑いを覚える。
果たしてこれは、現在進行形で侵食している呪いのせいか、はたまたジュジュの姿が原因か……。
そんなもの考えるまでもなく、後者であるのは容易に理解できた。俺はどうやらときめいているらしい。
あれだけの美人なのだ。思春期の男ならば誰だって興奮を覚えるに違いない。
だが、本当にそれだけか……?
俺は今まで幼女の姿をしていたジュジュに対して、あり得ないほどに体が反応していた。
初めて顔を合わせたときでも、心臓が高鳴っているのを今でも覚えている。
普通ならありえないはずだ。何の魅力もない幼女に対して、そのように興奮してしまうのは……。
だから、何が言いたいかと言うと……俺はわかっていたんじゃないだろうか?
ジュジュが本当は大人の色気がムンムンな魅力しかない女性であることを……。
……一体、なんなんだよ。あの視線が吸い寄せられてしまう暴力的な胸は……ありえないだろ。
大きさだけならアイギスよりいくらか小さいけど、形がめっちゃいいし、何より柔らかそう……。
あんなの反則だ。
ほかにも、胸から視線を少し下げた場所にある絶対領域がとんでもない破壊力を誇っている。
服装は黒のゴシック服そのままなのだが、ガーターベルトが太ももにムチっと食い込んでいるのがエグいのもそうなんだけど……。
何より、ニーハイソックスとスカートの間にあるムチムチな太ももが……ヤバい。
こんなのを前にしたら『呪い』がどうとか言ってられないし、もはやそんなもの消え去った。
今のジュジュならすべてを受け入れられる。というか、受け入れざるを得ない。
それほどまでに、大人なジュジュは俺の好みにドンピシャだった。
「ジュっ、ジュジュ……」
「主人様、今まで私……」
「……グッジョブ」
俺は握りこぶしの状態で親指を立たせて――お前の今の姿は万病にも効果があると賞賛した。
「えっ……? って、主人様鼻血が出ております……っ!」
……フッ。鼻血? そんなもの出しておけ。
今はそんなことよりも、大人ジュジュの姿を目に焼き付けることが最重要だ。
というか待って。なんか体がむず痒い。
今、ジュジュが俺のことを主人様と呼んだような気が……。それに、若干口調も変わってないか?
……と、別に気にしなくても問題がないことに疑問を浮かべていると、ジュジュが俺の手を握った。
少し嬉しそうな表情を浮かべて……。
「主人様っ! こ、これ……っ!」
「えっ? って、何だこのアザ! 俺どこにも手なんかぶつけてないぞ?」
「これはアザではなく……呪印ですよ、主人様!」
「呪印……?」
「はいっ! 呪印は勇者の紋章、魔の紋章に次ぐ3つ目の紋章と呼ばれていて……とても発動条件が難しいものなんです。その発動条件は呪具である私のことを完全に受け入れ、私と主人様の心が通じ合い、お互いを大切に想うこと……」
……なるほど。だから、喜んでいるのか。
それにしても、この大人ジュジュは幼女ジュジュより人懐っこくて困ってしまうな。
多分、大人ジュジュの方がジュジュの素なんだと思うけど……できるなら、こっちで統一してほしい。
別に幼女ジュジュも好きだし、どっちで統一してくれて構わないんだけど……まぁいいか。
幼女ジュジュは猫みたいで可愛いし、大人ジュジュも大型犬みたいで可愛いしな……。
「んで、呪印って何ができるんだ?」
「……わかりません! 呪印が刻まれたのは今の主人様が初めてですので……っ」
「……初めて? 俺がか?」
「はい! ……『あの方』は私を受け入れるより前に、死んじゃいましたから」
……やめて? ちょっと重たい雰囲気にするのやめて? 喜ぶ場所のはずなのに、喜べなくなったよ?
……まぁ、今は喜べる状況ではさらさらないんだけど。だって今、戦場のど真ん中にいるし。
「……面白くねぇなぁ、面白くねぇんだよなぁ! オレを無視してのも、『呪い』に溺れねぇのも……ッッッ! ……ケヒャヒャッ! いいこと思いついた。さらに『呪い』を増幅させりゃあいいんだよなぁッッッ!」
その瞬間、魔王幹部の姿がかき消えた。
だが。
「主人様!」
「ああ!」
俺は隣にいるアリス――いや、アリスの前方に身体強化魔法を施した拳を振るった。
すると、
「ブべラァッ!?!?」
という気持ち悪い声とともに、魔王幹部が回転しながら吹き飛んでいった。
普通ならこれでノックアウトだが、流石は魔王直属の配下。頬を抑えながら立ち上がった。
まだ魔王は復活してないのに、頑張るなぁ。
「なっ、なぜオレが女を狙うとわかったぁ!? お前にオレの姿は見えないはずだろぉ!!」
「……お前、バカか? この状況で狙える奴って言ったら、アリスしかいないじゃねぇか」
「……くそ! くそがぁ!! お前ら如きに本気を出さないといけないとはなぁ――ッッッ!?」
「はぁ? お前如きが本気を出せると思うなよ? ――ジュジュ!」
「はい、主人様!」
その瞬間、俺たちは魔王幹部に向けて疾走を始めた。ふむ。どうやら、本当に心が通じているらしい。
言葉にしていないのに、ジュジュは俺に『初代勇者の身体能力』と『剣聖の剣技』を投影してくれた。
……これなら、更なる高みに手が届きそうだ!
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次回の更新は、8月8日です!




