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ドルカの闇

気がついたとき、私の身体はひどく冷えていた。

 石造りの床、鉄の格子の小窓。光はかすかで、外が昼なのか夜なのかも分からない。腹部に鈍い痛みが残っていて、自分がどうやってここに運ばれたのかは分かっていた。

 ――タクシン。

 彼が去った後も、あの冷たい声が耳に残っていた。

 私はそっと胸元に触れた。レオが残してくれた【火の華】の印はまだそこにある。でも、その温もりはずいぶんと薄くなっていた。

 ――レオは今、どこにいるのだろう。

 自分から城を飛び出しておいて、こんなにもレオに会いたいと思うなんて……私は本当に愚かだ。あの新聞記事を見たとき、怖かったのだ。レオに直接話を聞けばよかった。それなのに私は一人で結論を出して、一人で逃げ出した。

 涙は出なかった。ただ、胸の奥に大きな石が沈んでいくような重さだけがあった。

 どれくらい時間が経ったのか分からない頃、重い鉄の扉が開く音がした。

「お目覚めですか、レディ」

 入ってきたのは、タクシンの側近らしい男だった。トレイに水差しとパンを乗せている。

「タクシン様はご不在でございます。大人しくしていれば危害は加えません」

 私は黙って男を見つめた。

「……お水でも」

 男がトレイを床に置こうとした瞬間、扉の外から大きな音がした。壁が震えるほどの衝撃。男が慌てて振り返る。

「な、なんだ!?」

 次の瞬間、鉄の扉が内側から弾け飛んだ。


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